たかが「玄米スープ」と侮ってはいけない。セレブな奥さま方が列に並んで 1人5箱、10箱と買い求める様子は、不可思議な光景にしか思えなかった。しかし、売り場のチーフは、「宝の山」を掘り当てたような気分が続いていた。厳しい顔をしながらも、時々こぼれ落ちる笑みからは、そうとしか思えなかった。売り場を牽引する商品があると、休日にはそれを目当てに、次々とお客が立ち寄り、列が出来る。他に取り溢した良い物があるのではないかと、周辺にある商品までも一緒に売れていく。笑いが止まらないとはこの事である。その列の出来る商品は「玄米スープ」と書いてあるだけなので、特別美味しそうには思えなかった。
「知っている事以外は知らない」ことを口癖にしている身としては、知らないこと自体は、決して恥ずかしいとは思わないが、パッケージからキーワードを探すと、「オクタコサノール」と言う言葉が目に止まった。そこに価値かあると思うのは自然である。パッケージの裏面の説明には、「何千キロも旅する渡り鳥のエネルギー源として注目されるオクタコサノールは、玄米胚芽の中に含まれる・・・・」と書かれている。調べてみると、その成分は運動の持久力を高める効果があるようだ。それだけではなく、運動能力そのものの改善、筋肉疲労時の筋肉痛の解消、基礎代謝能力の改善等が挙げられている。
オクタコサノールは、他に小麦の胚芽、りんごやぶどうの皮、さとうきびの茎にも微量に含まれているらしい。成分に注目して細かい効果を資料から拾ってみると、運動面や代謝能力で「若返り効果が期待出来るとある」。玄米スープに含まれるオクタコサノールだけで、それを機能させるには、1袋に0.3mgしか含有していないので、1日3回ぐらい何十年も口にする必要があると思われるが、それ以外に食物繊維、ギャバ、黄緑野菜等を含み、バランス栄養食品としての体裁を採ることで、それなりに元気が出るという期待感が嬉しいようだ。ただ、オクタコサノールがサプリではなく、この玄米スープとして売れに売れていることからすると、継続購入者には「若返り効果の実感」があるのかもしれない。
1箱に1食57kcalの玄米スープが12袋入って標準価格は1,200円。オクタコサノールを意識せずに、玄米スープ単体としても大変美味しく仕上げてあり、好感が持てる。お湯で溶くだけではなく、温かい牛乳で溶く方がコクが出て美味しい。もちろん、他にない「若返り効果」があるとすれば、セレブな奥さま方からすると「お金に糸目は付けない」気分が芽生えるに違いない。ただ、入手するのにデパート系、特殊な量販店の一部でしか販売されていないので、やはり特殊な入手経路のバランス栄養食品というイメージを払拭することはできない。そこで、メーカーは、顧客を引き付ける「ファインヘルスプレゼント」なるものを用意している。それは、箱のフラップ部分を(10、35、50、90点)集めてメーカーに送ると、同社の商品の中から1箱がプレゼントされるというもの。
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=CFBF77DB9040165A&resid=CFBF77DB9040165A%211699&app=WordPdf
補足:玄米スープの製造者である㈱ファインは、産学連携により、大阪大学構内にファインバイオサイエンス研究所を設け、新素材の開発や効能の研究などを行っている。