2012/02/28

思い出横丁


  新宿西口のユニクロを右に曲がると時空を超える場所があるという。その摩訶不思議で都市伝説のような空間は、すぐに見つけられる。そして、夕方になると、そこにある穴倉に吸い寄せられるように、会社帰りの初老達が集まってくるのである。その穴倉の中では、40年前の自分と遭遇できる世界が広がっているという。初老達は、「しばし歳を忘れ、若かりし日に想いを寄せる」のだという。知り合いの部長さんも入ったまま、いつまでも出てこなかったという伝説が、まことしやかに残っている。

 京王線を降りて、西武新宿駅に向かう途中は、小田急デパートのエスカレータで地上1階に上がる。右に向かうと、そこからはガード下までずっと下り坂になっている。その道なりには、チケットショップやブランド商品のあるお店、ケンタッキー、CoCo一番館、カツや丼物のお店等が並ぶ。何処にでもありそうな商店街の一角である。途中、ふと奥に目をやると、朝6時45分だというのに、何やら数人そわそわ並んで立っている。一体そこにはどんなお店があるのだろうか。

 帰りにも同じ道を通る。今度は上り坂である。今日こそ内部を探険しようと思っていても、道なりに人について行くと、気がつくと既に通り過ぎていたりする。その日は、意識してユニクロの手前を左に折れて立ち止り、しばし覘いてみることにした。入口の緑の看板は、やはり不思議な世界の入口であるかのような雰囲気を醸し出し、お酒を呑めない私の入場を拒んでいるように思えたのである。しばらく立ちすくんだ後に、意を決して初老達の後ろに付いて穴倉に進んでみた(今日の写真)。そこには「癇性やみ」には決して馴染めないお食事処が並んでいる。そして、何故か昔の空気がそのままよどんでいるような気がする。

 まるで「龍馬伝の1シーンの様な白濁した情景」の中で、何が起こっても驚かぬと意を決して、観察しながら足早に通り抜けようと、おどおど目を配っていると、店の前にいる妖怪たちが誘い込もうとする。今日は、あたかもインディージョーンズのように勇気を振り絞っている自分がそこにいた。この通路は中央を縦断するので、中通りと呼んでいる。この左右に並ぶ、こまごまとしたお店の中では、ひしめき合うように肩を寄せ合って話し込んだり、乾杯したり、呑んだり、大声を上げたり、笑いあったり、真剣に話し合ったりする、初老達が、いつもより元気そうに、うごめいている姿がガラスごしに見えるのである。これが、外からは想像すらできない「しばし歳を忘れ、若かりし日に想いを寄せる」情景の実体だったのである。

  ちょうど中間あたりにまでくると、朝方外から並んで見えるお店が蕎麦屋の「かめや」であったことが分かった。お品書きは近所の蕎麦屋と変わりないが、高くても380円前後という昭和の価格そのままである。その「かめや」の前を右へ折れて国鉄の線路側に出てみる。周囲も何度か探険しながら帰り際、角の珈琲店で一息入れようと入口に立った。そこは、昭和のムードそのものであった。但馬屋というお店で、室内では焙煎された珈琲の薫に水蒸気が混じった空気が漂い、様々なブレンドの珈琲の薫、しみついた煙草の臭い、これこそ、若かりし頃通い詰めた美味しい喫茶店の様子だったのである。

 初老になったあなたも、そうでない若者諸君も新宿西口にある、この仕掛けの多い「昭和のアトラクション」を覗いて楽しんでみてほしい。
では、こちらから入場されたい。
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補足1:初老=若者の視点では、40歳以上のことを指すようで、それは通説通りである。では、その40歳前後の人たちの意見はどうかと言えば、一次定年を迎える55歳以上と考えているらしい。しかし、最近のアンケート調査では、初老とは60歳以上と感じている人が52%もいるという。そういう理由で、上記の話の初老は、あくまで60歳以上を対象にしてある。
ええ俺?俺はまだだよ。
補足2:「昭和のアトラクション」=今や観光地なので、昔の様な「安さで安心」を競う場所ではなくなっている。

2012/02/24

かにや1


     この坂を登りきった丘の上から眺めても海は望めなかった・・・・と叫びたい気分だが、ここは埼玉県の武蔵野の面影が残る狭山市である。だから、甲殻類を専門に扱うお店なんてあろうはずもない。話は、全く方角違いであった。この「かにや」は、昭和25年の創業である狭山市の老舗和菓子店のことである。今日は、そこの戴き物を紹介してみたい。かれこれ1年以上も通ってきた狭山市だが、いつ来なくなるか分からないので、このあたりの名物とか、風景とか、武蔵野の面影を残した象徴を、出来るだけ早いうちに切り取って、忘れる前にここに残しておきたいと思っているのである。掘り返せば、どんな田舎でも甘味の美味しいものは見つかる筈である。

 さて、戴き物なので偉そうなことを申し上げにくいが、このような昭和初期からの老舗の和菓子店を探ると、必ずといってよいほど宮内庁とのかかわりが出てくる。創業当時は、時代からして甘いものと言えば小豆であり、餡子ということになるわけだが、昭和天皇は、旅のお供やおやつに甘味が御好きだったという話を耳にしているので、お菓子屋は競って献上したのだろう。お店側としては、当時は、その献上品の開発を通して、商売自体に弾みがついていたことと思われる。もちろん、この「かにや」も例外ではなかった。

  戴いた箱の上には、「伊利麻の幸」と詰め合わせの名称が書かれている。豊かな自然の風土から生まれた味わい深い銘菓を折り込んだ、贈り物に最適な銘菓撰とあり、6種類のお菓子が2個づつ詰め合わせてあった。とりあえず、全て少量ごと口にしてみたのだが、独特の魅力を感じたのは「拍手さい彩」で、京都辻理のお菓子と言ってもよさそうな「抹茶の味わい」が漂い、武蔵野台地で採れる狭山茶を髣髴とさせる。これは、特に地域性を感じさせる優れたお菓子の1つといえる。

 そしてもう1つ気に入ったお菓子は、「関東あばれんぼう」である。何故か食べやすく親しみやすい。しかも、懐かしい味わいなのである。原材料に練乳とか、粉ミルクとあり、それが要因なのかもしれない。ただ、包装に使われているアルミ板は、焼き型を兼ねていてエッジがシャープなので、子供たちは口元に気をつけたほうがよい。そういう意味で「あばれんぼう」なのかもしれない。
 
 この、「伊利麻の幸」の詰め合わせに関する感想としては、割と、全体的にバターやクリームを使った洋菓子なので、期待していた私の得意分野の小豆の餡子だとか、寒天等を組合せた純粋な和菓子は無かったが、バラエティーに富んだ詰め合わせで、そこそこ楽しい。ただ、「かにや」には伝統的な和菓子の詰め合わせの用意もあるので、次回は、餡子、小豆などの和菓子を是非紹介してみたい。
ではこちら
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2012/02/21

素材のチカラで美味しい


  年初に瞬間美食というフリーズドライのカレーを紹介してから、どうもフリーズドライに興味をそそられる様になり、何度かスープ売場をチェックしてきた。それらは、カロリーが少ないというだけではない。今の時期は、お湯を沸かして部屋も体も温まれるし、夜は胃腸への負担も少ないし、珈琲や紅茶に少し飽きた気分だとか、朝を変えたいという潜在的な欲求もあるのだろう。そうやって、時折、あくまで自然に目先の変わったものが欲しくなるのである。おまけにスープだと、自分のアイデア次第で別の応用レシピが考えられる。

 そんなスープが備えた柔軟性と言うか、適応性の広さが1つの魅力に繋がっているのかもしれない。例えば、スープにご飯を加えて雑炊風にするとか、パスタやマカロニを加えてスープパスタにするとか、スライスチーズを浮かべてグラタン風にするとか、最初からそれを作ろうとすると、とても手に負えないものが僅かな手間を加えることで、簡単に出来上がるのである。さらに、加えるお湯の量を少なくして溶かすことによって、ソース代わりにもなるのである。それにしても、先ほどから簡単そうに「フリーズドライ製法」の優位性を語っているが、それ自体は、最後のプロセスであって、当たり前の事だが、元々は美味しいスープが出来上がっていなければならないのである。

  自分で言うのも憚かれるが、私もまじめな性格なのだろう、そんなスープを口にするたびに、最近は特にお味も良くできているし、売り場の棚を見ながら「こんなにたくさん種類を作るのは、たいへんだよな~」と思うのである。自分が若い時には、これほど手軽で美味しいものはなかった。それが今や、小安い価格で販売されているのである。もし、「今でも、寒さに震えお腹をすかせた子供たちが、どこかの大陸にいるならば、そこまで持っていけば、彼らを少しだけ喜ばせることが出来るかもしれない」のである。そうだとすると、自分は贅沢をしているのではないか、とも思えてくる。それもこれも、こんなに軽い商品だからこそ、そう実感してしまうのかもしれない。

  そうやって、フリーズドライ食品を口にする度に、時折、「フリーズドライ技術は、世界の食糧危機を救えるか」などと大袈裟な事を考えたりするわけだが、今日は美味しいラーメンの、味の逸品「チーズカレーラーメン」や「匠 鶏コクブラック」など、市場を席巻する商品を次々と投入している、「マルちゃん」の東洋水産㈱から、素材のチカラ・シリーズ「トマト、たまご、オニオン、まいたけ、野菜、もずく」 の6種類のスープの中からお気に入りを紹介したい。好みもあると思うが、特に印象が残る「南欧産トマトを使ったトマトスープと淡路島産玉葱を使ったオニオンスープ」の2種類を挙げた。カップの写真はオニオンスープである。
ではこちら
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補足:味の逸品「チーズカレーラーメン」や「匠 鶏コクブラック」ラーメンは昨日発売である。

2012/02/17

くら寿司


   世の中には、燗症病み(かんしょうやみ)と言われる人がいる。この「燗症病み」という言葉は、もっぱら関西(大阪弁)で使われる言葉で、潔癖症とか神経質と解釈して差し支えない。しかし、どのような状況で使われる事例が多いかと言えば、口に入る食材に関する時であり、それにまつわる限定的な潔癖症としてとらえることも出来る。具体的には、「母もしくは祖母が調理した食事以外は、箸の進みが慎重になること」と例えられるのである。それは一体どう言うことなのか。今日の話では、「回転寿司は、安いかもしれないが、長時間に渡り回転していることで、いつ何時、お客の唾が飛び散っているかもしれない」から嫌だという人がいたとする。それに対して、あんたも「癇性病み」だねという時に使うのである。

  いつの時代も母は、幼い子供の日々の体調や、生まれ持った体質をよく観察しながら、将来の事を考えて食物を与えている。おまけに、両親や祖父母の慢性疾患、あるいは遺伝性疾患などにも注意を払い、神経を使って子供を育てる。したがって、知らず知らずのうちに、母が作ったものが「一番に安全・安心で美味しい」と言う一種の信頼感を植えつけられる。そういう経緯で、口うるさい母の下であるほど「癇性病み」に成長することが多い。しかも大人になって、時代とともに生活が豊かになったとしても、やはり、そんな母の「品質保証」が必要だと言う人もいる。今後はその様な「癇性病み」が益々増加する傾向にあるといえそうだ。

  テレビ番組で、「くら寿司」という回転寿司店がよく登場する。郊外の八王子や立川等の都下最外周ともいえる地域には、かなりの店舗数が揃っているが、この京王線沿線の千歳烏山、調布、府中にはほとんど見かけなかった。そんなお店が、近所の「つつじヶ丘」に出店する。「くら」という冠名称と、実際の店舗が「蔵」風に作ってあることから、ひょっとしたら倉敷発祥のお店ではないかと思っていたら、やはり、社長の故郷は岡山であった。この「蔵」のように数百年もの長い間、不動の場所で安心して出入りできるお店を考えたに違いない。

 くら寿司は、回転寿司のお店だけれど、「品質と流通」の概念をお客の口先まで徹底したお店とも言える。お寿司は「全て無添加の品質を保証」しているし、お寿司自体も人ごみや埃の漂う空気に触れず、「新鮮さを保つ透明ケース入りでお客の口先に届ける」流通機構を備えているからである。もちろん、一定時間流通したら商品を破棄している。それらを日々営業の基礎とすることで、地域に眠ったままの最終顧客ともいえる「癇性病み」の人達を取り込むことが出来るのである。しかも、回転寿司は一般の寿司屋と異なり、人の手で握られていないので、元々「癇性病み」にとっては受け入れやすいといえる。また、それほどでもないけれど、神経質とか潔癖症の人にも最適な回転寿司店と言えそうである。
ではこちら
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2012/02/14

OGGI のチョコレート

    だいたい今日あたりだと、机の上に、何もないより、あった方がよいのがチョコレートということになる。一方の店頭では、その分数量がはけているせいか、どれを選んでも新鮮な風味が漂ってくる。あまり追求されることもないが、チョコレートは「なま物」なので、やはり「出来たて」が美味しい。逆に、そうでないと美味しくない。ということで、1年を通して、今日こそ美味しいチョコレートの買い時なのである。以前にもOGGI のチョコレートを紹介したことがあるけれど、クッキーの周りにチョコレートが巻いてあり、個性的で大変美味しいかった。そこで今回は、どこへ出しても恥ずかしくない定番のチョコレートを2種類用意した。

 OGGIのチョコレートは、素材が優れているため、どれをとっても「高品質で上品な美味しさを誇る」が 、そうはいっても、たくさんは食べれないので、何か果物にかぶせたり、洋酒などを流し込んで自然の甘味を楽しんだり、そこに漂う薫に酔いしれたりと、まさに美味しさを引き出す流儀とともに、雰囲気作りも重要な作法の1つになるのである。そこで、胸まで熱くなるようなミルクティーと一緒に戴くのがお勧めである。チョコがすーっと素早く溶けて、口いっぱいに広がり気分がなごむのである。

 今日の写真の左側は、オレンジの酸味とチョコレートの相性が抜群で、ついつい手が伸びてしまうオレンジピール。同じオレンジピールでも、OGGIのはバレンシアオレンジで作られていて人気が高い。たったの50gでも、オレンジ色の逆台形をした箱100x40x40mmの超小型のパッケージに収めてあり洒落ている。これで630円である。「ああっ、美味しいね、もっと食べたいね」と思うところで終了するぐらいでちょうど良い。

 もう1つは、ショコラ デ ショコラをスライスして、1枚づつクーベル チュール チョコレートでコーティングしたもので、もちろん、こちらも人気商品になる。コニャックの香りが、あたり一面に広がり、その独特の風味でショコラ トランシュを食べていることが周囲にすぐに分かる。一人でこっそり食べるにはやや抵抗があると思う。こちらは9枚入りで1,050円。濃厚なので1枚で十分だが、お茶のお共に3日~4日程度は楽しめる。160x80x35mm と普通の大きさのパッケージである。

    そんなOGGIでは、チョコレートばかりだとすぐに飽きられるので、最近は高い品質の果物、クッキー、アイスクリームやタルト等の種類も増えて、充実したラインナップを取り揃えている。さらに、オンラインショッピングにも力を入れており、人気の詰め合わせギフトセットが数種類用意されているが、そのギフトセットの中にも、オレンジピールとショコラは多用されていて、この商品に対する同社の自信をうかがわせる。まさに代表的商品なのである。
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2012/02/10

しばさき内科CL


 先生どうすか?という問いに、検査値を覘きながらしばらく沈黙の後、先生は・・・・「もう少し体重を落としましょう」という言葉が返ってきた。もうかれこれ10年以上私を診てくれている王金城先生(以下、王先生と略す)は、私の体重と検査数値との相関をよく理解している。主な指導項目は、血中脂質と血糖値の2つなのだが、これがまさに体重との関わりが顕著なのである。この体重を管理するには、食べることを減らすか、毎日運動を欠かさないようにするしかない。かつて、毎日歩いていた時の体重は66kg程度で、検査値に全く不安は無かった。それがここ数年、歩きも減って1日おきになったり、3日おきになったりと不規則になってしまい、体重70kgあたりを前後している。一方、身長の方は、若い頃は173cm だったにもかかわらず、徐々に短縮して今は171cmになってしまい、結局それがBMI値までも押し上げているのである。

 おっとそんな、深刻な話をする筈ではなかったが、つい先日、誕生日検診で先生の前に座り、珍しく緊張をしたからだろう。そういう呼び込み文になってしまった。ところで、昔、私は家電メーカーで医療用に使える映像機器を扱っていた。当然、全国の大学病院や国立病院などの先生方を回ってマーケティング等も行ってきた。そういう現場を20年も踏んでくると、やはり先生方を見る目も肥えて厳しくなり、本物と嘘物とでも言うのか、「あ~こういう先生には世話になりたくないとか、逆に長いお付き合いをしたい」とか、ま、様々ではあるが、長い月日の中で取捨選択し、不治の病とか最後にお世話になるなら、こんな先生がいいと思ったりもして、今でもお付き合いを続けている。頭部だったらあの先生、悪性腫瘍だったらこの先生、と担当別にランキングされたイメージと言うものが出来上がってくるのである。ただ、1つだけ心配な事がある。それは、先生方はみなさん私より年上なのである。
 
 話を戻すと、「しばさき内科CL」は、王先生の病院である。一番御世話になったのは10年ぐらい前の腹膜炎で瀕死状態だった時である。その王先生には、その土地に根付いた街医者の様な雰囲気は全くなく、慣れ親しんだ大学病院の「いつも疲れ気味の先生」と言った感じだったのである。それでも、私の腫れあがった腹部を見ながら、すぐ目の前で出身の大学病院へ電話して、かつての同僚に緊急手術を依頼したのである。以前に紹介した「銀座梅林」09/08/07のところで登場する「かつ丼、それは無理でしょ」と言った先生は、王先生のかつての同僚の先生である。

  今日は、我が家の御近所さんにしか関係のない(遠くから来られても価値あり)極めてローカルな話ではあるが、その「しばさき内科CLの王先生」をぜひ紹介しておきたい。ただ、王先生は、JIN(仁)に登場する南方先生のように、特別に面倒見がよいわけではないし(いや、歳を重ねた「大沢たかお」に少し似ている)、必要以上に優しいわけでもない。もちろん、すぐに効く薬を開発するわけでもなく、最先端の医療機器があるわけでもない。しかも、美人の看護師さんを雇っているわけでもない。ただ、先生の診断は「早くて的確」なのである。それは、普通の街医者とは一線を画し、レベルの高さを感じさせるものである。そして、取り巻く看護師さんも慈恵医大から派遣されている冷酷な人ばかりである。そういう先生の優れた診断力を肌で感じてか、最近は開院の1時間前から、夜遅くまでいつも混み合っている。調布近辺の人にはお勧めで、困った時には、率直に相談してみるとよい。
ではこちら
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補足:「銀座梅林」09/08/07には続きがあって、「ウォーキング3」09/10/16に続く。そこで、歩くことの重要性を同大学病院の教授から教わったのである。その理屈は、はっきり書いていないので難解かもしれないが、読み取れれば、あなたも今日からじっとしていられない筈だ。 

2012/02/07

秩父両神の蒟蒻

  決して美味しいものばかり食べているわけでもないのに、かつて、知り合いのお医者さんから「美食はいけませんよ!」と言われた言葉が妙に心に残っていて、何故そういう事を言われたのか不思議であった。ならば「美食でないものとは何だろう」と考えていくうちに、知らず知らずのうちに蒟蒻(こんにゃく)と言う食材にたどりついたのである。それは、まるで数学で言うところの 0 の存在のような難解な価値を備え、昔から言い伝えられてきた整腸作用、便秘解消のみならず、最近は、現代人の抱える肥満や生活習慣病の予防・改善に大いに役立つことが分かってきた。

  蒟蒻を作っているメーカーは、あまりこのような屁理屈をこねまわすこともないようだが、幾つか蒟蒻の持つ性質を探ってみると、まず、ブドウ糖に蒟蒻マンナンを加えた場合、小腸上部でブドウ糖の急激な吸収を抑えることができる。これは、糖尿病の悪化を抑制する効果がある筈だ。おまけに、低カロリーで食べ応えがあることから、糖尿病のリスク要因である「食べ過ぎ」を防ぐ事が出来る。次に、肝臓から排せつされる胆汁酸が小腸から再吸収されるのも防ぐ効果があるため、血中コレステロール値の異常な上昇を抑えることができる。これらの血糖値やコレステロールは、健康診断でも上位に属する健康バロメータなので、毎日と言わないまでも少量を継続するとよいかもしれない。

  歴史的に見ても、日常的に役に立つ効能としては、便秘解消が広く知られているが、これには、特に不溶性食物繊維の多い食事が効くことから、蒟蒻のような生理効果をもつ食品が適しているとされている。また、蒟蒻は、じわっと大腸を刺激して、排便の反射を高めたり、おなかを整腸するのに効果がある。さらに、カルシウムを含むため、高齢の女性に多い骨粗しょう症の予防にもよい。どちらかと言えば、濃い目の蒟蒻液を使用する「しらたき」が特によいらしい。それは、板蒟蒻の2倍ものカルシウムを備えているからだ。

  最近分かってきた特殊な効能についての研究も見逃せない。蒟蒻には、ピロリ菌に対する抗菌作用があり、研究によって蒟蒻は胃上皮へのピロリ菌の付着阻害および定着阻害作用があることも分かってきたらしい。蒟蒻を毎日食べていると、胃の中のピロリ菌が減っていくとも言われている。 それならLG21のヨーグルトよりローコストである。さらに画期的な効能として、蒟蒻に多く含まれるセラミドを摂取することで、表皮のセラミドが強化され、アレルゲンの体への侵入が減り、花粉症などに対するアレルギー反応が少なくなる、ということが報告されている。今年は、花粉にセシウムなどの放射性物質が大量に付着しているため、アレルギー反応が無くなってもマスクは必須になる。

  これらの新旧の効能を把握することによって、濃度がうすく食べやすいした蒟蒻のダイエット食品よりも、できるだけ蒟蒻粉をたくさん使った昔ながらの蒟蒻を食べる必要がありそうだ。今日は、それらに適した本物の国産蒟蒻商品を並べてみた。これらは体にも優しいが、財布にはめっぽう優しい「秩父の蒟蒻としらたき」である。
ではこちら
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補足:おっと、写真の蒟蒻、しらたきは1袋100円である。笊にあるのは、それぞれその袋の中味の60~70%程度である。

2012/02/03

刃舟三徳包丁

    切り取られた跡形も、取り除かれた方も、もっと綺麗な筈なのに、妙な角度で力が必要だったり、すいすいと薄皮を切り取ることが難しくなったので、少々苛立ちを覚えるようになった。使っていない筋肉が徐々にやせ細っていくように、大脳から出る運動指令の神経伝達機能が知らないうちに退化しているのかもしれない。そう思ってしまうと、益々イライラが増して、何か自分自身で本当にそうか、確認してみたくなったのである。そのためには、まず、よく切れる包丁が欲しかった。それによって、自分の手や指先が、視覚に沿って正しく動作しているか分かるはずである。

 そんなことに苛立ちと不安を覚えながら、日々を過ごしていたらテレビショッピングで、よく切れる包丁の紹介があった(切れない包丁の紹介などないが)。実物は、考えていたサイズより少し大き目で、おまけに価格も一寸お高いが、野菜や肉をスパスパと切りそろえ、おまけに切断面のシャープさを強調されると、「うーむ、これだ」と思ったのである。去年の暮れに購入して、お正月料理を通して自分なりに使いこなしてきたが、よく切れる包丁は、まるで大脳の脳みそを入れ替えたように俊敏に反応し、手や指先によく追従してくれる。軽く持ち上げたトマトの皮むきが綺麗に型崩れなしであっという間に仕上がる。林檎などは、幅1.5cm程度の皮1本連なった状態もなんのそのである。

 やはり、運動神経が退化していたわけではないらしい。ほんのわずかな事だけど、幾分キレの悪い状態になっていたということらしい。いくら一生懸命が研いでも、所詮素人なので良く切れるのは4~5日が限度だったからだ。新しい包丁を使い始めて1.5カ月ぐらいだが、切れすぎるので怖いぐらいである。まったく肩や指が緊張することもなく、刃の角度や刃先の向きの調整だけですいすいと切れる。おまけに切り口が綺麗なので、もっと切りたいと思う気持ちが沸き上がってくる。
 
 ついでに、まな板も新しいのにしたのだが、これがまたゴム製で、最初は吸いつくような感触で具合がよくないなと思っていたのだが、慣れるとコツがわかり、包丁と自分の感覚を調整することで相性もよくなってきた。そして、今や元へ戻る必要がない状態である。ちょうど板前さんのような、心意気を感じている。「ヘイ、いらっしゃい、中トロ盛り付けますか?」と言う言葉が口を突いて出そうで、まさに刺身に自信が持てる切れ味なのである。

 包丁の切れ味が少々悪くなってきても、人はそれなりに工夫をしながら、綺麗に切ろうとする。しかし、ちゃんと研がかれてないと、どんどん自分自身が苦しい状況に追い込まれる。歳を重ねると、肩こりから来ると思われるが、手や指先が時たま微妙に痛むことがあったり、細かい指先の自由が効かなかったりする。その指先の力の入れ具合が上手に調整できないと、包丁操作が大雑把になり返って危険を伴う。結局、それが何かにつけて、老化に伴う心理的不安から自己嫌悪に繋がってしまうかもしれない。やはり、道具は正しく調整された物を使わなければならない。数だけたくさんあっても意味がないのである。
ではこちらの包丁とまな板
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=CFBF77DB9040165A&resid=CFBF77DB9040165A%211086&app=WordPdf

補足1:テレビショッピング=番組は ShopChannel ショップチャンネルのこと。
補足2:食材の断面が綺麗だと、刺身、煮物、焼き物など、何かにつけて美味しく感じる。うーむ気持ちいい。