昔から営業している喫茶店に入ると、漂う珈琲の薫りで癒される。気分も楽になり、まったり落ち着いた気分になる。この漂う珈琲の薫りは、豆を挽く時に出る薫りで、アロマ効果に優れている。この薫りが良いとドリップであろうがサイホンであろうが、プロセスを問わず珈琲も美味しいに決まっている。最近は、そんな「薫り高く、まったり過ごせるお店」は、めっきり減ってしまった。かつては、テレビゲームを置いて集客した時代もあって、時間を見つけては喫茶店へ行き、そこで腹が減ればナポリタン、ミートソース、あるいはサンドイッチぐらいで、おおよそ選択肢はなかった。ただ、甘い物はたくさん揃っていたような気がする。ここのチョコレートパフェは美味しいから、とか、ラム酒とラムレーズンの入ったプリンはここしかないからとか、一方、モーニングにハムサンドとゆで卵が付いているからとか、様々な差別化で集客力を高めていたような気がする。いずれにしても、喫茶店はもともと珈琲だけでは商売が難しいという歴史を背負ってきた。
そうそう、モーニングで思い出して脱線するけど、大阪の天王寺の先に長居というJRの駅(地下鉄もある)があって、そこへよく出張で出かけた。駅近くの宿泊ホテルは1軒しかなく、しかも朝のバイキングは1,200円で、確かに和洋区別なく食べ放題だが、好き嫌いの激しい私としては、3日も宿泊すると飽きるし、何故か珈琲は全く美味しくない。そんなある日、我慢の限界を感じて近所の商店街へ出かけた。この商店街は、どこか昭和のままの面影が懐かしく若い頃を思いだす。こんな街の喫茶店なら、ひょっとしてモーニングもあるかもしれないと思いながら、一際ひなびたお店のドアを引いた。中は、珈琲の薫りと蒸気を含んだむわっとした空気で溢れている。やっぱりだ。中は4人掛けのテーブルが6セット位しかないが、小綺麗にしてある。すでに7~8人の客がいて、新聞や週刊誌を読んだり、テレビのニュースを観ながら珈琲を楽しむ人それぞれで、確かに、お客は私も含めて全ておっさんである。やや遠慮気味に入口付近の一番手前の席に着くなり、奥から少し腰の曲がったシルバーグレイのおばあちゃんが、熱いおしぼりとお冷を手に持って出てきて、いきなり「モーニング?」と声を掛けた。機嫌よく「はいぃ~」と首を縦に振ったものの、どんな取り合わせが来るか分からない。奥では、娘さんか、あるいは、お嫁さんだと思われる人が調理を担当しているようで安心だった。しばらくすると、トーストとバター、ミニサラダ、ゆで卵が付いた珈琲が運ばれてきた。磨き上げた古いお皿、珈琲カップも懐かしいアイボリーで下部に向かって少し尖ったやつである。珈琲自体も昔流で、見るからに濃ゆい。これが「えんだなあ」と思いながら、そそくさと食べ終えて、まったりしていた。しばらくすると、お客は次々とレジの前で「ここに置くよ」と言ってお金を置いて出てゆく。私も「おいくらですか」と尋ねると300円だという「ええっ」と、ちょっと聞き直したが、間違いではなかった。確か、昔からモーニングは午前中の集客サービスの手段で、珈琲一杯の価格に含まれるという大原則がある。すると珈琲は40年前の価格である。きっと、おばあちゃんが若かった頃から変わっていないのであろう。いまどき、「これじゃ儲かんないな」と思いながらお店を後にした。しかし、つい価格と珈琲の濃ゆさにひかれて、翌朝、翌々朝も訪れてしまった。その折に、しみじみと喫茶店の競争の厳しさを痛感したという訳である。物価が違うと言われればそれまでだが、近所に珈琲館もあるし、もっと垢抜けした喫茶店もある。
そんな、窮屈でノスタルジックなお店は、今の若者にとって苦痛以外の何物でもないような気がするが、濃ゆい珈琲は、このようなお店でしか飲めなくなっている。もっとも喫茶店へ入るお客のニーズも大きく変化して、明るくモダンな雰囲気と、アメリカンな軽い珈琲が良くなったに違いない。他店との差別化に繋がる珈琲のお供のクッキーやケーキ、あるいは軽食のサンド類も豊富で明瞭会計になっている。その趣向の細分化に、興味を魅かれ何か今までになかった新しいものを探そうと、明るく若者で溢れる、今時のお店に入る事がある。
今日も、そんなお店の1つでもあるカフェドクリエへ寄っている。このカフェドクリエは、関西系で親しみがある。カウンター沿いに並ぶと、ショウケースの中が気になり、どれも美味しそうで迷うが、考え込んだりするとすぐに順番が来てしまう。そのくらい種類が豊富だ。それにしても、いつも不思議というか関心するのが、ここのマカロンである。自作した事のある人なら、「これほど形の揃った物は、技術的にも難しく歩留まりも悪過ぎて、商売にならないよ」と思うに違いない。まあ、そんなことに感心しているおっさんも私ぐらいで、大きさと価格の比を考えると、若者は他の品物に目が行くに違いない。だけど、今日の話題は今までのマカロンを更に進化させたものだ。
PDF写真の下部に写っている、新しい「2色マカロン」がそれである。きっと、1つ1つの整形精度がすこぶる高いに違いない。前回紹介したマカロンの組み合わせを変えただけのように思われるかもしれないが、それだけではない。挟んであるクリームのフレーバーに大きな違いがあり、特に抹茶と煎茶&ショコラ、パッション&ショコラは、従来のマカロンのイメージを覆すように「格別に風味が良い」のである。これには驚いた。しかも、専門のクッキー屋よりも明らかに安価である。この薫りの高さは、さすがにポッカならではの商品企画と言えよう。昔のポッカレモン発売当初の薫りの高さを思い出す。マカロンは小安い物だから、ぐちゃぐちゃ能書きを申し上げるつもりはないが、試してみる価値はあると思う。今日は、ついでに他のケーキも色々と持ち帰って一緒に撮影してみた。ケーキ類は何処にでもありそうな感じだが、これらも「甘さと薫りが際立って」いて、これもポッカ流といえばポッカ流なのだが、関西風とでもいえ、他店のものが味気なく感じる程である。PDF写真の奥にある「2色マカロン3種入りパッケージ」は500円で、この価格なら、ホワイトデーのお返しにも最適かもしれないし、これだけの芳しい風味ならマカロンがお好きでない方でも気に入っていただけるに違いない。
ではこちら
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