2012/04/17
オランジーナ
テレビから寅さんのテーマが流れ、我々はそれに吸い寄せられるように耳を傾ける。そんなはずもないのに、寅さんが帰ってきたのかと、いつものイメージが浮かぶのである。そして、勝手にストーリーを思い出すのである。そこには、寅さんと関わり合う人たちが次々と登場する。あるときは、寅さんの憧れの人であったり、悩みを抱えた人、あるいは、自分だけが不幸をしょっているような人、今回はどんな人が登場するのかな?「美人だと楽しいな」と思うわけである。そして、その人達が寅さんの家族に癒されるのが主題である。それは決して偶然ではない。寅さんを待っている家族の想いが募る頃に現れ、そこに待ちうける愛情は、寅さんにではなく、客人に注がれてしまうのである。そこには、我々がいつも追い求めている温かい家族の淡々とした映像が繰り広げられる。だが、寅さんはそこに安住することなく、再び旅に出てしまうのである。うーむ、格好いい!
フランスの国民的炭酸飲料のオランジーナと、寅さんがどう結びつくのかよくわからないが、「愛と青春の旅立ち」「プリティーウーマン」など著名な作品に登場したリチャードギアが、あたかも寅さんのような姿で、オランジーナというジュースを四角い鞄に入れて戻ってくるという演出は、1つ1つのシーンにフランスの田舎が、美くしく収められている。また、少し老いたリチャードギアであることが、戻ってきたという印象を強め、今なお伊達男としての健在ぶりを発揮するシーンに、老いて更に磨きのかかった格好良さが漂うところが嬉しい。そのリチャードギアとフランスの田舎の風景の組み合わせが、寅さんのイメージを世界的規模に広げ、今まで以上に輝かせるに違いない。それが、オランジーナという炭酸飲料の美味しさのイメージに繋がっていくのであろう。
さて、実際にそのオランジーナを口にしてみると、もはやCMに洗脳されているのか、「おおーっ」と少し甘めのオレンジ炭酸が広がる。まさに舶来の味なのである。地中海沿岸の温暖な地域で、柑橘系の果物がたわわに実った情景が自然に浮かぶ。オランジーナには、様々な柑橘系果実の薫りや酸味が混然一体となっていて、嫌みのない微炭酸が加わり爽やかな刺激を強めている。そして、程良い甘味がどこか懐かしく幸せな気分にするのである。そうやって、舶来に弱い持ち前の感受性を一挙に埋め尽くすような、爽やかな刺激を喉越しに感じてしまったのである。普段は、このようなファンタ・オレンジ風の炭酸飲料は飲まないが、このオランジーナのもつイメージは気持ち良く爽やかなのである。
柑橘系果汁は、味に飽きが来るのが早いので、愛用され続けるのは難しいとされてきた。そこに、微炭酸と柑橘系果汁の混合と言う複雑な味を構成することで、飽きの来づらい商品に仕上げている。もっとも、市場にある柑橘系飲料は多種多様で、消費者とすれば1つの商品にこだわる必要性も感じないために、メーカーとしては商品の導入に際して、それなりのイメージ作りが大切であったということなのであろう。価格は標準で140円、だが安いところでは88円で販売されている。こういうイメージ作りと価格戦略を上手に組合せることによって、労少なく一挙にマーケットに浸透させる腹づもりらしい。
ではこちら
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