2009/12/15

高尾山1

 今日は高尾山口まで来ている。新宿から京王線特急で50分程度の場所である。京王線の改札を出ると右の狭い道なりに進む。左に小川のせせらぎが聞こえ、ピーンと張った冷たい空気で、随分遠くへ来たなという感じがする。5~6分歩いて広い通りに出ると道の両脇には蕎麦屋が並んでいる。ああ、ずっと変わっていない。あの店でも、この店でも蕎麦を食べたなと、きょろきょろ暖簾を眺めながらケーブルカー乗り場へ進む。乗り場では、丁度ケーブルカーが発車したところだった。次の発車は、15分後になるようだ。しばし、退屈な時間を過ごすが、乗り場の壁面には綺麗な高尾山の写真が大伸ばしにして幾つか掲示してある。凄い写真ばかりで圧倒されてしまう。 どうやって撮影したのだろうと想像している間に、リュックを背負った団体が乗り場の左の脇道を通る姿を確認した。おおっ、そんな装備がいるのかとびびってしまった。

 高尾山には、歩いて登るルートもいくつかあり、自然に親しむ、例えば動物、植物、鳥、昆虫などを生態を覗くには、そちらの方が楽しい。もっとも天気も良いので、気分的にはそうしたいが、ヒアルロンサンZXを飲んでいないので膝や腰を痛めてはならないと思い、やはりケーブルカーを利用することにする。案外テレビのCMは、人を宥める効果があるかもしれない。そうそう、CMと言えば、本木君の出ている、右手で背広の襟を掴んで、いざ出掛ける様子を最後の静止画でみせるCMは、素晴らしく格好よい。胸板の厚みがあると、あのようなショットが創作できるのか「おーっ」と半ば感動ものである。その前の畳み込むようなスピード感溢れるシーンは全て、身のこなしの美しさで、バランスと体の切れのよさを次々と強調する、それらが最後のショットを印象深いものにしているのである。なんのCMかは忘れたがLED がどうした、こうしたとかいっているようだが、完全に本木君のプロモーション映像である。やはり、「丘の上に立つ男」は体を鍛えておかなければならない。

 話を戻すと、高尾山に登るには、ケーブルカーのほかにリフトも用意されている。高所得意症で気持ちの良い空気を胸いっぱいに吸い込みたい方は、そちらがお勧めになる。ケーブルカーもリフトも、往復900円で、片道だと470円、したがって、片道づつ別々に楽しむことも出来る。ケーブルカー(リフト)の始発は8:00(9:00)から15分おき(随時)に出発し、乗車時間は6分(12分)である。最終運転は、季節や催し物によって異なるが、一般的には、おおよそ17時(16時)までと考えておくと間違いない。

 ケーブルカーは山の斜面になぞられて、垂直に立ったまま移動できる乗り物だが、最初は傾斜が緩やかな場所を走行するので、概観はやや前傾姿勢をしているようにみえるが、最後に傾斜31度18分と急峻な場所を登るので丁度良い姿になるようだ。それでは、今からケーブルカーに乗リ込むことにするが、乗車位置はやはり先頭しかないだろう。どういうわけか、幾つ歳を重ねても、やはり先頭の窓越しに立つと言う癖は変わらないようだ。時折、京王線等でもおっさんが子供達に混じって、先頭の運転席のそばに立っている姿を見かける事がある。じっと、電車のスピードと運転手の操作を比較しながら見入っている。子供の頃から運転手に憧れ、何時かあのハンドルを握ってみたいと、ずっとずっと考えていたようだ。そのためには、信号機を見て運転手の指差す姿や、確認号令を真似しておく必要もある。加速はどの場所でするのか、駅構内でのブレーキはどのタイミングなのか、停車位置にぴったり止めるには、などと、しばし、子供心に戻っている。それも、仕事を忘れるほんのひと時なのかもしれない。その感覚と全く同じである。

 さっそく先頭に乗り陣を構える。運転手も乗り込み出発する様子だが、車内電話で何か連絡を済ませ着席する。しばらく静寂の中、じっとしていると動き出した。スピードは案外想像より早い。線路の左右の木々は丁寧に刈り揃えられているし、落ち葉も清掃されている。線路中央にあるワイヤーがぐいぐい引っ張り、常にピーンと張り詰めている。ケーブルカーはみるみるのぼり、眼下には徐々に紅葉が広がってくる。車内も騒がしくなり、次から次へと紅葉が太陽の日差しに透けて輝きながら流れていく。子供達もはしゃぎ回り楽しそうだ。中間点の上りと下りのケーブルカーが交差するところでは、子供達の興奮もピークに達する。
 その風景は、こんな感じなのである。 紅葉もこれからの時期、しばらく続きそうだ。本来の見所は、もっと先の鉄橋を渡るところあたりで、傾斜も鋭くスリリングで眺めも良い。一緒に乗ったイメージで眺めてもらいたい。
ではこちら
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