2015/06/28

老舗洋食屋のビーフシチュー

  人それぞれ、今まで口にしてきた食材の経験値によって、滅多に無いことだが、感想の「食い違い」が生まれることがある。同じものを口にしても、意見が大きく分かれてしまうのである。おそらく、味わう要素が違うとか、そもそも期待値に違いがあるのかもしれないが、そんな状況で、好き勝手に言葉を並べても、何を基準にしているかはっきりしなければ、それを伝える言葉や文章は力を発揮しない。「えー、ほんまか?」と思いながら、そんなことを痛感したのが、この商品だった。だから、どのような食材の評価も、あくまでも個人の感想であることを忘れてはならない。

 元々、他人の感想や評価にはあまり関心はないのだが、それは「知らないお店の商品だし、写真の様子がどうも自らの持つ印象とは若干異なる」せいか、ついコメント欄を覗いてしまった。ところが、「こんな、まちまちのコメント見たことない」と思うほど賛否両論が並んでいて、美味しいのか、不味いのか、一体どちらが本当なのか、ハッキリしてもらいたいと不満が湧き上がって来た。更に付け加えると、もし自分だったら、どのような感想を吐き出すのか興味を持ってしまった。ビーフシチューなら多少能書きを主張できるので、すぐに取り寄せてみることにした。

 それにしても、これは難しい食材の1つと言える。以前(1914/04/18テラズフーズのビーフシチュー)も紹介した事があるが、おおむね冷凍で届けられるこの手の商品は、牛肉とシチューが入っていれば、付け合わせのじゃがいも、人参、玉葱、いんげん、マッシュルームなどは、別途用意しても構わない。また、量が足りなければ、2個使用すればよいし、その方が好みが活きてくるとも言える。したがって、評価のポイントは、あくまで牛肉とシチューの濃厚な「お味の作り方」にある。また、何処の洋食屋でビーフシチューを戴いたとしても、今時2,400~3,200円は持ち合わせが無ければならない。その認識の違いも評価のポイントになると思う。

  さて、前置きが長くなったが、それが今日の「浅草ヨシカミのビーフシチュー」である。この商品は、2袋1パックになっていて、3パック(6食分)が冷凍状態で届けられる。これが、消費税、冷凍送料込みで4,550円(ホームページ参照のこと)なので、お店に出向いてビーフシチュー戴く(2,450円)とすれば、約2回分と言ったところ。袋の中には、牛肉とシチュー、人参、マッシュルーム等が入っているようだ。凍った袋から1袋取り出し、そのまま沸騰したお湯に約7分温める。それをお皿に盛りつけたのがPDF写真。じゃがいも、いんげん、玉ねぎは別途付け加えた。

 牛肉の占める割合は30%と表記されていて、たっぷりではないが十分な量と考えられる。シチューは、赤ワインをベースにし時間を掛けて丁寧に作られているようで、不満はない。また、牛肉そのものも、ほろりと崩れるようで、一般的な仕上がり。しいて言えば、牛肉がややこま切れになっていて、シチューの中を探す感じだ。これは、意見は分かれるかもしれない。そのほか、マッシュルームや人参も良く煮込んである。ただ、ローコストに仕上げてあることで、人参の面取りは荒い。全体を通して、悪くはないが、もし意見が分かれるとすれば、使われている脂分などが人によって敏感に反応したりして、評価が分かれるのかもしれない。作りとしては、決して不評が与えられるような粗末な作りではない。
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2015/06/24

ボタニカル・カラー・トリートメント

  今から想うと、大変申し訳ない発想であった事を恥じるしかないが、髪を染めるのは結構苦労するものと言うのが分かった。何を隠そう、昔の話になるが、大先輩が定年退職をした後、久々にお目にかかった時に、「あれ、頭黒くなって顔の艶も良く、元気そうだし若返った」と不思議に思ったことがある。会社員の頃は白髪交じりで実際の年齢より老けて見えたものだが、会話の中で口を突いて良く出る「毎日日曜日だから」と言う口癖のせいか、そうか、ストレスが無くなり、よく眠れると髪まで黒く戻るのだと思っていた。ところが、いざ自分がそのような生活に突入しても、一向に髪は黒くなる素振りを見せなかったのである。

  世の中には、そんな合理的な反応の体質を持つ人もいるかもしれないが、自分の髪はそうではないと納得するしかなかったので、丹念に「染め」で行くことにした。しかし、そう簡単にきれいに染まる事もなかった。やはり、結局、焦らずに、時間のある時に、少しづつ上から重ねながら染めていく(ナル的要素必要)方法が良さそうで、少々色落ちが早くても、継続使用で効果をだせると思うようになった。そうか、なるほど、この時間の使い方が「毎日日曜日だから」という意味だったのかもしれない(それほど暇でもない)。

  今日は、あのテレビCM(白髪染め:ポイントリッチカラー)で有名な、化粧品の製造会社(分類ブランドとして:しらがねーぜ)が販売しているボタニカルカラートリートメントを使ってみたので紹介する。このような製品カテゴリーは、「じじ、ばば」向けのシルバー商品ではない。あくまでコスメティック(化粧品)の分類になる。さらにボタニカル(botanical)とは、「植物のとか、植物性の、といった意味だが、ここでは「植物由来の」と訳すべきだ。しかし、興味を持ったのは、やはり「白髪染め商品を扱っている」会社と言うところにある。つまり、白髪→年配者→頭皮が弱い→染める→頭皮が傷む→という構図の中で、問題が起きていないことが、ある程度の「安心・安全」を裏付けていると思えるからだ。さらに長い間日本人に支持されてきた国産品である事なども重要な要素といえる。

  このボタニカルカラートリートメント(税込価格12,960円)は、2014年10月10日にリニューアルされている。従来品に比べ、染毛力、トリートメント力、色持ちが改善されているようだ。製品の主な特徴としては、髪にツヤを与えながら、白髪を染めて、最後に洗い流すタイプで、シャンプー後、白髪の気になる箇所に塗って「5分」ほど放置しするだけ。通常のトリートメントと同じ様に入浴時に染髪できる。おおよそ1回の使用で白髪が染まる(注:洗髪のたびに髪色は徐々に色落ちし、約10日間に1回の使用で継続)とされている。

  従来品との比較では、以前使っていたNATURENAヘアカラーは、2時間ぐらい掛けていたので、5分と言うのは、いま1つ逆の不安を取り除けず、2倍の10分~12分程度そのままにしてみたら、かなり落ち着いた感じで白髪は目立たなくなった。結構満足できて、「毎日日曜日でない人」でも利用価値がある。ただ、翌日真っ黒と言うのも違和感がぬぐえないし、続けてみないと分からない事があるかもしれないので、何か気が付いた事があれば追加報告したい。
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=CFBF77DB9040165A&resid=CFBF77DB9040165A%211749&app=WordPdf

2015/06/21

桑名カレー

  独創的なパッケージデザインが目を引いた。一皿の上に白いベルト状のご飯と、その左右にビーフカレーとポークカレーが盛り付けられた写真である。パッケージをひっくり返すと、盛り付け例としての説明が、「お皿の真ん中にご飯を細長く盛り、ご飯の左右にビーフカレーとポークカレーを盛り付けてください。それぞれの味を楽しんだり、両方を混ぜてお召し上がりください」と書いてあった。面白い企画だが、実物は美味しいのかな?と誰でも興味が沸くはずだ。

 その前に、何故そんな商品を?と疑問に思ってしまうが、どうも、桑名と言う地域は、木曽三川の河口に位置し、古くから交通の要衝として栄え、西のビーフカレー文化と東のポークカレー文化の中間地として知られているという。ほんまかなぁ~と思いながら、「上手いこと」こじつけたとも思える。それにしても、商品の企画をそこまで掘り下げるとは、なかなか出来る奴に違いない。結果として、貪欲なカレーファンを引き付け、おまけに地域必然性の理屈を付け加え、さらに桑名市長もお勧めと明記しており、先々名物にまで発展させようとする腰をすえた姿勢が見え隠れする。

 この商品を販売しているのは、あの地元老舗醸造会社のヤマモリ㈱(2014/08/12:タイ焼きそばで紹介の会社)である。それが分かったところで、納得感も出るし、お味にも期待できそうだ。

 黄色い包装の中には、2つ100gのレトルトパックが入っている。ビーフの方は、玉葱がよくローストされた本格派仕様で納得できるもの。しかし、最近食べなれた味とは違い、どこか懐かしく、昭和の香りが漂う。口にすると昔を思い出すような懐かしい風味に一寸胸が詰まってしまった。他方、ポークの方も、口当たりの良い懐かしいおいしさが特徴で、優しい香りが和ませる。ビーフだけ、ポークだけ、そしてビーフとポークを合わせてと書いてあるが、ビーフだけ、ポークだけ、で十分楽しめる。2倍ほど楽しめる商品だが、やや塩分が多い感じで好き嫌いが分かれるかもしれない(個人の感想)。食べ終わると、何処と無くノスタルジーに浸るような満足感が得られて、ヤマモリの巧妙な仕掛けにどっぷりとはまってしまった。
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=CFBF77DB9040165A&resid=cfbf77db9040165a%212259&app=WordPdf

 

 

2015/06/17

夏みかんカステラ

 60歳を過ぎたおっさんにとって、カステラは永久不滅の「贅沢なおやつ」である。それは、幼い頃から存在し、大方「変わらない美味しさ」が保たれ、贅沢感とも言うべき風格のある存在だからである。長い間には、甘さなどは控え目に変化したにしても、本質的な美味しさは変わらない。しかし、カステラが好きな人の中には、どんなカステラでも好きという人より、昔ながらの「蜜が染み出しそうで、もちっとした食感と粗目が広がる甘み」が好きな人の方が多い。それが、高級カステラを代表する食感だからだ。

 こういった伝統的で今も多くのファンを持つカステラは、味が変わらないことも重要だが、かといっていつまでも変わらないのは、作る側にも刺激が無いし、新たなトレンドに寄り添うことさえ出来なくなる可能性もある。だから、商品投入路線はいくつかに分岐して存在している。まず、伝統的な高級カステラは、目利きによる厳選素材、熟練による工程管理、歩留まりや品質に配慮した仕上げで、コストが掛かるため価値の高い商品になる。販売数は少なくても拘りの顧客のみならず、贈答品としても持て囃される。そのため、日々商品の品質の向上に勤めている。

 他方で、そんな一切れに食べ応えの重たく感じる商品より、風味や食感に高級感を保ちながらも、比較的軽い印象で食べ易く、価格も抑えた商品に仕上げた方が、市場に広がりが期待できる。おまけに年配の顧客のために、紅茶や日本茶と一緒に戴くと、口の中ですぐに解けるよう作られている。おおむね、今の主流はこのクラスになる。このタイプの商品のポイントは、決して「無理をして食べることがあってはならない」。だから、あえて小型のパッケージに拘るのである。そこには、「また食べたいと思わせる」風味や印象に残る美味しさが必要なのである。つまり、その「手軽さが購買力、美味しさが継続性」ということになる。

 そして、いつもお店に顔を出してくれるお客には、定番のみならず、季節要因を取り込んだ商品が用意されている。店頭で何か新たなものを発見することを期待してお店に寄るわけだから、季節限定とか言われると、今すぐにでも買っておきたい衝動に駆られる筈である。まして、お店で勧められると、それに耳を傾けながら、流れとしては素直に「じゃそれも」ということになる。新たな商品がたくさん揃っていてもジタバタしない、それが常連の優雅な買い方だからだ。元々、店頭に顔を出す顧客は、それが好きだし、興味もある。ただ、何か新たな言い訳とか、理由が必要なだけで、結局、何か買って帰りたいのである。だから、むしろ、背中を素直に押されることを望んでいる。

 ということで、その主流といえる商品を並べてみた。小安いカステラの分類に入るが、揃えて購入してみると、決してお安くは無い。中身の写真はこちら。
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=CFBF77DB9040165A&resid=cfbf77db9040165a%212264&app=WordPdf
 

 

2015/06/14

今半のハンバーグ

 以前、「今半の切り落とし肉が美味しい」という話を書いた。切り落としといえども、それは日によってお肉の生産地が異なるが、何時でも「美味しいお肉」が用意されていることに変わりはない。そこで、切り落としを買ってきて、さらにそれをおかずに調理するのは面倒だと思う人には、今半のハンバーグを紹介しておきたい。1個=120g なので、元気な若者には物足りないかもしれないので、そういう僕ちゃんは、2個使ってほしい。2個でも合計606円(税込み)なので、付け合せの野菜を購入しても、たかだか知れている。ただ、ソースは付属しないので自作する必要がある。その時は、ケチャップとソースを混ぜて使ってみよう。幼い時の母さんのハンバーグになる。

 このハンバーグは、精肉店舗の方で「冷蔵用として」販売されている。したがって、東京近郊の人にしかお勧めできない(冷凍がよい場合は、WEBショッピング・コーナーに更なる上級品が用意されている)。原材料は、国産和牛、玉葱、パン粉、ケチャップ、砂糖、食塩、胡椒である。(原材料の一部に小麦、乳成分、大豆を含む)と記述されている。調理は、フライパンでそのまま裏表に火を通すだけである。ただ、焦げやすいのでフライパンに載せる前に少し平らに変形させ、気長(表裏各4~6分、余熱を上手く活用のこと、染み出した脂は調理用のペーパーで除去する)に弱火で火を通すようにしたい。食べてみればすぐにわかることだが、ソースしだいで「昔ながらの美味しいハンバーグ」に仕上がる。


  上の写真は、ハンバーグの上に大葉、その上に大根おろしを乗せてみた。さっぱりと、和風の出汁醤油で戴きたい。ところで、かつてドイツハンバーグを紹介した時に、「お肉の素性だけに拘ってはいけない。そこに注目するよりも、シェフが味に責任を持って作った品物の方が、美味しさに偏りがなく、なるほど美味しいと思うことが多い」と書いているが、このハンバーグを口にすると、いや、やっぱりお肉こそ素性が重要だと思うに違いない。うーむ、ハンバーグとは、そのような紆余曲折というか、何度も回り道をして辿り着く食材の1つかもしれない。

  家族がたくさん居ると、自ら美味しい牛肉を買ってきて、自宅で作る方が美味しく出来るかもしれない。しかし、たまに、1個か2個、欲しい時のことを考えると、作った後の残りを冷凍しておくしかない。自宅での冷凍には美味しさを保つ機能(細胞レベルの冷凍振動などの管理)が無いため、後々、大方は品質が劣化したハンバーグを口にすることになる。食材の美味しさの魅力は、次にまた口にしてみたいと思うかどうかがだから、やっぱり、食べたい日に今半に寄って303円のハンバーグを2~4個ぐらい買ってくるのが良い。余ったら、カレーに乗せるとか、ハンバーガーのパテとして戴くのも良い。美味しいから、余っても使い道は色々ある。
代表的な店舗の東横のれん街の例。
http://www.tokyu-dept.co.jp/toyoko/norengai/shop/detail.html/?shopcode=ASAKUSAIMAHANseiniku

 

2015/06/10

小林牧場物語(飲むヨーグルト)

 新たな商品が登場すると、つい裏の諸元を眺めて素性を探ろうとする。しかし、そこに書いてある内容の半分ぐらいしか分らなくても、美味しそうに思えば、何となく「買ってみるか」と言う気分になるものだ。今日は、新種のヨーグルトを紹介したい。飲むヨーグルトの最高傑作は、「贅楽」だと思っているが(2013/07/09 2回目紹介)、しかし、長い間同じものの継続は、さすがに飽きるので、時々触手を広げたい。そういうのは誰にでもあると思う。まあ、別段にヨーグルトを口にしなくても生きていけるので、飽きればお休みするのも良い。

 種類の豊富なヨーグルト分野だけあって、消費者の味覚は肥えているので、小手先の美味しさでは納得してもらえない。そのために、生産者は表からは観えないところでも苦労している。ヨーグルトに限らず、乳製品には、何といっても、質の高い生乳が必要不可欠で、それを収穫するには、生み出してくれる牛さんの健康が重要だ。機嫌良く、毎日美味しい牧草を食べたり、散歩したり、疲れたら牧草の上で一休みとか、クラシック音楽を聴いたり、ストレスなく自由気ままで、健康的に酪農生活を送ってもらわなければならない。そこは人間と同じなのである。また、その環境整備のために、人は自らの手によって、土壌の安全性を確保したり、牛さんの声に耳を傾けたり、わがままを聞くなど愛情を注ぐ必要がある。そんな、細かな整備を都度改良するとか、手の掛かる仕事になっている。

 広い北海道の中でも特に小林牧場は拘り抜いた「循環型酪農」によって、優れた品質を長期間確保できる仕組みを完成させているらしい。その拘りによる長年の工夫や改良、そしてそれを実現してきた思想を含めて、「小林牧場物語」と定義づけているようだ。その優れた環境から生まれた生乳によって作られたヨーグルトに、余市のぶどう果汁とりんご果汁を使って、ゼリーにして(果肉に近い食感の得られる)ブレンドしたのが、「飲むヨーグルト 余市ぶどうゼリー/余市りんごゼリー」なのである。PDFの写真左には、プレーンタイプも用意した。

 いきなり、果汁入りのヨーグルトを口にしても、どの味が特徴になるか迷うことがある。そこで、まず、プレーンから馴染んでみる事にしたい。プレーンは、やや「酸味が強い」さっぱりとしたヨーグルトである。これぞプレーンと言った感じで爽やかな後味が残る。原材料を観ると、生乳、ぶどう糖加糖液糖、オリゴ糖、乳製品とあり、色々入っているようだが、やや難解(表記:乳製品とは?)な部分もあるが、あくまで純粋なイメージが強い。それに比べて、ぶどうゼリーやりんごゼリーを加えた商品は、ゼリーに加工して粉砕しているにもかかわらず、果物の美味しさを損なわず、むしろ強調された仕上がりには、少々意外性(優れた技術)を感じながらも、全体として風味の良い魅力的な商品に仕上がっている。
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=CFBF77DB9040165A&resid=cfbf77db9040165a%212250&app=WordPdf 

2015/06/07

体温計を使いこなす

 何気なく新しい体温計を購入した。それ自体、おおっぴらに自慢して話すほどのことでもないが、その背景にあったのは、今使用の体温計の計測時間が長すぎるという不満だった。少々大袈裟だが、人は、「体温を測る体勢で、どのくらい静止していられるか」という素朴な疑問に、歳を重ねるに従って「我慢できる時間が短くなってきた」と感じたり、その状態を保つことが難しくなったという気持ちが浮かんだりする。今や、いいところ1~2分で、最大限度は3分ではないかと思うのである。もちろん、一方で計測時間が長ければ、現実的な計測回数も減る傾向にある。

 今まで使っていた5分計で体温を計測するには、口腔とした場合、舌の下に挟んで5分我慢しなければならない。あるいは、脇下中央に挟んで5分、その体制をいつでも対応しうるかといえば、その程度なら「出来る」と思っていたが、試しに10分おきに数回体温を計測(同じ体制)してみると、残念ながら結果は変動してしまう。これは、正しく計測できていない証とも言える。結局、体温の計測しやすさと言う点においては、短い時間の方が有利に働くことは容易に想像が出来る。


  だから何!それほど度々体温を測る訳でもないのに、熱がありそうだと感じれば、その時、1~2回計ってみれば良いではないかと思われるに違いない。確かに理屈はそうだ。しかし、自分で熱があると感じる場合は、何度か計測し、その体温変化で、安心したり、不安が募ったりする現実があることを忘れてはならない。つい昨年末、インフルエンザが流行していたことから、できるだけ、決められた時間で体温計測を怠らないように努めてきた。決められた時間とは、8時、14時、19時など1日に3回程度が望ましいとされる。これらの時間では、一般的に健康でも順に体温は上昇傾向になる(標準が36.89度夕方)。しかし、呼吸器系に何らかの疾患を抱えた場合は、夕方になるほど更に体温が上昇する傾向になるため、夕方の体温チェックは必須になる。


 さて、短い時間で計測できる体温計は、予測して結果を出す様に設計されている。その短い時間で予測するという考え方に不信感を持つ顧客も多いとされ、高齢化社会では、拘る年配の人が多いようだ。しかし、精度ばかりに拘わらず、今の年齢で適した体温計を模索することも必要ではないのか。例えば、取扱説明書の文字が小さくて見づらくなったと感じたり、年齢とともに瞬間激怒性が芽生えてきたと感じたら、自覚しそれを修正するように前頭葉に働きかけるとか、それなりに努力が必要である。体温計も自分に適したものに買い換えるぐらいの精神的な余裕が必要だ。

 さて、私は、この写真の体温計を好んだ。誤解をされると困るが、必ずしも「この品物が良い」と申し上げてるわけではない。一般的な体温計だと、どことなく「露骨に神経質な空気が漂う」が、この形状の体温計だと書棚のオブジェとして置いておける面白みがあり、童心に帰れて楽しい。外形デザインは、そういう意味で重要である。新幹線ドクターイエローの姿をしているだけで、身の安全を意識できて、人生の安全運転に心がけるに違いない。また、本体温計の特徴として先端が柔らかく作られているので少々の動きは吸収できそうだ。本機の計測ルーチンは、体温が「変化しない状態が1分経過したら電子音が鳴る」ので、おおむねその状態が最高体温を表示している。しかし、電子音の周波数が高すぎて、年配の人には聞きづらいかもしれない。

 

2015/06/03

旭松 こうや豆腐

 こんなに簡単に、こうや豆腐を口にすることが出来る環境にあるとは知らなかった。今となっては、どのような理由でこうや豆腐を戴く必要があるのか迷ってしまうことも多いが、幼いころに食べた経験から、一種の懐かしさに引きづられて、「やっぱり食べてみたい」と思うことがある。幾つかのメーカーから同様な「即席こうや豆腐」が販売されていて、それぞれ少しづつ出汁の味に違いがあるようだが、それらは、おおむね「甘みの効いた出汁」と言った印象である。こうや豆腐は、高野豆腐(こうやどうふ)とか、氷り豆腐(こおりどうふ)とも記述され、歴史的背景や生産地域によって呼ばれ方は様々だ。JAS(Japanese Agricultural Standard:日本農林規格)では、「凍り豆腐」で統一されている。

  この様な乾燥した食品(乾物という)は長期保存に適している。栄養成分としては、代表的な値として、こうや豆腐1個あたり換算で、カロリー=123kcal、たんぱく質=8.7g、脂質=6.0g、炭水化物=8.7g、ナトリウム=580mg、カルシウム=93mg(牛乳80cc分)、鉄分=0.8mg(乾燥プルーン8個分)となっている。その他、元が豆腐だけに、ミネラル、ビタミン等を豊富に含んでいる。美味しさという意味では、食感は好き嫌いはあるかもしれないが、味付けには鰹エキス、椎茸エキス、昆布エキスが含まれており、日本人が美味しいと感じる要素で構成されている。

 昔テレビで紹介された製法を思い出すと、寒さにおいて極めて過酷な製造方法だった。豆腐が凍る前に作業している人が凍傷になるのではないかと心配するほどで、そこまでして保存食文化を継承しなければならないのか疑問に思ったものだが、最近は全て工場で作られているようだ。原理的には、水切りした豆腐を同じ大きさに裁断し、まず最初に、冬の夜凍るような風が吹く屋外に放置する。しばらくすると凍結するが、夜が明けて昼間は水分が溶け出す。昼夜の温度差で水分の凍結・溶解を繰り返し、徐々に水気が抜けて乾物になる。言い換えると、水分が凍結するとき氷の結晶になり、溶解する時にそれが気穴として残り、スポンジのような多孔質な豆腐が出来るという仕組みなのである。

 したがって、乾燥したこうや豆腐を、和風出汁に浸けることで復元する、これを「戻す」と表現する(単純に「お湯で戻す」ことも出来る)。つまり、ここでは、こうや豆腐の多孔質な気穴全体へ出汁を浸透させる。ちょうど、ミルクに食パンを浸けるような要領だが、加熱することで一様に素早く戻すことが出来る。こうや豆腐が並べられる容器に出汁を解き入れ、こうや豆腐を浸けて、電子レンジで5個12分(500Wにて)加熱。もしくは、鍋に出汁を解き入れ、こうや豆腐を浸けて、5個(10~15分程度)加熱する。出来上がったら、そのまま放置して冷めてから戴く。

 戻す出汁の味が少々甘すぎると感じる場合は、出汁を自作するのがよい。丁寧に出汁を椎茸、鰹、昆布から取り出して作ることで、京都の高級料亭の味にひけを取らないお味を実現できる。元が豆腐なので、原材料は国産大豆もしくは、「遺伝子組み換えでない大豆」と表記された品物を選びたい。
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