2011/10/02

天下鯛へい

 インターネットの普及で、きっかけさえあれば、どのようなことでも、ある程度の概要を掴むことが出来る。ただ、もっと詳しく知ろうとしても、案外横並びの情報や知識の羅列の場合が多く、まあ、そんなもんかと納得した気分になる他ない。一方で、今1つ食い足り為に、何か視点を変えてみるとか、色々探りまくるということもあるだろう。特に、美味しそうに思える商品とか、珍しい食品は、一度は口にしてみたいと思うかもしれないし、逆に、すぐに手に入りそうもなければ「もういいや」と興味を失うこともある。今後は益々「情報入手が早く、諦めも早くなる」のである。

 今日は、そんな理屈をこねてみたくなるほど、美味しいのに、情報が少ない甘味の紹介である。品物は、あくまで「頂戴した物」なので、伝統的背景などの詳しいことは説明できないが、一口で申し上げれば「鯛焼き風の生和菓子」といったところである。この写真の包は箱になっていて、まさに弁当風の趣をかもしていて、「鯛飯」とか、「鯛のおこわ飯」とかを連想してしまうのである。「ご飯の中に真っ白な鯛の身が入っていて、鯛のことのほか強い風味が漂い」・・・・と考えただけでも美味しそうであった。が、開けてみると「ええっ」と意表を突かれてしまったのである。

 さて、この鯛焼き風生和菓子は、それを一口頂くと、こし餡の上品な舌触りが伝わり、丁寧な仕事ぶりが簡単にわかる。このこし餡の作りが、和菓子の風格そのものなのである。こし餡に含まれる蜂蜜や水あめと一体化した香料が、時間とともに包む皮に浸潤し始め、全体へとくまなく広がっている。さらに皮の「もっちとした食感」は珍しい印象を受けるが、最新の洋風和菓子などにも見受けられる技法である。皮がカステラになったものはよくあるが、それとは対極にある食感を演出し、それによって、あくまで和菓子であることを再認識させられる。甘さは、たっぷりと広がり、今風に「抑え気味といった小細工は一切なく」心地よい。やはり、甘さは堂々と分かりやすくなければならない。

 我々の様な年齢にとっては、小豆を使った和菓子は、舌触りに伝統的な美味さを感じるのである。日本人であることの安堵感とでもいうのであろうか、ついつい着物の上に重ねた母の割烹着姿とか、手間のかかる小豆の前処理をする祖母の姿などが思い出されるのである。昔の田舎では、家庭で様々に甘い物を作っていたのである。そういう作業を見ながら、小豆のこしあん、粒あんに始まり、煮豆に砂糖や蜂蜜を加えて作る「餡」の色々を教わった。餡さえできれば、和菓子が作れるわけではないが、餡は材料の「加減」が重要な役割を担っている。つまり、創作者の感性とこだわりに大きく左右されるのである。
 ではこちら
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補足:詳細は、ホームページhttp://www.nihonbashiya.jp/を参照のこと。