新宿の高島屋の「千疋屋総本店」に置いてあるみかんには、さすがに驚きを隠せなかった。千疋屋は品質も価格も高いことは心得ている。サンプル試食でも驚くほど美味しいと思えた。糖度14度は凄まじい甘さで、外皮は超極薄、中の袋(じょうのう)は丸々食べられる。従来の「みかん」とは、一線を画すものの様だ。これは、最新の交配技術を活かした新製品で、もはや芸術品の領域に到達したいっても過言ではない。それは「せとか」という品種で、長崎の(独)果樹研究所カンキツ研究部で育成されたもので、清見とアンコールNo.2を掛け合わせて、さらにマーコットと掛け合わせたという。もちろん、これはこの時期ハウス栽培で1個1個丁寧に育てられている。
誰しも、どうせ「みかん」でしょという印象を持つかもしれないが、食べた人しか分からないところが、少々残念である。だから、お値段を示すと興味を持たれるかもしれないので、「はしたなさ」を覚悟で申し上げるが、1個200~300g程度の物で1,000~1,200円である。一山じゃなくて1個。あくまで1個だ。それは、千疋屋だからだろうと思われるだろうが、他の高級果物屋さんには、もっとお安いもの(1個400円前後)も置いてあるが、中身が全然というか、全く違うことをご承知おき戴きたい。
PDFで紹介しているのは、千疋屋の1個1,200円の品物で、生産者(松川さん)自ら試食を配っていた品物。これが、飛び切り美味しい「せとか」である。6個購入して、既に1個味わいながら、「うーん、うーん」と唸りながら、ついぺロっと食べてしまった。外皮をむいたときの薫りも素晴らしい。種子は微小な物がほんのわずかある程度で、じょうのうごと食べても全く分からない。それほどジューシィといえる。食べた後は、即座に血糖値がピークに達し心地よい気分になる。お昼の食事の代わりにも丁度よい。といっても、ちと高価すぎるのが問題だ。それにしても飛ぶように売れる品物ではないが、味の分かる人は、「うーん、美味しい、なるほど」と唸りながら、次々と購入していった。
さて、私は小学から中1まで松山で過ごしていたので、柑橘系にはちとうるさい。同級生のみかん山には商用のもの、自家用のものなど、数多くのみかんが育ててあって、完熟の食べごろの見分け方等まで教わってきた。みかんは、朝一番が甘味が強く美味しい。それが実感である。まあ、そんなことはどうでもよいのだが、その経験から申し上げると、極端かもしれないが、せとかは「爽やかな甘さなのにこくがあり、その飛び切り濃い味」が特徴で、皮もデリケートで薄く比類がなく、こんなの見たことないって言うのが正直な感想である。長崎の温暖な気候と傾斜地の多い土地柄、さらに日暮れまでの長い時間による光合成。そして暖かいハウス栽培が、この甘さと味の濃さを生んでいるようだ。紹介する「せとか」は、松川さんのハウスで育ったもの。何年も掛けて大切に育てられてきて、口にした人がみんな幸せを感じる事が出来る、これこそ貴重な芸術品である。1度1,000円~1,500円ぐらいの品物を食べてみて欲しい。
松山にいた頃、今から50年ぐらい前になるが、当時は甘い物が少なかった時代で、その時、松山だけで販売された新品種の「伊予柑」を初めて食べた時のことを思い出すほどの衝撃を受けた。絶対美味しい。
ではこちら
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