2008/07/30

敗戦と戦争論

 8月になると、如何に戦争が悲惨であったか、周辺諸国に残虐なことをしたか、など見るに苦しい番組が制作され放送されている。今年もこの季節がやってくる。見なければよいと言う考え方もあるが、戦争に関する我々一般人の圧倒的な知識不足は、時として、一方的な理屈で押し切られ、教科書問題にまで発展する。それは、明らかに後世に責任転嫁しようとしていることだ。戦争が悲惨なことぐらい誰でもわかっている筈なのに、なぜ、そこまで先送りにするのか、そのような番組制作は安易で無責任すぎると言える。

 戦争体験者は口を閉じ、真実を語ろうとはしない。不本意に徴兵させられた人たちが、当時、地獄の苦しみを味わって生き残り、不条理な葛藤の中でやっとの思いで、今、静かに生きているのに、時として犯罪人のように登場させられる。取材する対象が、このような犠牲者ばかりではいけない。戦争を始めた両政府、そして、それを「助長していった両国の新聞社」、その彼らに取材して更に本質に迫る番組制作せずして、何の報道なのだろうか。そういう取材は、ある意味で難度の高いことは理解できるが、たとえ陳腐な内容になったとしても、こちらのほうが姿勢として大きく前進である。我々は、あの戦争に至る経緯を詳細に把握し、様々な角度で検証し、決着をつけ責任を明確にオーソライズする権利を持つ(敗者に権利はないが・・)。

 また、その時、政府への取材記者は何を考え、デスクはどう判断し、社の体制にどう組込まれていったのか。それを取材することで、自分達がこれから先、世界に対して、どのような報道を行うべきか良い教訓になる筈だ。 いつも際どい取材をすることで、緊張感と責任感の中で目標意識を高く持ってほしい。その姿勢こそが政府への監視になる筈だし、我々はそのような番組を決して疎かにしないし、忘れもしない。

 今年は、帽子をテーマにしたドラマ番組もあると聞いた。私の故郷の話であることはありがたいが、本来やるべき8月の番組制作の本道から逃げるべきではない 。今なら、竹島問題を徹底取材すべきではないだろうか。そして、繰り返しになるが毎年毎年、「不本意に犠牲になった人」に反省を求め、涙を誘うだけの番組制作は止めるべきである。何の反省にもならないし、本質から乖離する、それは、「みんな一緒に犠牲になったから、仕方がなかった」・・・とも聞こえてしまうのだ。

 ・・・と、偉そうな事を言えた立場ではないが、戦争に興味をお持ちの方に、お勧めの本がある。きっと、色々な側面から考えさせられる筈だ。もちろん、凄く読みやすく、短時間で戦争を考えるいい素材を提供してくれる。
それは、こちら
http://www.nextftp.com/suyama/%E6%88%A6%E4%BA%89%E8%AB%96/%E6%88%A6%E4%BA%89%E8%AB%963%E5%86%8A.pdf

2008/07/23

ファーストフード

 幼少の頃に母から与えられ口にしたものは、今でも無条件で「美味しい」と思うように、大脳は設計されている。それは、口にするものは如何に信頼関係を要求するかという証ともいえる。

 中学時代は高松に住んでいた。サッカーの練習が終わると、お腹もペコペコだ。今で言うファーストフードは「うどん」だった。黙って座ると「今日は何にする?」 と、おばちゃんは水を持って聞きにくる。「きつね」、「天ぷら」、・・・・チームメンバーのオーダーは様々だけど、必要なこと意外はしゃべらない。それほど疲れている。さほどメモも取らないで、さっさと奥に消えていく。2~3分もすると、次から次へとテーブルに並んだ「うどん」はオーダー通りだ。あちこちでズルズル音がし始め、あっという間に平らげる。誰ともなく、どんぶりを重ねて奥へ持っていく。外では後輩がへたり込んでいる。「終わったぞ」と声をかけると、残りのメンバーがけだるそうに無言で入る。おばちゃんは陸上部の同級のお母さんである。我々を息子の友達だと思っているようで、サッカー部であろうがバレー部であろうが、運動部なら全員の顔と名前を知っていた。その気持ちは、「より美味しいうどん作り」に傾けられていたようだ。

 前の日からしっかり仕込んだうどんは、コシが違う。熱湯を長時間くぐらないうどんは、喉ごしが楽しめる。うどんとはどういうものか、高松で知った。このスピーディーで消化吸収の良いファーストフードは最近東京のあちこちに進出してきているが、似ているのは、うどんの上にのせる具が選択できるところぐらい(そんなことはどうでも良いことだ!)で、麺本来の「美味さ」と「喉ごし」は再現されていない。「讃岐うどん」という看板だけで客を呼ぶスタイルにやや寂しい思いをするのは、私だけではないはずだ。
今日はこちらです。
http://www.nextftp.com/suyama/%E4%B8%89%E5%9B%BD%E4%B8%80/%E4%B8%89%E5%9B%BD%E4%B8%80.pdf

2008/07/22

神田シリーズ1

 どうしても、「食意地(くいじ)」の張った私は、食べ物の話題にみなさんをどんどん引き込もうとしています。良くない良くないと戒めながらも、安易な方向へ寄っていくのです。出版社に勤務していた10年間で神田、秋葉原、神保町あたりでお昼を食べていたという背景もあるのでしょうが、先輩が良くなかった。いえ、よかったです。仕事は勿論こだわっていたのですが、スタッフで取り組む以上、案外マニアックなことは外れていきます。

  しかも、作り手側ですから、広く読んでもらわないといけないし、入門風のこともやんないといけません。しかし、「カメラと食いもの」は、毎日のように含蓄の嵐でした。カメラは我々にとって仕事の道具ですから要求は厳しいものがありましたが、食いものはまさに、評論家でいられるのです。のびのびと、「ああでもない、こうでもないと」好き勝手なことを言い合い、どんどんエスカレートしていきます。その影響が現在も魂のどこかに色濃く残っており、ついつい出てしまうのだと思います。それでも、想像もされないでしょうが、私なりに気を使って載せているのです。

  人様に紹介するのに、「ただ美味しい」ではつまらないし、半完成の原材料を購入して調理したら、どのくらい費用がかかるものか、とかをデパートで調べたり、大型マーケットで価格を聞いてみたり、バックグラウンドの取材にも時間を割いています。そして、料理人の仕事の価値をどのような形で評価するか、と言うところに重点を置いています。味には好みもあり、様々な価値観もあると思います。しかし、「失敗だったとだけは、絶対に言わせない」自信はあります。少々絶対額が高いお店でも、それなりの価値を見出すことができれば、その洗練された仕事ぶりが、御自分の仕事にも参考になるはずです。特に、老舗と言われるお店が何故長年継続できるのか、その仕組みや心意気を評価してほしいのです。そういう意味で、「試してほしい」と付記しています。

・・・・と、いつも能書きと、前置きが長いのですが、「神田シリーズ」と称して、時々「神田」の名店を紹介することにしました。
今日は季節柄こちらです。
http://www.nextftp.com/suyama/%E3%81%8D%E3%81%8F%E3%81%8B%E3%82%8F/%E7%A5%9E%E7%94%B0%E3%81%8D%E3%81%8F%E3%81%8B%E3%82%8F.pdf

2008/07/15

定食

 ええ?定食?なんやー、と言われるかもしれません。心のやさしい人は、学食を思い出したり、社員食堂を連想したり、「ひややっこ」を思い出したりと様々だと思います。「定食」の言葉に反応して、お腹が空いた方もいらっしゃると思います。

  一般的には、焼魚定食、天ぷら定食、刺身定食、A定食、トンカツ定食、伊勢海老定食(?)と、おおよそ、惣菜もしくは主となる「おかず」にご飯、味噌汁、おしんこなどで構成されるセットものを定食と言います。また、定食とは言わなくても単品をオーダーすると、ご飯と味噌汁がついてくるケースもあります。ということで、様々なパターンがあることをご理解ください。しかし、あまり選択権を与えられないのも特徴の1つです。ここでは、少し特化した定食屋を紹介します。

  一般的な定食屋と比較すると、お客の出入りは、かなり多いと思います。ということで、「美味しい定食」だと言うことは外からでも分かります。もちろん、これに似た定食を出すお店は、いくらでもあります。価格もさほど安いわけではありません。安さだけならもっと他にもあります。あえて、少しだけ特徴を言わせてもらえば、調理プロセスが全てオープンなこと、そして、客人それぞれが「自由で快活な注文の仕方」をし、みんな「満足そうな顔」をして出て行くというのが、少し異なる点です。定食屋ですから、当然若者も少なくありません。別にもったいぶっているわけではありません。ちょっと好き嫌いがあるかな、と思って遠慮しながらのレポートです。 夕方は5時から営業です。

 おっと、アドバイスがあります。田舎者(昔の私)みたいに、「むやみに高いもの」を注文するのは、止めましょう。そして、周りの「客人の注文」に惑わされてはいけません。加えて、たくさん食べればよいと言うものでもなく、食べたい衝動に負けるのは、人として恥ずかしい事です。あくまで、腹8分目。
それでは、こちらです。
http://www.nextftp.com/suyama/%E5%AE%9A%E9%A3%9F/%E5%AE%9A%E9%A3%9F.pdf

2008/07/12

サーバー用メール削除ソフト

 長い間ホームページを運用していると、どこからともなく「システム管理者宛てのメール」が届くようになります。最初のうちは、ほー、こんなところからと、興味本位で開いて見るものですが、3ヶ月位経過すると検索エンジンが探し出し、(あるいはドメインリストから)裁き切れないほどメールが着信してしまいます。これは、1年、2年、3年と増加の一途をたどります。また、それなりの不正アクセスも増加します。6年目の現在では、メールは少なくとも1時間に300通ほど着信しています。

  また、サーバーが壊されるのではないかと思うほど、訳の分からないところから大量にアクセスされています。ログがすぐに一杯になり、これもサーバーの容量を圧迫します。ちょっと目を離していると、ドメインサーバーが契約時の容量をはるかに超えてしまって、動きが鈍くなっているのです。自分で自社のホームページにアクセスすることはないので、分からなかったのですが、先々週、ついに、止まってしまいました。ハード的には動くのでしょうが、契約容量違反です。

  この中で、17万通の「システム管理者宛のメール」を削除するのに苦労しました。全て、迷惑メールとして扱われるセールスメールです。サーバー管理をお願いしているNTTPCコミュニケーションズに対策法を尋ねたのですが、予想通りの回答でした。「まあ、そうだわな、しかし、この会社、先がないな」と妙に納得し、現在は、とりあえず毎日毎日「システム管理者宛ての迷惑メール」を削除しています。そのためだけに契約容量を増やすわけにもいかないし、他社(あるいは自社)サーバーへのマイグレーションもすぐに決められないからです。そんなメール削除を時間短縮してくれるソフトウエア「nPOP」を紹介します。

 ご存知の方も多いかと思いますが、これから、そのような「システム管理者宛ての迷惑メール」が増えそうな方にお勧めです。
 操作は簡単ですが、ソフトのダウンロードから操作までを簡単にまとめました。
こちらです。
http://www.nextftp.com/suyama/npop/nPOP%E8%AA%AC%E6%98%8E.pdf

2008/07/10

黒胡麻あずき

 夏こそ、冷たいものが恋しくなることがある。ミンミンと蝉時雨の中、とぼとぼと麦藁帽子と昆虫採集の網をもって、桃畑の中を「かぶと虫を」求めて、探し回った記憶がよみがえってくる。その帰り際には、氷と描かれた「のれん」を決まってくぐる。「おばちゃん、宇治金時、練乳がけもだよ」と、疲れ果てていても、テーブルに顎を載せて、「シャッ、シャッ」と削る音を見るのが楽しみだった。

  甘いあずきと鷲のマークの缶から出てくる練乳は、子供心に最高のご馳走だった。氷が解けて、あずきと練乳、そして抹茶色が渾然一体となった器をすする情景は、今でも懐かしい。頭の芯まで冷え、頭痛を抱えて帰る道のりは長い。だからさすがに、今は「かき氷」は食べられない。しかし、あずきと練乳は不滅のハーモニーだ。また、生クリームの入ったものは、抜けが悪いことを体が覚えている。これも無理なのだ。ということで、最近はまっているデザートの紹介。

  ここまで説明したら何が出てくるか、おおよそ推測がつくだろう。これから暑い夏と戦うために、ちょっと懐かしく、しかも、体にやさしく、しっかり冷える、そして後味が良い。その名も 「黒胡麻 あずき」 。これで今年の夏も乗り切れる。あなたの家の近所にもあるから是非試してほしい。もちろん体にエコ、お財布にも、凄くエコ。
 それは、こちら。
http://www.nextftp.com/suyama/mos/%E9%BB%92%E8%83%A1%E9%BA%BB%E3%81%82%E3%81%9A%E3%81%8D.pdf

2008/07/03

デジタルカメラ5

 写真の撮り方を教えてくれた先輩は、くどくど説明はしませんでした。結果は、誌面の中にあり、担当したページの写真がよくなければ、誰からともなく自己反省を迫られるからです。時折、自らそんな自白をすると、周りの先輩は、どうゆうわけか、「現像所が良くなかったとか、製版屋が手を抜いたとか」 本気で未熟な私を擁護してくれるのです。過去にあった彼らの不十分な仕事ぶりを次々と挙げて、本気で怒っているのです。これほど、身にしみる間はありません。写真は、記事の内容の信憑性を左右します。また、筆者が精魂つめて書き下ろした文章に、陰影を加えたり強調するのに使います。あるときは、インパクトとして駄目押しに加えたりします。つまり、これが出来なければ編集屋の資質がないのと同じです。なのに、時として緊張感を失い、考えの及ばないミスを犯すのです。仕事に慣れ始め、自信がつき始めた頃こそ要注意です。

 先輩の慰めとも思える話は、間接フリーキックのようなもので、これも自分の責任を問う結果に到達します。たとえ自分が納得していても、現像者や製版屋のオヤジ(仲間としての親近感)が、その写真を見て 「これは、なんとしても、良い物に仕上げてやりたい」と思ってもらえるように、撮影者の熱意と、それを支える社会性の視線を感じてもらわなければならないのです。また、あるときは、意思疎通の有無にかかわらず、感じ方が違っていても、「論点を外さない」ような、「説得力のある写真」という条件も必要なのです。画像にかかわる仕事をしている人たちは、どのような状況でも、そのような空気感や緊張感をもった画像にとても敏感なのです。くどくど説明をしない先輩は、よくこのように遠まわしで「統括的なじゅうたん攻撃」をしたのです。

 あるとき、明らかに35mmの写真じゃないと思えるページを見つけました。活版印刷でそんな違いは我々でないと分かりませんが、明らかに違うのです。こりゃ何だろう、「密度感が違うから八ッセル」じゃないのという意見、いや、「この切れ込みはきっとニコンの新しいレンズ」だよという意見、さまざまな考えに及びました。その後、製版屋のオヤジ(社長)が顔を出し、自慢そうに、我々に聞くのです。どうですか?どうですかって。・・・・製版用のレンズを換えたというのです。

 まさに想定外でしたが、そうだったのかと、やっと我々も納得したのです。その、安堵感と間合いの中で「社長!全然違うよ、よくなったよ」 と先輩は口を開きました。同時に、「でもアポニッコールだろ、もっと出るよな」、と先輩は一刀両断でした。社長は参ったなという顔をして指差しながら、「何で分かるんですか?なんで、なんで」 と驚いて問い詰めました。・・・先輩は笑みを浮かべながら、「そんなのわかんないで、ここに座ってられねーよ」 と言い放ったのです。

 ひえー、そんな凄い先輩だったのかと、改めてその眼力に驚き、隣に座っている自分の無邪気さを恥ずかしく思いました。それ以来、尊敬の念は、先輩に対し常に一定の距離感を持つことになります。鋭い感性は、実際の経験と、その毎日の鍛錬で磨き上げられるという話でした。
・・・・・ということで、今回(5回)で撮影に関する基礎的な考察は終了します。ご覧いただき、ありがとうございました。

今回も前回と同じホルダです。
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=0FF68288DD53524E&resid=FF68288DD53524E%21624&app=WordPdf

2008/07/01

デジタルカメラ4

 109の前でモデルを撮影しているのを覗いた。周りで携帯のカメラで撮影している若い女性もたくさんいる。みんなファッションには敏感なようだ。撮影しているのはプロのスタッフだ。前玉が飛び出した、美しい輝きを放つレンズを使っている。nikonのスーパーワイドだ。まず、これが僕の目に飛び込んできた。照明さんはレフ板抱えてモデルの傍にしゃがんでいる。左手でモデルに何か指示を与えながら、小気味よく撮影を進める若者は、当然遠慮がない。このあつかましさこそがプロの所以だ。

  後ろで心配そうに見守るのは化粧道具を持ったメイクさん、時折モデルの前に出てきては僅かな乱れを直す。露出計を首から提げたスタッフの一人は、次のモデルに何か指示を与えているようだ。誰がタイミングを計っているかわからないが、1つの仕事に向かって時計仕掛けのように動いて、次から次へと撮影をこなしていく。このスピード感と余裕の間合いは、どこから生まれるのか。沿道で覗き込む人々も、このような息の合った仕事に憧れを感じているに違いない。

  彼や彼女に任せておけば大丈夫。自分は自分の仕事に集中してちゃんとやれば、仕事は完成するはず。自分は、数字を聞いてセットし構図を決めてシャッターを切るだけ。それだけで良いのだ。彼等は自分がいい仕事をするために必要不可欠な役割を担ってくれている。だから、クライアントのどのような要求にもこたえられる。そんな姿は、もはやストリートパフォーマンスに匹敵する出来栄えだ。撮影は、僅か数分で終わった。

  その露出計を首から提げたスタッフは、沿道で覗き込む我々に「ご協力ありがとうございました」と声をかけ、スタッフは無言のまま109の中へ消えていった。そんなスマートな仕事ぶりに対し、昔、新製品発表会で、あつかましくも「すんませーん、すんませーん」といつの間にか最前線に立ち、他誌の迷惑顧みず、ストロボをたいていた自分を恥ずかしく思い出すのであった。

 と、全然デジタルカメラとは関係ない話になってしまった。なぜか!・・全く連携のない乗組員のUボートは、いとも簡単に幻の無敵艦隊に撃沈されたからだ。これに激怒している。

 連携のない仕事ぶりは、いずれ命取りになる。・・・という戒め。そこで、システム管理という視点で、セルフテストをして自己反省に迫る。
前回と同じホルダです。
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=0FF68288DD53524E&resid=FF68288DD53524E%21623&app=WordPdf