2011/12/29

年越し蕎麦


 深大寺で蕎麦をいただくなら、いつの日か初詣より、空いている末詣の方がいいと思うようになった。年末に今年の感謝のお参りをして、年明けは、誕生日の前に初詣がてら新規のお願いに行くことにしている。この、「ええっ?」って言われそうな、あつかましいお願いをしながら、年末と年始は蕎麦を食べて近くを散策する。今日も、そんな気分で深大寺まで軽く足を延ばして来た。しばらく来ていないが、何も変わっていないことに安堵する。深大寺門付近の蕎麦屋はそれなりに創意工夫をして、お店の独自性を出しているので、どこのお店が行きつけと言うこともない。むしろ二十数軒ある蕎麦屋を巡って、自分好みにあった蕎麦屋を見つけるのを楽しみにしている。

 遠い昔の若い頃10年間ほど神田淡路町の出版社で仕事をしていたことがあり、いつの日か近所にあった超老舗の「藪そば」も「神田まつや」も、私にとっては定食屋並みに親しみのあるお店になっていた。いずれも、すでにこのブログの「神田シリーズ」で紹介したことがある。自分としては、これらのお店の「つゆと蕎麦」の味は、既に脳裏に焼き付いており、今更ながら懐かしさはあっても、新たな発見はない。こういう老舗のお店は、むしろその変らぬ美味しさを求められているようだ。人は歳を重ねると、新しいことより、古いことを思い出して喜ぶように設計されているらしい。だから、古い老舗の懐かしさに感動しやすいのである。そんな人が周囲にもたくさんいらっしゃるはずである。

 深大寺門付近の蕎麦屋は既に何軒も食べ歩いてきたが、お店の特徴は何も蕎麦の喉越しやつゆの風味だけではない。風情を感じさせるお店内部の様子や外観にも拘りを感じたりするのである。そこに、「いわゆる客を引く見えないお上」の姿があって、かん高い声で「いらっしゃい~」と声をかけられているような雰囲気を感じさせてくれるのである。その日の気分や日差し、あるいは天候などによって、うーむ、今日はめっぽう「腰の強い蕎麦」にしたいなあ~とか、美味しいつゆの「かけ蕎麦」で温まりたいなあ~とか、自然薯の「とろろのかかった蕎麦」をづるっと戴きたいとか、様々に想像をめぐらして、わがままに遊びつくせるのである。

 今日は、深大寺バス停を降りて、深妙大王堂から深大寺本堂への「西からの参道」の、ほぼ入口にある「青木屋の外観」を紹介したい。数多くの提灯の並びに特徴があり、やわらかい間接照明の中で50年続く拘りの本命蕎麦を満喫できる。
ではこちら
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  深大寺周囲の他のお店も見てみたいと思われるなら、過去のライブラリーから再掲してみたい。自作蕎麦の紹介になっているが、写真のみ参照されたい。
 まず、おろそかにしてはならない深大寺蕎麦観音から
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  1軒目の門前蕎麦
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 2軒目の一休庵
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 3軒目の八起蕎麦
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 4軒目の雀のお宿
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 などである。

2011/12/27

おでんで勝負する

    そんなもの作ったからといって、わざわざ自慢するなよ!と言われそうだが、しかし、私の競争心に火をつけたのは、市場を席巻して一大旋風を巻き起こそうとしているコンビニ勢のおでん群である。セブンイレブンは昔から「美味しいおでん」を用意しているし、最近ファミマの「おでんつゆで作る麺」もなかなか美味しい。ローソンのトマトソースでいただく「洋風おでん」は、まあ、珍しく新しい提案である。そういう心温まる新たな展開で「おでんの仁義なき戦い」を仕掛けてきたのは彼等である。どれもこれも、キャッチフレーズは、理屈っぽく 「うーむ、美味しそうじゃないか」 と思わせる説得力がある。しかし、実際の現場では、どれも「今1つの感」は否めない。出汁の色はなんとでもなるが、薫と言うか風味の管理が難しく、時間との勝負になる。ここに商売としての「待つ身の辛さ」が潜む。あっはは。

 ファミマの「おでんつゆで作る麺」は、表現方法として実に的を得ている。おでんのつゆを最後まで飲み干すことは滅多にないと思うが、うどんや蕎麦の麺を入れて「温まってみたい」と思う美味しさを作り出すにはどうすればよいのか、それは簡単である。うどんや蕎麦のつゆで、おでんを作ればよいからである。それには昆布、鰹節で出汁をとり、醤油、日本酒を加えて好みのつゆに調整すればよい。しかし、その単純さが難しいのである。厳選食材に手を掛けて出汁作りを何度も繰り返すことをいとわなければ、徐々にコツをつかんで美味しくなるが、そこまでゆくと、それは職人の仕事である。だいたい「おでん」なんかで触発される人は、食べることは好きでも、面倒なことを嫌う人が多い。

 そこで、この際だから絶対失敗のない「美味しいつゆの素」を紹介しておきたい。嫁入り前のお嬢さんなら、これ1本持ってお嫁に行けば、和食で苦労することはない。お姑さんも裸足で逃げる職人の味を引きだせるのである。ま、「伝統の老舗のつゆ」とでも呼んでほしい。このつゆで作れる代表例として、すき焼きの割下、湯豆腐、ざるそば、冷やしうどん、天つゆ、かつ丼や丼物のたれ、揚げだし豆腐、かけそば、かけうどん、寄せ鍋、和風の煮物、魚の煮付け、など、といっても、どこのメーカーのつゆも同じ品目が書かれているが、ここでは「味の品位」が違うことを強調しておきたい。あとは、応用と言うか使い方の工夫次第である。

 今日は、その京都伏見のつゆ=「創味のつゆ」を「おでん」に使ってみた。このつゆをアルカリイオン水で1:10程度で希釈し、乾燥「帆立の貝柱」(ここが俺流)、そしてこの季節の特徴を出すのに生食用「牡蠣」1パックを使う(これも広島流?)。そして、日本酒を適量投入する。少し「つゆ」が薄いかなと思う程度でよい。さらに、ちょっぴり辛めがお好きな方は、「鷹の爪」を加えるとか、さっぱり感を強調したい場合は、生姜を一欠け投入しておく。油で揚げてあるおでんの種は、一度湯通しをして余計な油を流し、さっぱりした感じで使いたい。牡蠣は、洗浄後「創味のつゆ」1:4 程度の濃いめのつゆが入った鍋で火を通しておき、最後に合わせて盛りつける。大根や、ジャガイモなど火の通りにくい食材を扱う場合は、あらかじめ別の鍋に用意する。おでん鍋の火力はあくまで小さめで、沸騰させてつゆの味を壊さないように注意をする。

  あと、ファミマの様な透明感のあるつゆにしたい場合は、別途つゆを用意し入れ替える。これだと、麺を入れて食べてみたいと思う色になるかもしれないが、1度、この「創味のつゆ」を使うと、そんなつまらんことを考えなくても、必要な時に必要な量だけ希釈して使えば良いと思うに違いない。おっと、忘れるところだったが、トマトソースも優しくて良いが、「おやじ味噌」で辛味を加えると、全然風味の違う美味しさが引き出せる。これもいけると思う。さらに、この「創味のつゆ」の美味しさを知ると、様々な料理に腕をふるってみたいと思うはずである。このような状態を「味を占める」というが、とにかく、最初は騙されたと思って使ってみるとよい。
ではこちら
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 補足1:注意すべき事として、便利な「保温容器」を使っておでんを作る場合は、最初の数時間だけ保温容器で温め、適当な時間で取り出して冷やすこと。冷えるときに味がしみ込む。そして、保温容器は、中の物が腐敗しやすいので、長時間放置しないよう注意しておきたい。
 補足2:近くのお店に、この「創味のつゆ」を置いてなかったら、ひょっとして売り場の担当者は外国人かもしれない。そういう場合は、次からそのお店を考え直した方がよい。
  補足3:煮込む料理には、浸透力で差があるアルカリイオン水が優れている。

2011/12/23

オーディオマニア22

    恐る恐るボリュームを上げると、飛び散るような鮮烈な音が飛び出してきた。端正で明るい中高域はYAMAHA B-3 の特徴である。もうかれこれ20年ぐらい電気を入れてなかったせいか、疲れもとれたようで元気いっぱいである。聴いている方は、随分くたびれてしまったが、この音を聴くと、30年前の若かりし日々が自然に蘇ってくる。1年ぐらい前の話になるが、常用していたBX-1(モノパワーアンプ)の1台が部品不足で修理できない状況になり、2台とも部品取り用としてYAMAHAのサービスに奉納させてもらった。そこで、不安を抱えたまま、奥の部屋からB-3を引っ張り出して音を確認してみたと言うわけである。B-3も悪くはないが、やっぱり、BX-1の重厚で壮大な音づくりは良かったなと、ありがたみをかみしめている今日この頃である。

   BX-1もB-3もそれぞれ音の傾向が大きく異なり、勿論、発売年次(80年、77年)やスペック的にも、最大出力、出力デバイス、回路系、部品、物理特性等が異なる。何が違うからパワーアンプでこういう音の違いがあるのか、明確な理由はない筈なのだが、専門家に言わせれば、必ずこじつけをしたがる。たとえば、BX-1は、完全A級アンプなので、電源電流を低歪率化するリニアトランスファ回路を採用して電流歪を低く抑え、電源が音質に影響を与えないピュアカレントサーボアンプを実現しているという説明であったり、B-3の回路構成の、初段はカスコードブートストラップFET差動増幅、プリドライブ段はカレントミラー負荷差動増幅、ドライブ段はプッシュプルドライブ回路、出力段はB-3用に開発されたSIT(V-FET)によるDCアンプ構成で、低域から超高域までピュアな音質を実現したという。まあ、勝手に名称を付けるのも悪くはないのだが・・・・。

  ただ、いずれのパワーアンプも、音質対策用の自社製の部品をふんだんに投入してあり、回路方式よりも部品による音質への影響が大きいと思われる。自社製部品をふんだんに投入できる会社の製品は、明らかに音のまとまりがよいという傾向がある。当時は、シャシを開けてみただけで、これは「いい音がしそうじゃ」とか、「全然あかんわ」などと、勝手に決め付けたものである。たとえば、外販されている馴染みある部品が多用されているアンプは、音のまとまりが悪いという印象を持っていた。別にアキュフェーズのアンプを指しているわけではないが、新製品の内部をあけて写真を撮り、そして音を聴くと言う編集屋の仕事柄、そういう経験を積んだわけである。勿論、まったく根拠はないにも関わらず、結果は極めて的確だったと思っている。しかし、このBX-1とB-3の音の違いは、かなり次元の高い比較であって、その手の「どうにもならない違い」ではないことを強調しておきたい。

 結局、良い音を追求していくと、部品から半導体まで自社で開発しなければならないという結論に達する。当たり前と言えば、当たり前の話で、音質の管理が様々なジャンルで行き届くわけである。それを、大手メーカーの底力と言ってしまえばそれまでだが、「優秀な人材が高い次元の製品を目指す」には、そういう選択肢しかないのである。それも、オーディオへの取り組む姿勢のバロメータとして評価されるべきである。その視点で YAMAHA というブランドを眺めると、「製品に人が憧れる美的感覚を豊富に盛り込める会社」で、オーディオに限ったことでもないのだが、この分野でも歴史に大きな業績を残してきたと言える。多少の好き嫌いはあっても、傍から見るとよい会社に思える。

 パワーアンプは、もっともらしい評価方法の1つに「1Wの価格」で比較されることがある。まったく、八百屋で売られている「みかん一山」いくらと同じだが、その手法で比較してみると、A級モノパワーアンプBX-1は、片チャネル100Wで33万円→100Wx2=66万円である。DCパワーアンプB-3は、元々ステレオで使えるので70Wx2=20万円となる。こういう比較だとBX-1の重厚で壮大な音づくりは納得がゆくものかもしれない。今日は、そのB-3を撮影してある。とにかくYAMAHAのアンプは、全て黒いヘアラインづくめという特徴があり、撮影の前の清掃には手間が掛る。
ではこちら
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2011/12/20

このブログへ来るきっかけ2

    半年前に始めたレビューの第2弾になる。身の回りで起こっている様々な現象を、ブログという形で紹介してきた。私より御年配の方々で生きる刺激の少ない方は、この報告を「同世代の話題の1つとして」参考に若者社会との親和性を増やしてもらいたいと思う。今回も、まず期間を2011年1月1日~2011年12月19日に設定し過去1年間の統計になる。原稿のリリースの日はまちまちで、古い方が若干上位に有利になる。そして、あくまでもアドレスではなく「タイトル、もしくは、ラベルから」のみ関連ワードを抽出してランキングしている。

 まずは、20位→Netra T1 、19位→新品種みかん せとか、18位→八幡太郎義家納豆、17位→オーディオマニア14、16位→一枚流し水羊羹、15位→VHD、14位→オーディオマニア16、13位→競馬は興業なのだ、12位→京王フラワーガーデン、11位→フランス流紅茶芸術、10位→オーディオマニア13、9位→SUN StorEdge D2 、8位→仕事でEOS7D 、7位→無停電電源(UPS)を使いこなす、6位→オーディオマニア15、5位→キャンディーズと電線音頭、4位→不二屋のミルキーロール、3位→腰痛治療、2位→贅沢ヨーグルト、1位→EF28-70mmF2.8Lの白濁現象 となっている。半年前の過去1年の結果と大きな違いはない。

  誤解されても困るので再び補足するが、これら20位のランキングは、記事がよかったと言って評価された順位ではない。あくまでも、その関連ワードによって検索している人が多いというだけである。つまり、「不二屋のミルキーロール」を知りたいから、ブラウザの検索から「不二屋」とか、「ミルキー」とか、「ロール」と叩いてみて、その中から Archivetec Report をクリックしただけの事である。あと「腰痛治療」などは、いつもアクセス数は多い。そこで、冒頭の書き出しのように「御年配同士の話題」に力強い味方になると思われる。いつ統計を取っても必ず上位へ入る不滅の話題といえる。しかし、それは腰痛に関して良いブログがないか、あるいは、腰痛で困っている人がArchivetec Report を何か腰痛に関するレポートと勘違いしてクリックしているかの、いずれかが考えられる。

 さて、このランキングは20位まで紹介したが、実際は125位まで続く。しかし、それらには、定期的にこのブログを見ていただいている常連さんは一切含まれていない。「ブラウザの検索」からたどり着いた一元さんのランキングなのである。常連さんと一元さんの違いは、ほぼ1桁である。

 このブログを始めてご覧になった方への推奨手順は、上記で紹介した20タイトルのうち、興味のあるものがみつかれば、そのワードをページの右側にある「ブログ内検索」へ投入して、それに関連いたページを開いてもらえば良いし、大まかに分類して、「オーディオ、甘いもの、乳製品、流行歌」などが話題の中心なので、その関連用語を投入してもらっても良い。それで、面白そうなものが出てこなければ、それは、何処を見ても面白くないということに繋がるので、早めに離脱された方がよい。しかし、文字を追いかけるのがお好きで、誤字脱字を見つけるのが趣味とおっしゃる方は、じっくり、いくらでもほじくっていただいて結構である。いつか、面白いものを発掘できるかもしれない。

  補足:期間を2011年1月1日~2011年12月19日までのアクセス統計結果だが、当然2010年のタイトルも含まれている。ちなみに腰痛治療は、2008年のタイトルである。

2011/12/16

大山こま最中

    「こま」には2種類ある。1つは将棋の駒、もう1つは、紐を引って回転させる独楽である。今日のこまは、こちらの独楽である。ろくろに「瓢箪(ひょうたん)」を取り付けて、回転させて削っている様子を連想すると、ひょっとしたら、そうやって「瓢箪から独楽(こま)」が出来るのでは、と思うかもしれないが、それは勘違いである。普通は、「瓢箪から駒」である。これでも、まだ、意味不明なところがあり、ひょっとしたら出来るかもしれないが、「瓢箪から米」、「瓢箪から仔馬」というと、やっと意味が通じて、そりゃあ無理でしょってことになる。冗談で笑い飛ばした「ありえない話が、まれに現実になる」ことを、「瓢箪から駒」という言い方をする。しかし、まったく根拠のないことから冗談が浮かぶわけもなく、やはり、どこかに僅かな可能性を残していて、それを面白可笑しく話してみる探求心があるからこそ、万に1つでも、「瓢箪から駒」が出来る可能性が残されているのである。

 その、「独楽の形をした最中を作ったらどうか」と考えた人がいたようだ。作る難しさに加えて、それを珍しがって買ってもらい、採算に乗せるところまで考えると、独楽を見ながら考え込んでしまったに違いない。しかし、難関を乗り越えても、それを実現できたとしたら、まさに「瓢箪から駒」と言っても良いのではないだろうか。そうやって、難しい独楽の形をした最中を作ることで、珍重され商売に広がりを見せてきたのである。その最中の洗練された外形には、鉢巻きがされている。1個、1個複雑な形状に餡をまんべんなく馴染ませ、2つ同じものを作り、張り合わせて鉢巻きをして組み上げる手間は、一般の最中とは工程の繊細さに大きな隔たりがある。しかも、この独楽の形をした本格的な最中は、他に類がないのである。

 神奈川県の大山阿夫利神社では、参拝者向けのお土産として「大山こま」が販売されてきた。これは、お土産屋が名産を縁起物にすり変えた、「奥ゆかしい市場刺激策」の1つだったと考えられる。独楽は、円い型にしっかりした芯棒を付けることで、よどみなく金運が回る、と独楽へ独自の解釈とこじつけを加えて、縁起物として親しむ要素を組み込んだのだろう。参道の両脇にはお土産屋が並び、参拝した帰り際は、気持ちが楽になることから、お参りに来た証として、縁起物のお土産を買って帰ると言う習慣が定着してきたと思われる。独楽を中心にしたお土産は、それだけなら、単なる郷土民芸品で終わってしまうが、独楽にまつわる菓子や饅頭などもお土産にすることで、市場規模はさらに拡大すると、当時の人は考えたに違いない。

 今日は、その大山参りに行ったわけではない。PDF写真の品物は「尊敬する先輩からの戴き物」である。箱に詰めてあるのは、丁寧に作られた珍しい「大山こま最中」のほか、「大山まいり」(バター風味の生地で甘露煮にした一粒の栗・梅を包んで焼き上げた焼き菓子)。白と緑の包は栗、赤の包は梅が入っている。それ以外に別包装の「桃山」と言う、栗、桃、梅が入った饅頭である。どれも、なかなか上品なお品で美味しいが、「大山こま最中」は、その中にあって圧倒的な存在感で魅かれるものがある。ではこちら
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2011/12/13

昭和の流行歌9

    久々に流行歌を思い出すことになった。きっかけは、山口百恵さんの15,300円の豪華な完全記録本が、最近にわかに話題になっているからだ。やはり、昔の歌謡曲を懐かしがる人が多いのか、あるいは伝説の人の当時の記録と自分の若かりし日々を重ねてみたいのか、全くわからないが、いずれにしても結局「あの頃は良かった」に繋がるわけである。あの頃とは、1970年から1990年ぐらいの間で、当時20歳前後の1950年代生まれの人たちの気持ちなのだろう。

 彼女のデビューは、「スター誕生」という日曜日10時頃のオーディション番組で、今なら、さしずめ政治番組の時間帯である。昔は、政治よりも歌謡曲に関心が高かったのである。歌の上手い森昌子さんや、可愛いい曲が似合う桜田淳子さんと同じ時期のデビューである。その二人の間にあって、難しい路線を歩むことになる。当時としては、やや禁句のような大胆な言葉を並べ、冷たいトーンで「女の子の大切な物を・・・」と歌い、「ひと夏の経験」はヒットしたものの、「作詞:千家和也、作曲:戸倉俊一」の曲は、今一つ盛り上がりに欠けた。この前期二人組の頃は10曲ぐらいリリースされたが、ヒット曲はその他に「ちっぽけな感傷」、「夏開く青春」、「パールカラーにゆれて」あたりに留まる。

 ところが、後期の「横須賀ストーリー」に代表される、「作曲:宇崎竜童、作詞:阿木燿子」の曲からは、大人のイメージをどんどん加算していく。「これっきり、これっきり」など小気味よい繰り返しは、主張する女性を印象付け、それが、山口百恵の秘めた魅力を少しずつ引き出したといっても過言ではない。まさに、歌詞を通じて時代を象徴するような、「強く生きるヒステリックな女性」を作り上げていったのである。

 その宇崎・阿木シリーズの中でも最も印象深いのは、「真っ赤なポルシェに乗った女性」である。ここでも「プレイバック、プレイバック」と業界用語を繰り返しながら、途中に「馬鹿にしないでよ、そっちのせいよ」の責任転嫁の強気のフレーズが入っていて、捨て台詞風の言葉が多く集められている。極めつけは、「坊や、一体何を教わって来たの」で、女性なら一度は投げかけてみたい言葉である。勿論、潮風の中、力いっぱいアクセルを踏み、ラジオのボリュームをあげると流れる「勝手にしやがれ、出て行くんだろ」は、沢田研二の曲を指している。このあたりの描写にも、時代を反映したとめどもない解放感が潜み、とても象徴的といえる。さらに、この二人の曲のもう一つの魅力は、メロディーラインの「リードギターの響き」が美しく際立っているところである。

 その後も、横須賀あたりで流行った象徴的な技法が「美・サイレント」にも使われ「こちらは歌詞のない XX・・・・ の個所」が多数設けられている。その少し前には、「イミテーションゴールド」に、「あん、あん、あん、・・・・」と続けるフレーズもあった。いずれにしても、かつて使われたことのない歌詞の組み合わせに、その斬新さがうかがえる。

 その強気の路線とは対極の、やや古臭く大袈裟な歌謡曲ともいえる谷村新司 作詞・作曲の「いい日旅立ち」や、さだまさし 作詞・作曲でフォーク調の「秋桜」を挟んで、落ち着きのある年代のファンにアピールする仕掛けを作り、彼らを巻き込んで、立て続けにヒットを飛ばしてきた。
 さて、今日のPDF写真だが、当時のものとして現存するのは、CBSソニーのミュージックカセットや、45rpmのドーナツ盤である。そこで、そのシングルジャケットを撮影して参考資料としておきたい。ファンには申し訳ないが、ま、勝手にいいと思う写真だけ並べてみた。
ではこちら
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2011/12/09

ふりかけと佃煮の狭間

     世の中には、高価で美味しいふりかけがある。素材には、鰹節を主体として、胡麻、椎茸、きくらげ、松の実、その他 山海の珍味が色とりどりに綾をなして、独自の製法で風味豊かに作られた「錦松梅」という銘柄である。一般的なふりかけは、食材の原料を細かく粉砕し調味料を加え、特徴付けに珍しい食材なども混ぜ合わせて作られる。これらは、乾燥状態を保つようなパッケージに収容され、振って、ご飯にかける動作が「ふりかけ」の語源となっている。しかし、この錦松梅は、ふりかけという分類より、むしろ「高級な佃煮」の方が適切な表現と言えるかもしれない。それは、やや味付けに湿気が残り薫り豊かで、さじで容器からすくい取って御飯にのせるからである。そして、この状態では、完全に乾燥した食材より早く薫る。

  数多くの種類の食品を少しづつ戴くという趣向には、日本の古き良き知恵が生かされていると思われる。もちろん、ご飯とふりかけだけでは栄養不足になるかもしれないが、その中にあって、最近の食卓では、単独で食べる方法を知らない食材も含まれている。とりわけ「錦松梅」は、栄養価も高く、美味しい食材を選りすぐって詰めてある。おおよそ、90gで500円ぐらいから商品が用意されていて、高級な陶磁器に入った8,000円ぐらいの商品もある。それらの違いは主に器そのもので、日本人の食の美意識を刺激する格調高いものである。年齢的にも食が細くなったが、美味しそうな器に囲まれて、「器を楽しむ」感性に価値を求める人たちの楽しみなのである。我々としては、いくら美味しいふりかけでも、一膳あたり数千円もするようでは箸を付けられない。あくまで、食欲を失いつつある人たちの為の商品かもしれない。
 
 そうかと思えば、一方で「小安いふりかけ」でも、年配者の1つの流行になっているようで、60gで220円相当のふりかけも飛ぶように売れているという。そんな話を小耳にはさみ、「へ~、そう、では俺も」と思いながら、改めてふりかけ売り場を眺めてみる。ちょっと懐かしさもこみ上げて来そうだ。それをもっと実感として、ご飯にかけて体感してみたいので、いくつか購入してみたのである。確かに売り場には、ふりかけを愛する「じいちゃん、ばあちゃんから子供さんまで」、新製品を手にとって原材料名などを比較している。そんなスーパーの売り場で人気があるのはやはり、「丸美屋と永谷園」である。両社とも、いわゆる老舗で丸美屋の「のりたま」とか、「牛肉すき焼きふりかけ」などは50年以上前から人気がある。余談になるが、当時私は、「のりたま」に入っているエイトマンのシールを集めていたし、牛肉すき焼きふりかけは、白木みのるさんの「ライス1」というコマーシャルを鮮明に覚えている。

 懐かしさが後押しをして、今日は、50年以上の歴史とノウハウを自慢できる私の「ふりかけベスト3」を紹介したい。それも、ふりかけという分類のみならず、「おむすびの素」としても使用できるし、「炒め物やサラダにも使える」多目的な副食材として挙げてみた。少々古い年代の我々にとって、どうしても鰹節、海苔、昆布、梅、胡麻、しらす、山椒などを好む傾向から、単に味付けに対する独断や、製造者に対する信頼感などといったちっぽけな考えに留まらず、一般庶民の目線で、食文化の歴史観に裏打ちされて抽出した商品である。恐らく、この3種類を用意することで、ご飯のお供のみならず、多目的に利用できるはずである。
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2011/12/06

マイクロファイバー

   こんなに、水分を吸収して、さらに速乾性にも優れた繊維があったのかと、正直驚いている。繊維が髪の毛の1/100の細さだとか、綿の5倍の早さと、さらに3倍の給水量という卓越した能力を備えているらしい。かつては、それなりに理屈を理解していたものの、現実に自分の身の回りで使い始めると、その実力に感心させられる。 私の様な古いタイプの人間は、何かにつけて物事を素直に受け入れられない時があって、何でも疑ってしまう癖もある。しかし、この様な形でマイクロファイバーが束になってかかってくると、そんな疑い深い自分を根底から覆し、足先の全ての水分を一気に吸いとってしまう、まさに、恐るべし吸収性と速乾性で「心地よい風呂上り」と、今更ながら嬉しくなるのである。

 優れた素材にも、商品化のためのマーケティングが必要であったり、売り方にも工夫が必要なことは多い。昔は、秋葉原駅の前とか、田舎のデパートの一角で、雄弁な語り口調で実演販売をする人たちがいて、ご婦人方も「ほんまかいな?」と疑いながらも、楽しそうに聞き入っていたことを思い出す。男性は理屈だけでも、勝手な推測を巡らして(騙されやすい)購入する人が多いが、女性は、その場で見た事実以外は信用しないらしいく、「細かく順を追って説得する必要がある」という話を聞いたことがある。だから、商品が画期的であればある程、その様な実演を主体とした販売方法が有効に機能したのである。勿論、今でも実証主義的な販売手法は魅力的な側面をふんだんに備えている。

 それでも、この商品の売り上げは、想像に反して当初は厳しいものがあったようだ。デパートに限らずスーパーなどの売り場では、たくさんのカラフルなタオルやバスマットの中にあって、一寸安っぽく派手な色に染められて、さらに「小安い値札」が付いていれば、ちょっと敬遠してしまう人も少なくないはずだ。さらに、いくら優れた性能でも、「マイクロファイバーという言葉に反応できる御婦人方が、何人いらっしゃるであろうか」と思うのである。それこそ、技術革新を装う「あらての偽物商品」ではないだろうかと不安を覚えたり、おまけに、MADE IN CHAINA とも書いてあり、仮に真っ当な商品であっても、ちょっと敬遠したい気分になってしまったかもしれない。

  最近でも、一般家庭で、お風呂場、洗面所、台所等で使うことを考えるならば、少し落ち着いた色を選ぶかもしれないし、デザイン性やさらに芸術的絵柄や雰囲気までも要求するにちがいない。つまり、商品価値のウエイトを時代に沿って何処に置くかが、重要な競争力を決定づけると推察されるのである。そして、既にマイクロファイバーという言葉を良くご存じの方でも、それだけでは競争を制するのは難しくなっている筈である。そんな能書きを振りかざす私も、最初からもろ手を挙げて喜んだわけではない。何度も同じ場所を使って吸収力をみたり、使った後ひっくり返して浸透力をみたり、意地悪な使い方もした。でも、しばらく使い慣れると徐々に納得し、今では「素晴らしい」と感心しているのである。様々なサイズが用意されているが市販の価格は、サイズ約550mm×800mmで1,700円程度である。
ではこちら
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2011/12/02

オーディオマニア21

   今や、こんな話をする必要はなくなったのだが、オーディオ装置の中で一番厄介だったのは、出力が微小なMCカートリッジだったと言える。特に著名なカートリッジほど、MC(Moving Coil)型が多く、艶やかで力強く、おまけに切れ味のよい音を再生することで、古くからもてはやされていた。通常は、MCカートリッジの微小出力は、昇圧トランスかヘッドアンプを経由しプリアンプへ伝送する。国内で著名な製品は、放送業務用のDENON 103シリーズで、海外製品ではオルトフォンのSPU-AとかSPU-GTEなどがあった。前者はフラットでストレート、ジャンルを問わず Hi-Fi な音質が特徴だったが、後者はクラシック・ファンから支持され、力強いとか、切れ味が良いとかの評価であった。ただ、個人的には後者は歪ぽく聴こえるため対象から外している。

 一般的なプレーヤは、いくつかのコンポーネントで構成され、カートリッジの出力はそれらを経由して、昇圧トランスやヘッドアンプ(別名プリプリアンプ)に接続されている。そのカートリッジ→シェル→アーム→出力端子間には幾つかの金属接点が存在し、それらは微小信号に対してダイオードのような振舞いをすることが知られていた。今日紹介するのは、YAMAHAのヘッドアンプHA-2で、従来のヘッドアンプとは異なり、ヘッドアンプ初段の片側のFETをシェルの根元に封入し、もう片側をHA-2本体側に搭載しているところにある。そうすることでMCカートリッジから出力される微小信号は、シェル内部のアンプを動作させるための電源電流に乗ってHA-2本体へ出力される。その電流バイアスによって、その微小信号に大きく影響するあらゆる非直線部分を避けて伝送することが出来るというものである。

 HA-2の内部は、マークレビンソン流の樹脂でモールドされたブロック状の箱で構成されていて、全く内部構成は不明になっているが、接続はC-2xなどのプリアンプのAUXに接続する。利得は63.5dB、定格入力電圧 0.1mV、最大許容入力 4.0mV となっており、高出力型のMCカートリッジは使用できない。音質面では、昇圧トランスを使用したカートリッジに対して、一般的に「霧が晴れたように鮮明でワイドレンジな音質」として評価されている。確かに、オーケストレーションでのピアニシモでは、今まで聞き取りづらかった一音一音が鮮明で際立つようになったと思える。また、全体的にひずみっぽさがなくなり、肉付きの良いふっくらとした音に包まれる感じである。一度使い始めると、その圧倒的に純粋な音質に魅かれ、絶対に元に戻ることはできない。・・・・・とはいうものの、誤解のないように。これは、あくまで1979年の最新型であり。その後HA-3という製品も出ている。
  
 PDF写真のカートリッジは、DENON103、同103D、同305 の3タイプで、ソニーのPS-8750のアームに取り付けて使用している。このPS-8750 と、上記カートリッジに関しては、既に「キャンディーズと電線音頭」のPDF写真で使用しているが、今回は、ヘッドシェルの根元に注目されたい。このヘッドシェル根元に搭載されているFET(外からでは見えない)は、本体HA-2内部のそれと同一特性である必要があり、工場出荷時に1個ペアが組まれている。しかし、実用上カートリッジの比較等不便な事が多いので、あえて日本楽器製造㈱にお願いして、特性の揃ったシェルを追加で2個選別してもらった。
ではこちら
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=CFBF77DB9040165A&resid=CFBF77DB9040165A%211048&app=WordPdf