2012/05/12

ダニサ・バタークッキー

   昔ながらの著名なクッキーを紹介するのは初めてである。きっかけは何かと言うと、1箱が98円で売られていたからである。目を疑うほどの価格、あるいは偽物を疑う価格である。いや、いくら円高であろうとも、また、デフレが進んでいると言われても、あるいは、「持ってけ泥棒」と書いてあったとしても、せめて1箱売りなら125円ぐらいではないかと思うのである。その根拠として、この同じ商品が、その同じ駅ビルの2階の売店で250円で売られていたからである。誰も「おばちゃん!このクッキー1階の薬局で98円で売ってるよ」と声を掛けることもなく、いつものように時間は過ぎて、薬局では山の様な在庫をすぐに売り切ったようだ。それでも、2階の250円の在庫は、通りがけの中高年女子にぽつぽつと売れているらしい。

  輸入品をインターネットで販売している会社では、この程度の価格バリューがないとお客は振り向いてくれない。ただ、扱う量として、10箱まとめてとか、20箱入り大箱とか、単価の安いものは運送料などの関係もあり、下限が「店舗の仕入れ」と同様のボリュームになってしまうのである。さすがにそんな大量は欲しくない。ここでコンスーマにおけるインターネット販売の限界が見えてしまう。将来は、コンビニやインターネット、あるいはスーパーや量販店舗などが明確なセグメンテーションがなされるにしても、高齢化社会では、消費者が古い概念に沿ってきているので、何が気持ちを左右しているか明確ではないが、必ずしも価格だけでは片付けられない側面もあるようだ。

  だから、分かりやすいコストダウンに神経を使っているのかもしれないが、バリューとは何かを問い直す必要性は高い。そこに市場分析の、ニーズの変化であったり、トレンドであったりするわけで、こういう時期だからこそ、社内で揉まれて検討しつくされるべきである。やはり、商品の原価を触ったり、製造コストを下げるのは限界まで来ていて、仕組みの改革というか、つまり人件費でコスト削減するケースも少なくない。しかし、それらは品質低下を招きかねないし、いつまでたっても、その単純な値引きループから抜け出せないのである。ならば、常日頃からお客の話に耳を傾けて、価値観、コスト感覚を共有し、あるべき方向を素早く見出してイメージを明確にしたり、検証しながら具体化を進める必要があると思われる。

 瞬間風速的ではあるものの、もう落ち着いていると思っていた価格が、再びそげ落ちる怖さを目の当たりにして、少々興奮気味になってしまった。かつて常に警戒を怠らないように努めた、「競合他社の介入」の一端のような錯覚に襲われてしまったようだ。今の自分としては敏感になる必要は全くないのだが、習慣性が残っているのであろう。そういう反射にも似た感性と言うのは、体が勝手に反応してしまうので、良いことはない。・・・・と言う、背景にさらされながら、今、まさにそのバタークッキーを眺めて、知らず知らずのうちに口にしながら、そういう過去を思い出しているのであった。やはり有名なクッキーだけの事はあり98円だと、それまで以上に美味しく感じる。つい4箱も買ってしまった。
ではこちら
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