今、開門(9時30分)の少し前から神代植物公園へ来ている。この時期は、バラ園が活況を呈しているので開門前から多くの人が並ぶ。門が開くと目的の場所取りに走る写真家も多い。そんなこともあって、珍しく気持ちに余裕がなく少しイライラしていた。「今日は、いつもの場所で1枚撮影してすぐに帰ろう、できれば、人の移動が増えないうちに」と願っていたからである。体の周りにオーラを出して「すぐ終わるから、邪魔すんなよ」と念じてる感じである。神代植物公園の象徴的な場所は、やはり広大なバラ園で、既存の品種はもとより改良新種なども数百本が花を咲かせる。かなりのマニアの人でないと違いを楽しめないが、平気で30年、40年通って写真撮影している人もいるらしい。やはり、ここでも知識の深さが面白さに繋がるようだ。みんなそっちへ向いて走ってほしい。バラ園は、3日後再び紹介したいと思う。
今日の撮影場所は、前回の「パンパスグラスの大芝生」から西へ50mぐらい入ったところで、川を渡るとバラ園に至る狭い石橋の上である。広い園内でも、いくつかある中の一押しの場所なのである。 写真には、それ相応の必然性が欲しいことがある。それは、後々その写真を観て、自分なりにその時の熱意を思い出したいからでもある。前回のように「そのまんまシャッター切りました」では、自分には貴重に思えないし、見直すことも少ない。苦労して、こだわってこそ写真の価値は上がる。この場所は、既に4回ほど撮影をしてきた。何回撮影しても撮り直したい場所である。最初は30年ほど昔になるが、F1+FL19mmF3.5レンズで撮影している(水平包括角度87度)。当時としてはかなり広角レンズだったが、周辺が暗く実用範囲はかなり狭いものであった。その後、割と暗い場所だということもあってFD24mmF1.4でも撮影してみたが、やはり、広い範囲が収まりきれないので不満が残った。最近では、EOS1RS+EF17mmF2.8と割と新鋭(既にかなり古い)で試しているが、このくらい広角でも、「ふんっ」ていう感じにしかならないのである。人は欲が深く、結果を見れば見るほど、もっと広角で撮ってみたいと思うようになるものだ。その数年後、結局EF14mmF2.8最新鋭(もう割と古い)の登場になったわけだが、それでも、結果としては「まあまあだな」と思いながらも、結果を眺めれば眺めるほど、もっと広角で撮りたいという、更なる欲望が沸いていたのである。
しかも、このまま諦めて終わると、これまでやってきたことは無意味なことになる。競馬に例えると(何故競馬に例えるか分からないけれど)、ずっと負けが込んできた時のようなもので、ここで止めたら意味が無い。次は3倍掛けくらいのつもりで、勝負に出たい。「勝負事は最後に勝って止めるのが原則」である。条件も、ある程度経験的に分かっており、包括角度さえ上げられれば、きっと上手くいく筈である。
そんな30年の経験をまとめてみると、1.木々の間の葉が落ちて、まばらに先が明るく抜ける季節が絵的によい。2.川の枯葉が掃除してある祝日の前の日がよい。3.太陽の位置が左側にある午前中10時頃までがよい。5.左右2本の遊歩道が平行に見えるように撮影できる超広角レンズを用意する。などの条件があり、自分の時間的な都合も含めて、その日は先週または今週の金曜日と、ほぼ限定されていたわけである。
そこで今回は、水平包括角度130度以上のレンズを用意することにした。両手を広げて130度を作ってみて欲しい。レンズの前にある、両手の間の範囲が写し込まれていると思ってもらってよい。これで、最初の撮影に比べ約1.5倍の左右包括角度を撮影できることになる。やっと、「まあまあいける」と言った感じになってきた。それでも、撮影してみると、もう少し画面の右側が出るようになると、撮影意図がもっと良く伝わるかもしれないと思える。欲には限りが無かった。
最近、パノラマ写真が簡単に撮影できるカメラが登場しているが、それは、撮影された状況が一目瞭然で説明されていること、さらに全体的に自然な立体感で写されており、その点では、広角レンズより優れている。旅先や広い公園などでは、それが有効に機能する筈で、画質を含めて今後が楽しみといえそうだ。
それでは、写真を見ていただきたいが、初めて見ると「そんな大袈裟なことも感じない、普通に見える、なんでもない写真」だと思われるかもしれない。 それは、絵画等の構図に近いからで、見慣れているパースペクティブだからである。一方、風景を4x5で撮影されている方でも、スーパーアンギュロンより広いと言われるに違いない。
ではこちら
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