2011/10/28

海老のビスク

 時折、思い出したように、いつもと違った時間を過ごしたいと想う。それは、体に優しいスープを「落ち着いて味わう」気分に浸ってみたいのである。手間と時間をたっぷりとかけられたスープはすべての料理のベースでもあり、一寸とだけ幸せを感じられるひと時である。・・・・ただ、コース料理の最初に美味しいスープを出せる由緒正しい洋食屋は、最近極端に減ってしまった。だから、ホテルが販売している「スープ缶の詰め合わせ」を戴いたおりには「とても幸せな時間」が過ごせるのである。昨年も今頃レトルトパックのスープを紹介したことがあることを考えると、今の時期はスープが恋しいかもしれない。

 昔の即席スープは、お湯を注いで手早く出来る優位性しか感じられなかったが、最近のスープは、お湯に溶けやすい割には、それでもどんどん濃厚になっていて、本物らしさがあちこちに溢れている。薫りのつけ方も昔とは随分違って本格的になったように思われる。そんな本物っぽさを匂わせることで、一際高年齢層にも受け入れられるようになってきており、売り上げを伸ばし、製造メーカーも増え、様々な種類が派生して販売されている。たとえば、コーンスープもポタージュ風とか、焼きとうもろこし仕立てとか、胡麻と豆乳を組み合わせたポタージュとか、工夫を凝らして、濃厚さや香ばしさも追求されるようになった。

 今日紹介するのは、そんな派生品の中でもとりわけ異端児ともいえる「海老のビスク」である。ええっビスク?それ何?と疑問を発してしまったが、キーボードで「bisk」とタイプしてみる。No Response である。では、「bisque 」とタイプしてみる。すると、1.素焼きの陶器、2.競技者の弱者に与えられる1点、3.貝類、鶏肉、野菜などで作る濃厚なスープ、4.粉末にした木の実入りのアイスクリーム、と返ってきた。これらの解釈からわかることは、若干拡大解釈になってしまうが、餡子で例えると「こし餡と粒餡が混じり合って」より深みのある美味しさを追求したってところなのだろう。つまり、「海老ビスク」とは、海老で出したスープに海老の頭とか殻を粉砕したものを加えたと思われるのである。

 この「海老のビスク」は、とてもよく出来ていて、本物にかなり接近している。カップに溶かしてすする程度だと、よく出来た即席スープ程度にしか思えないかもしれないが、ホテル等でちょっと立派な2段重ねの大きな器に注がれて出されると、「さすがに、手が込んでいて美味しいね・・・」という言葉が漏れるに違いない。ただ、味や薫りなど、強調し過ぎの感は否めないが、「それを差し引いても美味しい」と思う。今日のPDF写真には、他にも同じくポッカのクラムチャウダー、そして理研ビタミンの「焼きとうもろこしのポタージュ」も並べてみたが、「海老のビスク」だけでも、試してもらいたい商品の1つである。ただ、海老の嫌いな人は駄目かな。
ではこちら
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