2011/12/09

ふりかけと佃煮の狭間

     世の中には、高価で美味しいふりかけがある。素材には、鰹節を主体として、胡麻、椎茸、きくらげ、松の実、その他 山海の珍味が色とりどりに綾をなして、独自の製法で風味豊かに作られた「錦松梅」という銘柄である。一般的なふりかけは、食材の原料を細かく粉砕し調味料を加え、特徴付けに珍しい食材なども混ぜ合わせて作られる。これらは、乾燥状態を保つようなパッケージに収容され、振って、ご飯にかける動作が「ふりかけ」の語源となっている。しかし、この錦松梅は、ふりかけという分類より、むしろ「高級な佃煮」の方が適切な表現と言えるかもしれない。それは、やや味付けに湿気が残り薫り豊かで、さじで容器からすくい取って御飯にのせるからである。そして、この状態では、完全に乾燥した食材より早く薫る。

  数多くの種類の食品を少しづつ戴くという趣向には、日本の古き良き知恵が生かされていると思われる。もちろん、ご飯とふりかけだけでは栄養不足になるかもしれないが、その中にあって、最近の食卓では、単独で食べる方法を知らない食材も含まれている。とりわけ「錦松梅」は、栄養価も高く、美味しい食材を選りすぐって詰めてある。おおよそ、90gで500円ぐらいから商品が用意されていて、高級な陶磁器に入った8,000円ぐらいの商品もある。それらの違いは主に器そのもので、日本人の食の美意識を刺激する格調高いものである。年齢的にも食が細くなったが、美味しそうな器に囲まれて、「器を楽しむ」感性に価値を求める人たちの楽しみなのである。我々としては、いくら美味しいふりかけでも、一膳あたり数千円もするようでは箸を付けられない。あくまで、食欲を失いつつある人たちの為の商品かもしれない。
 
 そうかと思えば、一方で「小安いふりかけ」でも、年配者の1つの流行になっているようで、60gで220円相当のふりかけも飛ぶように売れているという。そんな話を小耳にはさみ、「へ~、そう、では俺も」と思いながら、改めてふりかけ売り場を眺めてみる。ちょっと懐かしさもこみ上げて来そうだ。それをもっと実感として、ご飯にかけて体感してみたいので、いくつか購入してみたのである。確かに売り場には、ふりかけを愛する「じいちゃん、ばあちゃんから子供さんまで」、新製品を手にとって原材料名などを比較している。そんなスーパーの売り場で人気があるのはやはり、「丸美屋と永谷園」である。両社とも、いわゆる老舗で丸美屋の「のりたま」とか、「牛肉すき焼きふりかけ」などは50年以上前から人気がある。余談になるが、当時私は、「のりたま」に入っているエイトマンのシールを集めていたし、牛肉すき焼きふりかけは、白木みのるさんの「ライス1」というコマーシャルを鮮明に覚えている。

 懐かしさが後押しをして、今日は、50年以上の歴史とノウハウを自慢できる私の「ふりかけベスト3」を紹介したい。それも、ふりかけという分類のみならず、「おむすびの素」としても使用できるし、「炒め物やサラダにも使える」多目的な副食材として挙げてみた。少々古い年代の我々にとって、どうしても鰹節、海苔、昆布、梅、胡麻、しらす、山椒などを好む傾向から、単に味付けに対する独断や、製造者に対する信頼感などといったちっぽけな考えに留まらず、一般庶民の目線で、食文化の歴史観に裏打ちされて抽出した商品である。恐らく、この3種類を用意することで、ご飯のお供のみならず、多目的に利用できるはずである。
ではこちら
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