人生が退屈だから2本続けて観るわけではない。映画にだって当たり外れがあり、いつも感動を持ち帰ることが出来るとは限らない。つまり、単純に「今日は面白くなかった」と落胆するのが怖いのである。しかし、それでも「次が楽しい」かもしれないと期待することもある。年齢と共に寛容になったのか。この2つのタイトルに落胆したわけではないが、続きが観たいと思うのは、私だけではないだろう。さて、共通するところは、「複数の仲間で協力して悪と戦う。もちろん、少し犠牲も伴う」ところにある。勿論、何が正しくて、誰が悪か曖昧なところもあるが、我々が気に入った「キャラクターが倒す」相手が悪であり、それを判断基準にしてよい。時たま悪者が格好良すぎて好きになることもあるが、それも表現者の狙いだ。見せ場は2作品共に、その悪と戦うアクションになる。そこには、演技指導によって各自個性を持たせてあり、更にカメラワークや特殊処理によって、スピード感や超絶的なテクニックを披露する。とにかく「おー凄い」と驚嘆したり、「息をのむ」様なシーンが多用されている。
「ヘラクレス」は、ギリシャ神話の英雄が、5人の仲間とトラキア王子を救う為に戦う作品。
ヘラクレスの誕生から、彼が12の試練を克服し、賞金稼ぎをしながら旅をしているところ、トラキアの王から頼まれてアテネの王を倒すことになるが、そこからヘラクレスの強さを強調する戦闘シーンが描かれる。桁外れの肉体を見せつけられ、痺れる程の強さが展開される。もちろん肉体だけではなく、巧妙に考えられた知的な仕掛けで3倍の兵力にも勝利する。しかし、それがトラキア王の謀略の手助けになったことを知り、憤慨してトラキア王に反撃を試みるが、囚われの身になってしまう。そこでは、賞金稼ぎから本来の「忘れてかけていた神の子」であることを思い出し、壮絶な力を発揮して、トラキア王を壊滅させる。そこで話は終わる訳だが、ハリウッドの映画にしては、ロマンスに欠けていたり、親子の愛情表現の欠如、加えて12の試練全てを紹介したわけでもないし、はなはだ物足りない。さらに、仲間と今後どうなったかも知りたくなる。そこで、新たなギリシャ神話の続きを加える価値があると考えられる。ただ、単独でも、どかんと腹に落ちる映像に圧倒されっぱなしで、そこに痛快さがある。もし、それで十分だと言うなら、「会社で面白くない事のあった人」には、是非この映画でストレス解消をしておかれる事を希む。単独でも見どころは、戦闘シーンのカメラワークだ。
○公式ホームページはこちら http://www.hercules-movie.jp/
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(以降ガーディアンズと略す)」は、痛快SFアクション作品。
自らスターロードと名乗る主人公ピーターが、お金のために、壮大なパワーを秘めた謎の球体「オーブ」を手に入れようとする。そのお陰げで、ギャラクシー(=銀河)中の悪者から狙われることになる。それをかわしながら、何とかオーブを手に入れるが、そのはずみで刑務所に捕らわれの身になる。そこには、様々な個性を持った生き物がうごめいているが、徐々に仲良くなって仲間となる。そしてピーターは、彼らに助けられながら、オーブを狙う悪者と戦いを交えるチーム(ガーディアンズ=伝説の勇者)になってゆく。SFものであるが故にストーリー自体に多少SF的な発想の共通性を感じるが、仲間のキャラクターには様々な背景がありそうで、丹念にそれを把握することができれば、面白さが増していきそうだ。特に、あらいぐまの姿にさせられたロケットは、知的でユニークな存在に描かれていて魅力的だ。
○公式ホームページはこちら http://marvel.disney.co.jp/movie/gog.html
◇予告編はこちら http://www.youtube.com/watch?v=jHPvHQCAxLY
いずれの作品も、面白そうに見えるには間違いないのだが、栗の入っていないぜんざいを食べた時のような感じで、単独では「いまひとつ寂しさ感が否めない」。つまり、次の続き、あるいは後篇等がありそうな雰囲気があちらこちらに感じられる。ならば、早く2作目を作ってくれないと初回を忘れてしまいそうだ。
追加補足:ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーは、2作目の製作が決まったらしい。少しづつ面白くなっていきそうだ。