2015/09/02

桃の紅茶

  商品のバリエーションの1つかもしれないが、テレビのCMで、紅茶に桃のエッセンスを移すというのがあった。桃が綺麗に剥かれて、「紅茶の中に沈んでいる映像」が僅かにフレームインしただけだが、それがしばらく印象に残っていた。今はCMのバージョンが大きく進み、そのCM映像は姿を消したが、どういうわけか試してみたい気持ちが心に残っていた。歳を重ねた人たちの中には、そういうエレガントな紅茶を楽しまれる方も多いのかな?とも想像してしまったが、杉下右京さんの世代を象徴して、やや保守的なのかもしれない。

   元々市販の英国製紅茶の種類は、後から薫り付けしたものが殆どだが、それらは輸入される時に、商品のバリエーションの中から日本人好みの種類に淘汰されてきた歴史的経緯がある。しかし、年から年中、同じ紅茶を楽しむのも飽きるので、夏場などは趣向の変わった薫りや甘みが付いていてもいい、確かに、本物の果実を使うのならば、「仕上げる手間とか、組合せる素材選び」が面倒かもしれない。さらに、不経済な使い方になる。それでも、結構な楽しみ方が広がるのではないかと思われる。

 最近は、人工的なフレーバーの使い方が、様々な分野で技術レベルが巧妙になって、本物と区別がつかないとか、身近に存在しないような薫りまで合成されている。紅茶への薫り付けは製品種類の拡大に最適の材料とも言えよう。そういえば!と思い出したのがお中元の品物の中に、たまたま白桃のフレーバーを加えた紅茶があったことだ。果たしてこれはどうなんだ?と思いながら紅茶にしてみる。確かに、桃の薫りが発つが人工的な薫りを否定することはできなかった。

 そこで、紅茶をストレートで抽出し、そこに「岡山の白桃ドリンク」加えてみた。これなら、不経済な使い方にもならないし、どうせなら、白桃をそのまま口にした方が美味しいと悩むことは無い。それにしても、この白桃ドリンク入り紅茶は想いの外美味しい。本物とフレーバーを使った紅茶との違いがこれほど大きいとは、想いもよらなかった。結局最初のテレビCMの話に戻るかもしれないが、「紅茶の中に剥かれた桃の切身が沈んでいる映像」が一番美味しそうな状態を表現していることが分る。