「当時、まだ宇高連絡船があったので、船の上でまず「天ぷらうどん」を食べて、岡山駅で乗り換えに「祭りずし」を買って、・・・」という、以前書いたくだりにあるように、宇高連絡船で食べるうどんが、自分にイメージとして残された最後の「讃岐うどん」である。甲板の上の小さなお店なので、出港したら、すぐに走って駆け上がらないと大勢の人達が並んでしまう。うどんを「お湯で洗う」といった程度の短い時間で椀に入れ、上から熱いつゆを掛けて、えび天を乗せる。あまり火が通っていないので麺は太く硬めで、力強く蛇行している。それを”づるっ”と吸い込むと、うどんは、暴れながら喉を通過する。口の先に残った麺の端からおつゆが左右に飛び散る様が、讃岐うどんの「こしの強さ」である。・・・・・ほんまかーぁ?
意識して探し始めると、なかなか見つけることが出来ない。だから、この掲載タイミングについてはあまり気にしないでいこうと思っていたが、いつでもいいやと思っていると案外早く見つかるもので、例のグリコ栄養食品㈱の「讃岐こし鍋うどん」と「牛筋カレーうどんの素」を見つけてきた。この2つの商品は、もちろん、この2つの組み合わせでも美味しいには違いないが、例えば、こし鍋うどんは、こしがめっぽう強いので、鍋焼きうどんはもとより、どんな鍋物にも使えそうだ。これからの季節は重宝するに違いない。そして、「牛筋カレーうどんの素」は、濃厚な仕上げになっていて、甘辛くコクのある味わいで「うーむ、と唸るほど美味しい」で、関西風。ご飯にも合うかもしれない。
早速、この「讃岐こし鍋うどん」と「牛筋カレーうどんの素」の組合せで調理手順に入るが、こし鍋うどん と牛筋カレーを鍋に入れて中火でコトコトと10~15分程度煮込むという手もある。おそらくそれが標準的で美味しい調理方法なのだろう。しかし、私は、手っ取り早く調理して、うどんの腰の強さを味わいたい。できれば、そのままお椀に入れて電子レンジ500Wで4分という手もあるかもしれないが、私の方法は少し違う。まず、冷蔵庫から調理30分前に「讃岐こし鍋うどん」と「牛筋カレーうどんの素」を取り出しておく。お湯をチンチンに沸かし、「こし鍋うどん」を四つに切り、牛筋カレーのレトルトパックと一緒にお湯の中に入れる。こし鍋うどんのたまが離れかけたら、両方共取り出して椀に入れる。次に3分電子レンジで加熱する。牛筋カレーの表面の色の濃さが増したら食べ頃である。即席で作った割には、本格的なカレーうどんに仕上がる。はっきり申し上げて、3倍ほど高い「うどん専門店」でいただくカレーうどんより、はるかにC/P(コスパ)よく美味しい筈である。
この、こし鍋うどんは、まさに私のイメージしている「宇高連絡船で食べていたうどん」に近かった。こし鍋うどんが、暴れながら喉を通過する時、父と母が元気であった頃の様子が思い出される。いやいや、母はまだ死んでないが・・。当時は、父も母も、今の私より若かった頃だと思う。これも、「懐かしさが美味しさにつながる記憶」なのである。
ではこちら
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=CFBF77DB9040165A&resid=CFBF77DB9040165A%211011&app=WordPdf
補足1:こし鍋うどんは、パッケージ内では半生度は強く、十分火を通すことで独特の艶とこしを生むようで、茹時間の調整には神経を使ってほしい。
補足2:宇高連絡船→宇野と高松の瀬戸内海を結ぶ日本国有鉄道の船で、貨車なども運ぶ。船自体は青函連絡船と同じ構造である。