2010/05/18

京王フローラルガーデン4

 最近、スポット露出計を持ってウォーキングに出ることが多い。その目的は、どのカメラを持って来れば、思ったような写真になるかを検討するためで、決めた構図の中をスポットで露出を計るのである。まず、道端に咲いた草木をめがけて、カチ、大地に向かって、カチ、そして、空に向かって、カチ、「ほぉ、これでも F5.6 +1,-2で撮れるんだ」とか、「このシャドウでも F2.8 か」とか、計るだけでも結構楽しめるわけで、そんなことをしながら、頭の中で出来上がりの写真をイメージしながら歩くのが、実際に撮るより面白いのである。新緑の季節は、そうやってスポット露出計で、ダイナミックレンジを調べながら歩くのである。

 なぜ、そんな事をするのかと思われるかもしれないが、あくまでも、自由にならない自然界の照明に「季節との関連性」で、即座に変換できる露出パラメータテーブルを、頭の中に作っておきたいと思っているのである。まあ、そんなことぐらい、誰でも考えて実践している筈だが、ただ、受光面積が同じで、画素数の異なるイメージセンサーを搭載したカメラが数台ある場合は、僅かな画質の違いを問題にするような人達にとって、それは切実な問題となる場合がある。

 それは、ドットピッチによって実効的な色のダイナミックレンジが異なるからで、完全に解像度(ドットピッチ)と反比例する傾向にあるからだ。たとえば、7.2μピッチを標準にすると、8.8μのピッチのイメージセンサーでは、色の深みやダイナミックレンジも大きく改善され、画像の力強さ等にも魅力を感じる画像になる。一方で、6.4μのピッチのセンサーは、画像の繊細さや分解能はまあ良いのだが、色のダイナミックレンジはかなり狭く、彩度も低い。スタジオの柔らかい照明ならば、何とか活かせそうではあるが、野外などではデテールが周囲の明るさに食われてしまう。

 そのくらい画質に大きな違いがあることから、自分の撮影イメージに近い写真に仕上げられるカメラはどれか、常に模索していなければならない。そう言いつつも、そればかり強調されると、「ほぅ、コアな話だな」と思われるかもしれないが、それも、まさに撮影のイメージトレーニングなのである。 本来ならば、思いつきでシャッターを切っても、十分楽しめる写真が出来上がることが望ましいが、こと色のダイナミックレンジに関しては、デジタルになってから貧弱さが顕著で、フイルムにあったような柔軟性はない。したがって、フイルムよりも絵柄にあわせた調整しなけれならない要素は多く、気を抜けないのが現実だ。そして、明るい部分に余計に神経を使うようになったり、あるいは、異なるガンマカーブを何本かカメラに導入してみたりするなど、その試行錯誤から、つい機能を掘り下げてしまうのである。

 さて、能書きはそのくらいにして、今日はスポット露出計だけではなく、実物のカメラも持って来ているので、ウォーキングの帰り際にアンジェに寄ってみた。もちろん、閉園30分前に入園したのだが、やはりローズガーデンは人気が高く、いまだ何人かが観覧中で人影がなくなる頃まで待つことにした。余談になるが、今の新緑の季節のアンジェ園内は、どの方向にカメラを向けても絵になるし、極端な話、目を瞑ってシャッターを切っても、それなりにいい感じで撮れるのが特徴といえる。そういう、元々園内がデザイン性に優れた設計がなされているのである。

 それでも、私の写真は「今日は、この場所に来ました!という、いつも、一種の記念写真のようなもの」だから、誰がどう見ても、ここしかないと言うポジションでシャッターを切っている。ただ、画質に関しては、多少拘ってカメラを選択してみた。どうかな。 
ではこちら
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=CFBF77DB9040165A&resid=CFBF77DB9040165A%21661&app=WordPdf

補足 スポット露出計 スポットメーター または、反射光式露出計のこと。被写体に反射した光を入射角1度の範囲で計測する露出計。これによって、カメラに内蔵されている露出計では難しいダイナミックレンジを評価でき、最適絞りをメーター上に示す。画素のドットピッチとセンサーサイズによって、適正露光の補正値を算出するのに適しており、理屈どおりの撮影をする為には有効な手段になる。スポット露出計を使いこなすこと、これも1丁目1番地と言えるぐらい基本中の基本といえる。