2011/09/20

弁当シリーズ山陽本線三原

 デパートなどで全国の名物駅弁を集めて即売するイベントは、当初に比べて今や少し下火になりつつある。それでも、今日はそんな名物駅弁コーナーを覘いて来たわけだが、やはり年配の人は多い。人は、それぞれ鉄道、列車、駅、には、特別に懐かしい思い出があるに違いない。かつて、出張で訪れた駅の弁当が美味しかったとか、わざわざ有名な駅弁を求めて旅に出たとか、帰省する季節には必ず寄って食べた名物駅弁とか、そして、列車に長い間揺られて旅した人たちにとって、車窓から買い求める駅弁とお茶も忘れられない思い出かもしれない。そうなると、やはり私より少し上の世代の人達の方が、懐かしさもひとしおなのかもしれない。

 今や、新幹線に乗って名物駅弁を食べることは、かなり難しいことである。その1つは、移動距離感にある。弁当が必要な距離を考えてみると、せいぜい3時間以上、同じ座席で退屈な思いをしたり、周囲が何か食べ始め、お醤油の臭いが漂ったりすると空腹感も出てくるかもしれないが、それより短い間は、とりあえずビールでも飲んでゆったりしようとか、珈琲を飲みながら車窓を追いかけたいとか、この列車を降りてから好きなお店に行きたいと思うとか、あえて弁当を買い求めてまで過ごす時間とは感じないだろう。そしてもう1つは、車内で販売されている定番の「幕の内弁当」が、それぞれの駅の「名物弁当」を締め出しているからである。つまり、JR専売のお店が弁当を用意しているのである。そうやって、昔からあった美味しい、あるいは、楽しい御当地名物弁当の存在を忘れさせているのである。残念なことである。

 さて、今日は、広島県三原市で作られている弁当を2種用意した。この弁当は、三原駅はもとより尾道駅、福山駅などでも販売されている。三原駅は、山陽新幹線、山陽本線、呉線の各線が重なる駅で、ま、私の地元(呉)に近いので、いかなる方法を使おうとも三原駅は身近に通る駅であった。このあたりで販売されている駅弁の素材は、牡蠣、あなご、鯛、松茸、たこ、などが多い。牡蠣とあなごに関しては、かつて「宮島のページ」で紹介しているので、今更珍しくもなかろう。やはり、意外に思われるかもしれないが、中国地方で豊富に採れる松茸を素材にした弁当を取り上げたいと思う。

 話が横道にそれるが、私の母は福山の出身で、松茸の採れる山をもっている。そんなことからも、この地域では、如何に松茸が豊富に採れたかを推して知ることが出来る。以前にも、このブログで書いたことがあるのだが、贅沢そうに聞こえるかもしれないが、「すき焼きには松茸」が必要不可欠な材料なのである。私も幼い時から、そんな「すき焼き」が食卓に上がっていたことを記憶している。そのくらい、中国地方自体が松茸が採れる場所なのである。今日の弁当は、それが大げさな表現ではないことを知ってもらえばよい。そこで、あえて「松茸すき焼き弁当」と「松茸栗めし弁当」を買ってきた。もちろん、今や松茸は高価になってしまったので飾りほどしか入っていないが、そういう弁当があるということで、この地域では、「すき焼きに松茸」を入れて食べていたことを知ってもらいたいのである。たったそれだけの事なのだが、広島の「あなご飯、牡蠣飯」、岡山の「祭りづし」、三原の「松茸すき焼き弁当」と、少しづつ「山陽本線駅弁物語」が連なっていく筈である。
ではこちら
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