音に敏感な人は、耳が優れていて外国語の聴き取りの上達も早いと言う話を聞いた事がある。ふ~ん、なるほど、そうか、と私もかつては「少なからず自分も音にうるさい部類だと考えていた」。毎日のように仕事で、オーディオ機器の計測データーと聴感比較をした時代があったからである。人は訓練を重ねることで、様々な音の違いを聴き分ける事が出来るようになるし、少しずつ音に敏感に反応するようになる。そうやって、微妙な音の違いが分かるようになり、競って同じ視聴をしても、ほぼ同じような意見や評価に落ち着く事が多くなる。
しかし、そんな音の違いが分かる程度のことで、優れた音の本質なるものが分かる筈もなく、むしろ逆に音楽を素直に楽しむ事が出来ず、アラばかりが気になったり、根拠の無い良さは胡散臭いとも感じたりするのである。我々一般人は、少しずつ鍛錬して、そうなるのに2~3年あるいは、もっとかかるが、幼い頃からピアノに親しみ、絶対音感を備えた人は、気がついたときからそうらしい。毎日の生活はもとより、テレビ、演奏会やレコードから出てくる音でさえも、聴き辛い思いをしたり、気持ち悪くなったりする事が多いようだ。ところが、その絶対音感を備えた人は、やはり外国語の聴き取りに優れ、細かいところまで発音を聴き分けていたのである。もっとも、クラシック音楽そのものが舶来なので、絶対音感を得る途中で、ドイツ語、イタリア語、等を同時に取得することになる。この事実から、相対的な音の違いが分かる程度では、その「外国語の聴き取りの上達も早い」という領域まで達することはないことが解明されたのである。
もっとも、何年もその様な環境に置かれると、人はそれなりにコミュニケーションが取れるように努力するらしいが、そのような環境条件を周囲に整備するのは難しい。そこで、その様な環境のある外国語学校へ通ったり、CDやBSの外国語放送を聴いたりと、様々な手を使ってヒアリングの練習をし、簡単な会話が出来るぐらいになろうとするわけである。現在ではもっぱら外国語専門の学校へ通うのが一般的だが、我々の時代は、カセット・テープを聴く事が主流であった。そのために、ウォークマンは、英会話のヒアリングの必須アイテムであったのだが、ここで使うイヤホンやヘッドホンで音を聴く行為は、「耳を壊滅的に悪くする事が判った」のである。本来は、耳がよければヒアリングも早く上達するはずなのに、それに反して、どんどん耳を悪くするとしたら、全く逆効果である。ただ、すぐに耳鳴りなどに苦しんだり、高い周波数が聴こえなくなるわけではないが、もしそうなったら残念ながら元に戻らない。気がついたら耳鳴りに苦しんでいたと言うことのないよう注意されたい。
なぜ、そんな話になったかといえば、先日府中で映画を観てきて、もっとネイティブに映画を楽しみたい、その為にヒアリングを練習しようと思い、20年ぐらい前の昔のカセットを探していたら、数年前に買い求めた新品のウォークマン2台も一緒に出てきた。カセットには、確かに何度か聴いた形跡がテープ上の横筋となって残っている。再び、暇つぶしに聴いてみたいが、途中で止めた理由は「耳が悪くなる」と言うことだったことを思い出したのである。
PDFの無骨なウォークマンは、TV/FM/AMの受信できるタイプで、音楽用ではなく、あくまで情報伝達用である。これを鞄に携帯しておき、大地が揺れたら地震情報を聞くなどに利用しようと思う。ではこちら
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=CFBF77DB9040165A&resid=CFBF77DB9040165A%21944&app=WordPdf
補足1:絶対音感→音を単独で聴いても、音程(音符、もしくは周波数)として正しく当たっているか、あるいは、どのくらい外れているかを判定する能力。基準となる音を聴かずとも、音の高さを、音楽で決めてある音の名称として言い当てる能力。