2010/05/11

京王線の話題を追う

 なんだろ? この「RAILWAYS 」とは、と思いながら、車両側面に描かれたオレンジ色の電車に目をやると、「昔の京王線」の番組紹介か何かで、みなさん番組を見てくださいと宣伝してるのかと思った。駅員さんに今の電車の側面の広告は?・・・と聞いたら、「ああ、遭遇しましたか、1編成だけなんですよ、・・・・」 今、走っている京王線全編成の中でも、1編成だけに描かれた広告で、5月29日 から公開される映画「RAILWAYS」のキャンペーンになっているのだそうだ。 仕事に飽きて、疲れ気味の45歳前後の方は、どんな映画なのか、ぜひRAILWAYSで検索してみて欲しい。 少し元気が出るかもしれない。

 最初に京王帝都電鉄に乗ったのは、先日紹介した、新幹線0系に乗ったすぐ後のことになる。当時(約39年前)の京王線も、今と変わらず、めっぽう早い電車が走っていた。今のような10両編成ではなく4両編成で、思いっきり車体を左右に揺らしながら時速110kmでぶっ飛ばす、これぞ「特急」と言った感じであった。線路はもちろん広軌なので、脱線の心配もなく安心である。「そ、そ、そうか、このような特急電車が当たり前のように走っている大都会でこそ、新幹線を走らせる意義と言うか、環境と言うか、土壌が元々あったんだ」と、納得したのである。流れるような車窓を追いかけながら、街中を所狭しと突っ走る特急のスピードを徐々に受け入れていったのである。 何処を走る鉄道も、やはり早くて安全なのが良いに決まっているが、田舎に比べて都会は、何故か人身事故が多い。

 殆どの私鉄が都心近くでは高架を走るのに、京王線は地下から飛び出す。上がったり下がったりと地形を這う様な起伏で走り、ある時は、ハイアングルから街並みを眺め、ある時は切り通しのローアングルから見上げる、そして、突如広々と前が開けるとスピードを上げて通過駅を駆け抜ける。床を伝わってくる軽快でパワフルなモーター音と安定した加速感で目を瞑っていても、何処を走っているか見当が付くところが心地良い。そんなダイナミックに変化する風景やスピード感が子供達にも人気で、夏休みには、スタンプラリーが始まる。もちろん、子供達の行動は車掌さんの監視によって、あくまでも安全が確保されている。今、息を切らして、スタンプを押して戻ってきた子供達に聞いてみた。「君達、将来の夢は、電車の運転手かな?」、少し沈黙の後、首を横に振りながら2人とも、「なりたいけど・・・・、とりあえず、就職できれば、どこでもいいよっ」 という返事であった。

 外国人観光客に圧倒的な人気を誇るのが高尾山である。海外からの旅人は、口コミで高尾山に興味を持ち、必ず訪れるらしい。「いいところだ、東京都内から1時間とは思えないくらい静寂に満ちて、霊験新たかで、神秘に富んで、蕎麦が美味しい」と囁かれているそうだ。ほんまかなーと首をかしげる人も多いが、口コミの力は絶大で、次から次へと外国人が登山にやってくる。春先から急に外国人観光客が増えると困るのが京王線の車掌さんである。何度も何度も同じ事を聞かれて、何度も同じ返事をする。「キョウハ、フジサンミエマスカ?」、「ちょっと今、ここでは、分かりません。・・・」 ところがついに、5月、観光庁長官から新宿駅~高尾山口駅間を「外国人旅行者の為の促進区間」として指定を受けてしまった。そこで急いで、駅や電車などにある案内の外国語への拡充を図ることになった。 勿論、車内アナウンスも現在2ヶ国語で放送されている。しかし、車掌さんへの質問は減っていないらしい。

  一昨年から、国領駅付近の野川の先から西調布駅付近までの京王本線と、調布駅付近から京王多摩川駅付近までの相模原線の地下立体交差事業を行っている。完成は2012年らしいが、シールド工事は計画以上に早く進んでいるという。京王線の約2.8kmの区間と相模原線の約0.9kmの区間を地下にすることにより、その区間踏切が無くなり、道路の立体化も進められるそうだ。また、これにより国領駅・布田駅・調布駅は全て地下になってしまう。この工事の完了によって、京王線は益々上がったり下がったりと上下に激しく忙しいコースを走ることになる。今日は、その地下入口手前になる野川で撮影した8000系車両の勇姿である。野川と国領駅の間は、直線で400m弱しかない。つまり、工事完了時には電車は野川を渡ると、すぐに地下への堀割コースへ突入することになる。
ではこちら
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=CFBF77DB9040165A&resid=CFBF77DB9040165A%21636&app=WordPdf

補足:シールド区間工事 筒状の掘削機械(シールドマシン)を用いて地中を掘り進み、セグメントごとコンクリートのブロックを組立てることで円形の連続したトンネルを構築していく工法。