2011/03/04

自分で作る幻の牡蠣めし

一昨年、渋谷のフードコートで「広島名物の牡蠣めし」を販売していて、思わず買って帰った。広島県の呉市で育った私からすると、なんて色が濃いのだろうと首をかしげてしまうほどであった(旧弁当シリーズの写真参照)。やはり、関東で販売する以上、色が辛口関東風仕上げでないといけないのだろう。もちろん、価格も関東風になっている。外見上の色味などは、自分の知る牡蠣めしとは違い、ある意味別物の「牡蠣の燻製めし」の様相を呈していた。こんなことを申し上げても詮方なきことだが、広島の牡蠣めしが、関東で販売されるから「色が濃くなければならない」というのもいかがなものかと、しばらく考えさせられた。そこまでして、定形的にその場で牡蠣めしを作って販売する意味が本当にあるのだろうか。
 
 そんな話を周囲に打ち明けると、「そがいなことはどでもええわいね、好きなように自分で作って食べりゃあええんよ」と言われるまでのことであった。とそんなつまらないことに悩みながらも、自分自身が評価できる関東風牡蠣めしを創作してみようと考えたのである。それからは、牡蠣の安いときに試作を繰り返してきた。ある時は、醤油を加え過ぎて塩辛すぎることもあり、またある時は、帆立やアサリの煮汁を加えておくと美味しいとか、様々に試作を繰り返してみたが、味覚の感性を磨くためにも、決して試行錯誤は無駄ではなかった。しかし、その基本に立ち返って集約してみると、やはり、濃口醤油、次に牡蠣、生姜、あと日本酒、だし汁の素、椎茸ということになる。PDFの写真に今日使用したそれらを並べてみた。そのほかの海の具材は、その日の気分やお好みで加える。

 お米は、2合用意して1時間程度水につけておく。牡蠣は、2パック程度(1パック400円程度)をパックから出して洗浄し笊にあげて水を切る。牡蠣の美味しい時期は、三陸沖の牡蠣で11月中旬から3月中旬までが限度。広島では12月から2月中旬まで。今スーパーなどで売られているのは、まぎれもなく三陸の牡蠣。生姜は千切りにしておく、椎茸は薄くスライスをするように裁断しておく。そして、鍋にだし汁を用意する。比率としてお酒を1とすると、アルカリイオン水も1、かき醤油0.5、湯浅醤油0.5を鍋で沸騰させ、牡蠣、裁断された椎茸、生姜を少々入れる。牡蠣に火が通ったのを確認したら、火を止める。ここで、「焼きあごだしの粉末」を投入してかき混ぜる。次に、炊飯器にお米を移し、しばらくして温度が下がったところで、鍋から牡蠣とだし汁を入れる。牡蠣が入っているので、だし汁の量は、目盛りで3合の目盛りの上あたりまで、少し多めに入れる。あとは、炊飯ボタンを押すだけである。高速炊飯は駄目である。

 こうやって、炊き上げた牡蠣めしは、関東風の格別の色合いを出しながらも、味は関西と関東の中間である。もっと、関東風にこだわるならば、「かき醤油と焼きあごだしの粉末」をやめた方がよい。このかき醤油は、2010モンドセレクション金賞と奥深い美味しさが出るが、これは瀬戸内風になる。また、焼きあごだしの粉末も、関西風の味になる。ただ、この紀州湯浅の湯浅醤油だけは、関東にありがちな塩っぽいだけの醤油とは異なり、紀州は醤油発祥の地でもあり、古くは紀州徳川御用達品として尊ばれている品物で、関東とか関西とか言う前に大変美味しい醤油である。ということで、上の写真のように、関西にも関東にもない「独自の牡蠣めし」を創作しているのである。参考にしてほしい。ではこちら原材料写真
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=CFBF77DB9040165A&resid=CFBF77DB9040165A%21905&app=WordPdf

補足:PDF写真にある紀州の湯浅醤油は大変美味しいのでお勧めしたい。朝の納豆から夕食の刺身、魚の煮つけ、あと、おでんやうどんにまで使えて、それを使った料理に病みつきになる。