一昨年、鎌倉で江ノ電サブレを買って、意外に「美味しかった」という感想が頭に定着してしまったせいか、最近は、サブレを見かけると妙に親しみを覚え、しっかりチェックして試しに買ってしまうことがある。確かにわれわれの世代では、乾パンに毛が生えたような焼き菓子に妙な懐かしさを感じるわけだが、昔のサブレは大して美味しくは無かった。飲み込むまで口の中の水分を全て取り去ってしまうにもかかわらず、終始それに含まれる薫りが漂うなんてことはなかったのである。だから、「マジ!変な食べ方だ」と思われるかもしれないが、少し湿気を帯びたぐらいの方が美味しいと思っていた。
ぼろぼろと、砕かれたサブレの一部が口からはみ出したりすることもなく、柔らかくなったサブレにして、噛み砕く時にサブレ内部に使われている原材料のかすかな香りが漂い、粘り強い味わいになるのである。だからといって、好んで口にするものではなかったのである。そうは言うものの、そんなサブレも遥か昔の話しである。最近のサブレは、昔のそれとは違い大きく進化して、周囲のさくさく感の中に「焼きあがる途中で閉じ込められ香ばしさ」を感じ、内部の砕けたサブレの間からは、「カスタードクリームのような薫り高さ」が溢れ出てくるのである。そうやって昔に比べると、はるかに美味しい焼菓子になっているのである。
先日、神奈川県下で、限定販売の「タカナシ3.6牛乳サブレ」というのを買ってきた。これも、大変美味しく後々癖になり、写真を撮っている最中でも、バリバリと破片を口にし、写真の背景に落としながら食べていたほどである。ああ、買ってよかったと思ったのである。これが、ついつい口にしたくなる美味しさで、まさに癖になるほど「牛乳の優しさ」が漂っている。「サブレの生地には、タカナシ3.6牛乳と、じっくり時間をかけて煮詰め、薫りとこくを濃縮したミルクジャムを加えて、牛乳のおいしさを引き出している」という記述があるように、パッケージを開くと濃厚な牛乳の薫りが漂う。口にすると「うわ~美味しい牛乳」だ、と思うほどである。
焼き菓子になったサブレを口にしても、タカナシの牛乳の様な感じがするのが不思議なのだが、その他の牛乳でもサブレが商品化されているらしいので、他も食べ比べてみたくなる。さすがに乳製品専門メーカーだなと、最初はタカナシで作っているのかと思っていたら、お菓子をOEM供給している㈱グローバル・ガストロ・サービスという会社が、このような地域生産の牛乳を使ったサブレを地域別に出荷しているようだ。「牛乳だいすき事業部」という専門のチームがサブレを開発しているようだ。袋を開けると、御丁寧にエアキャップで包装されていて、サブレが壊れないよう細心の注意が施されている。そのことで、この商品に対する思い入れを感ぜずにはいられない。
ではこちら
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