やはり、食べ物の人気は絶大だ。ただ、弁当より店舗の紹介の方が僅かに人気は高く、やはり「神田シリーズ」は好評だった。一方、弁当の中では、「浅草今半の弁当」が人気が高い。それを意識して、再び「浅草今半の弁当」を取りあげる。さすがに、浅草今半の圧倒的なブランド力というべきか、御年配の方からセレブな中年の女性まで幅広くご存知で、「美味い牛肉の代名詞」にもなっている。前々回は「牛肉弁当」、前回は「重ねすき焼弁当」、今日は、「ステーキ弁当」の紹介ということになる。この3種類を賞味してもらえば、大方の人が「牛肉を使った弁当」の概念を変える事が出来るし、どれも甲乙付け難く、その価格帯における決定版として印象付ける事が出来ると思える。これら3種類が異なる価格帯であるにもかかわらず、店頭で迷ってしまう、という大変優れた商品群を用意できることが、この会社の歴史の証明であり、他社の追従を許さない継続の勝因の1つでもある。そして、だれしもが「牛肉なら浅草今半ですよ!」と言う根拠に繋がっているようだ。
お腹が空いていれば、そこそこの弁当でも美味しく頂けると、誰しもそう考えているに違いない。しかし、そういう中途半端な話では、先に進まない。ちょっと大袈裟な例えになるかもしれないが、夕食を食べた後でも、あの「すきやき弁当」は食べられるし、朝の寝起きで食欲が無いときでもガツガツ食べられるのが、この「ステーキ弁当」である。つまり、この3種類の弁当群の備えた魅力は別格なのである。そんな物が、この世の中にある筈が無いと思われるかもしれないが、それがこの話の伝説めいた現実である。つまり、見た目と想像力によって、大脳から胃袋に指示が飛び、別腹をこさえてでも、食べるように命令されるのである。もっとも、そんなに沢山の量が入っているわけでもないので、実物を目の前にすると、つい、箸をつけてみたいと思われるだろう。ただ、その伝説にも似た現実に、ついつい「はまってしまう」かもしれないので、それが怖い人は、この弁当群に手を出さずに一生を終えるほうが良い。
一寸余談になるが、私の一番最初の職場は食品会社であった。調味混合課で防腐剤の担当をしていた時期がある。当時の課長は、「大概の食材の味」をいつも社内の食材、調味料や色素、フレーバーで再現して食べさせてくれた。まるで、「味分析器」のような舌が自慢であった。食品会社には、まれにいるタイプで、「凄い=尊敬」としか言いようが無かった。しかし、その課長は、醤油、味醂、スピリットビネガー、酒、アミノ酸混合物、などを組み合わせた、和の伝統の味を再現するのは、日本人の味覚の検知限も高いこともあって、「難しい事が多い」と話していたのを思い出す。そんな印象に残る言葉も手伝ってか、「今半の割り下」に特別魅力を感じるのかもしれないが、この割り下の味にこそ「真似の出来ない領域に達した洗練さ」を感じるのである。そして、折り紙付きの黒毛和牛の肉の品質の高さと相まって、弁当と言う枠組みの中でひときわ威厳を放っているのである。
食材が溢れる今日にあって、やはり、「最も重要な鍵ともいえる調味液は、自社オリジナル素材で作る」という、物づくりの原点を学ぶようである。今日のステーキ弁当は、150年という長い期間、老舗という暖簾のもとで、最高峰の味を提供してきた誇りを実感できる1品といえる。 おっと、得意分野で言わせて貰えば「防腐剤にソルビン酸K」を使っていることも安心である。
ではこちら
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