2009/02/20

続デジタルカメラ18

 今日は、京王線の百草園へ来ている。いつものように早速現場から報告する。38年間という長い期間、京王線を利用していても、ここは1度も訪れた事がない。新宿から特急・準特急で聖蹟桜ヶ丘、各停へ乗り換えて1駅。電車の中で「百草園の梅まつり」と言う中吊り広告をみて、思い出したように、その気になったのである。自然が織り成す風景の中には、想像を超えた神秘があり、「これは美しい」と感激することも少なくない。また、それらは時間を忘れさせ、いつまでもこの時間が続いてほしいと願う気持ちになることもある。そんなイメージを抱きながら、出かけることにしたのである。とにかく、行ってみないわけには、何も分からないからである。

 電車の中吊り広告には、「現在でも豊かな自然を残す多摩丘陵。その一角に佇むのが京王百草園・・・・・約800本の梅の古木で、見事な花を咲かせ都内有数の梅の名所として親しまれている」と記述があったので、ホームに降り立つと、期待に胸を膨らませ歩き出す。駅から400m程あるらしいが、ほぼ全てが坂道になっていて、途中で度々、まだかなと上を眺めるが、意に反し坂道は急峻になるばかりだった。それでも、道の両脇には住宅やマンションが建ち並ぶ。息を切らしながら、こういう場所は、住みにくいかもしれないなあ・・と考えながら、やっとの思いで到着した。ここまでで約20分程度である。立派な門構えをくぐり、入場料300円を支払い、さらに石段を上がる。ややこじんまりとした庭があちこちに散在し小道で繋がって、それぞれの庭には、梅の花が、咲き競うように枝を広げている。石段を上がりながら左右を眺め、確かに美しく、「見事」と言う他はなかった。木々も年期の入った古木ばかりである。しかし、京都から帰ってきたばかりのせいか、それでも絵的には少々貧弱に見えた。

 園内の中央に位置する「松連庵」では、蕎麦を頂く事が出来るようだ。なかなか風情のある光景ではあるが、寒さのせいか障子が閉まったままである。僅かな磨りガラス窓の奥に大勢が蕎麦を楽しむ姿を確認でき、自分も食べてみたいが、一寸入りにくい雰囲気なので退散する。 梅が咲く季節は、受験をする子供達には大変辛い季節で、ご両親も梅の花見物などをする心の余裕はないはずである。ここにいる人達は、それをとっくに終えた人達である。

 今日は、それでも、いつもより少し暖かいので、大砲のような大きなレンズを装備した写真マニアも多いが、それを振り回すほど園内は広くない。梅のクローズアップを撮影するなら鉢植えを買って帰る方がよい。しかし、私もどこか撮影しなければならない。小さなカメラをポケットから取り出し、撮影場所を探す。大きな古木の場所には、人が群がり、長いグループになって少しずつ移動している。なかなか撮影に向いた場所は見当たらない。

 「松連庵」の西側に、丁度、「三檪庵」=木に楽しむと書いて「れき」と読む(さんれきあん)という茶室があり、その建物と梅の花を引き合いに撮影することにした。三檪庵は、昭和32年に百花園に建築され、平成11年に百草園に移築されたもの。秋田杉の無垢材がふんだんに使用されている贅沢な茶室になっており、茶会、句会、歌会などを申し込めば利用できるそうだ。この風景では「桃色の花を付けた梅」が1本しかない。それは、園内の他の場所と大きく異なり、百草園の雰囲気を伝える写真としては不適切かもしれないが、来園の記念に1枚と思うなら、人気もなく時々静まり返る、この場所が最適だ。ホワイトバランスを曇りにセットし撮影を始める。

 2つの画像は、比較しやすいよう、同じ画角になるよう後で少しトリミングしたが、それぞれのズームレンズのひずみの違いが良く分かる結果になっている。 Panasonic は、画質の調整項目を変更、エッジ+1、クロマ+1、コントラスト+1、で少々ダイナミックに見える。Fuji は、細かな調節機構はない。フレームワークは、手前にある「苔の庭石が良い」とか、じじ臭い事を言うつもりはないが、構図上ここは削除できない。かと言って空も切れないので、ほぼ撮影アングル通りとなっている。この手のカメラは、できるだけトリミングしないのが原則である。(初めての方は、続デジタルカメラ3の本文を参照のこと)このシリーズはこちら
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