2011/03/15
牡蠣カレー
新鮮な牡蠣を使った料理は、牡蠣の臭いは全くしない。むしろ、何かの貝の一種を食べていると思うくらいである。その点に関しては、何か世の中の人は、大きな勘違いをしているのではないかと思うことがある。半分とまではいかないが、ある程度腐りかけた牡蠣でも平気でフライで食べているし、それらは、鍋の中で硬くなって泳いでいることもある。確かに、牛肉などは、少し寝かせて熟成が進んだ方が美味しいという人もいる。事実そのようなことも実感としてあるが、こと牡蠣に関しては臭くていけねえ。その腐りかけた牡蠣の臭いを牡蠣の固有の臭いと勘違いしている人が多いのである。臭いがする牡蠣は、すでに腐りかけている。確かに腐りやすい海の幸ではあるが、本来は無臭である。2~3日間なら、殻つきのまま保存しておく必要がある。そんなことに配慮しながら、牡蠣の料理を楽しんでもらいたいと思う。
さて、先週は自作の牡蠣めしを紹介した。といっても、作業は簡単で即席並みである。仮にも、この牡蠣めしの素というのが市場にない理由としては、上記の背景によるものと考えられる。ただ、いぶして火を通し、燻製状態にしたものを使うという方法もあるが、結果として美味しい牡蠣めしにはならない。しかし、一方で、冬場にしか採れない牡蠣を、巧妙に処理して何かに使おうという考えは、昔からあったわけで、レトルトが広く普及したことで、安易にも「牡蠣カレーという商品」が生まれてきた。しかしである、地元広島でもわざわざカレーにして食べますか?と聞かれれば、「そがいなことはせんよ」という感じである。ま、畑の肥やしにするくらいなら、何にでも加工するかもしれないが、地元では、美味しい時期に質の良い物をいただくというのが一般的である。
あくまでも、新鮮な牡蠣と腐りかけた牡蠣の狭間を知って、牡蠣の加工を評価する必要があるという視点で、今日は市販の「牡蠣のカレー」を食べてみることにする。それにしても評価するなら、比較対象となる牡蠣そのものを用意した方がよいが、それこそもう三陸の牡蠣は今後3~5年は食べられそうもない。そこで慌てて、残っている物を買い求めてきた。そして、それをオリーブオイルで火を通し牡蠣カレーの付け合わせにして比較してみる。まず、サフランライスを炊き、買ってきた牡蠣に火を通し、牡蠣カレーのレトルトパックを湯煎に掛ける。
レトルトパックが3分ぐらいポコポコしたら取りだす。お皿にサフランライスと、オリーブオイルで火を通した牡蠣を乗せ、レトルトパックからカレーを流しいれる。ここからは、PDFをご覧いただきたいが、カレーの中にもふんだんに牡蠣が入っていて、なかなかの贅沢感はある。牡蠣自体の姿もしっかり残っているので、恐らく別鍋で加工したものをカレーソースに加えた感じである。ソースの方は、いわゆる牡蠣の臭いがしていかにも牡蠣カレーを演出しているが、私には臭い。ところが、牡蠣自身には全く臭みはないし、なかなか優れた牡蠣が使われている。製造者は広島なので、少し牡蠣自体が甘いが、よく出来ていると思う。そして、これも、世の中の大きな勘違いをしている人たちに、本物風の牡蠣を楽しんでもらいたいと巧妙に考えた末の結果に違いないと思うのである。
ではこちら
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=CFBF77DB9040165A&resid=CFBF77DB9040165A%21907&app=WordPdf
補足:オリーブオイルで火を通した牡蠣とカレーソースの中にあった牡蠣を比較すると、カレーの中にあった牡蠣もかなり大振りで美味しいが、やや燻製風である。全体としては、よく考えられたカレーソースだが、旨味と臭みが紙一重の牡蠣カレーに仕上がっていて、賛否が分かれる。個人的にも、まあまあ美味しいには違いないが、やはり臭いが好きになれそうもない。