2012/07/31

旨辛担々麺


  「胡麻と山椒の組み合わせ」は、体に絶対良いはずだと考えていた時期がある。相当昔になるが、それを信じて「美味しい担々麺」を探して様々な中華店を訪れていたことがある。それは、確かに消化器系の調子改善に効果があるような気がしていたのである。そんなことも、最近はすっかり忘れて、近所の上品で薄味の「もやしそば」なんぞをすすっていたのだが、先週再び、担々麺の美味しいお店の噂を耳にしたので、思い出したように出掛けて来たのである。それも、帰りの道順から少し外れただけで、いつでも気楽に訪れることのできる便利な場所にあった。
 
 人の噂は、なかなかのものといえる。コシのある麺、胡麻のスープ、そぼろ状の肉味噌等、それらが、混然一体になった美味しさが、口にするたびに幸福感となり、徐々に食べる勢いが増していき、最後は、大いなる満足感に浸ったのである。メニューから選んだのが、下の写真の陳麻飯(左)と担々麺(右)、杏仁豆腐のハーフのセット(半分づつの量)と焼き餃子(写真はないがこれもいける)である。この陳麻飯と担々麺の組み合わせによる辛味の共演は、徐々に発汗を促し。食べ終わる頃には、汗が滝となってあふれ、それも、あくまで自然にさらっと流れてしまったのである。そうやって、くたびれていた体が、徐々にエネルギーに満ちて、迎撃戦闘モードというか、暑さと戦える体に戻って来たのを実感したのである。


  最近、そんなに体が反応する食事に遭遇することは無かったので、半ば驚きなのだが、これがまさに「胡麻と山椒の組み合わせによる」ものなのではないかと、帰りの電車で、遠い記憶を呼び戻そうとしていたのである。しかし、テーブルの上に妙に敷き詰められた能書きというか、その中のサンショオールとカプサイシンの効能に関する講義と書かれた、文言を思い出していた。そこには、山椒に含まれるサンショオールは、脳下垂体を刺激し、全身のホルモン分泌を促し、心臓にも作用しアドレナリンを分泌する、と書かれていた。そ、そ、そうか、まさに今、自分の体がその反応をしていると思えて来たのである。

 最近の極端な暑さと戦うために、担々麺のお好きな方は、温かい方を是非にでも一度口にしてもらいたい。今時、熱いのは苦手と言う人には、上の写真のような、冷やし担々麺もある。冷やしに使われている麺は、温かい担々麺に使われている物とは全く別物だが、これがまたいける。ま、好みによって分かれるにしても、どちらかと言えば、個人的なお薦めは温かい方になる。焼き餃子も美味しいので一緒に頼むべし。お店には他にもたくさん珍しいメニューが並んでいるので、この強烈に暑い夏場の間は通い詰めても大丈夫なようだ。もちろん、全てのメニューでリーズナブルな価格設定になっている。
 お店の夜の外観はこちら
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2012/07/27

産地直送の桃

      今年も、いつものタイミングで大先輩から桃が贈られてきた。かといって、大先輩が桃農園をやっているわけではない。山梨の知り合いの直営農場で育ったものである。桃と葡萄に関しては、定期の発送顧客が多いため順番もあるようで、到着した時には、まだ少し固い状態なのだが、日に日に実が熟して、美味しくなるのである。美味しさの点では完熟が良いのだが日持ちがしないので、少し熟す前に送ってもらうのがよい。よくビールでは「一番搾り」が美味しいと言う宣伝をしているが、果物も一番育ちが美味しい。栄養分が隅々まで十分に行き届くためのようだ。

  このような果物も、少々高くつくが、一番育ちを食べなくては本来の美味しさは分からない。東京で、もっとも著名で美味しい果物屋は「万惣」だが、同じ品種で「千疋屋」と違いが区別できるぐらいになると、人生が楽しくなると思う。そういう楽しみ方は、さほどお金がかかる訳でもないのに人一倍、醍醐味を味わえ、話題を提供できる趣味になること請け合いである。以前にも、「千疋屋」の「せとか」を紹介したことがあるが、それを見た柑橘系の好きな人が、わざわざPDFを印刷して「このせとかをください」と、日に何人も日本橋の「千疋屋総本店」に押し寄せた(ほんまかぁ!)らしい。そういう事後報告を聞いた。たまたま、印刷できるようにしてあっただけだが、好きな人は「旬の時期に一度は口にしてみたい」と思ったに違いない。

  実は本当に果物好きな人に言わせると、とにかくたくさん食べることで胃袋と心が満たされるのだという。たくさん食べる中から、少し美味しいものとそうでない物との微妙な差が分かるようになるのだと説明してくれた。確かにそういう事も言えそうだ。私も、小学生の頃松山にいたので、友達の家のみかん山で好きなだけ何種類もみかんを食べ比べていたことがあるし、また夏休みには、福山の母の実家で二番目のおじさんが作る桃と葡萄農園で、ここでも「白桃」を好きなだけ食べていた経験から、勿論、土地や木の新旧の違いで多少甘味や渋みの違いはあるにしても、やっぱり、どの木でも一番最初に育った完熟が一番美味しいという実感を持っている。

  ということで、まず、今日冒頭でお話しした、同じ生産者の産地直送の桃か葡萄をお薦めしたいと思う。こういうデリケートな果物は、産地直送が良いと思うからだ。いつだったか、スーパーの店頭で桃を片っ端から指先で触っている人を目撃したことがある。その時は、何か悪いものを見たような気分で、ずっと気持ちが悪かった。デリケートな部分を指先で触るなんてもってのほかである。そのことをいつも思い出し、それからスーパーでは、恐ろしくて桃は買えなくなってしまった。馴染みの果物屋さんから購入するとか、今日紹介するような、朝採りの産地直送品ならその様な事もなく極めて安心といえる。
ではこちら
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補足:過去に紹介した「千疋屋 総本店」の「せとか」のPDFを再掲
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2012/07/24

暑中見舞い

       こんなに「涼しげな葉書」を送ってくれるのは、きっと気の効いた奴に違いない。うーむ、そうか「とは思わない」かもしれないが、私にとって、この葉書の意味は、思い出深い話に尽きるのである。フイルムの写真を見て懐かしく感じる時は、その場所でシャッターを切った瞬間の事でしかない。しかし、このような作画された絵では、ある時間と空間の幅を包括して、いくつかの「懐かしさに迫る強み」を備えている。このように、写真では得られない、「そこはかとなく記憶の連鎖が始まると言うか、沸き上がるような懐かしさに包まれる心地」は、そこに忘れかけていた想いと、この絵を残してくれた水木先生との織りなす偶然でしかないが、調布市民として40年ほど生きて来た特権なのである。

  おおよそ35~40年前の冬の調布駅はまさにこういった感じであった。特急電車は確か4両編成で、車両を左右に揺らしながら、それでも時速120kmで走行していたのである。新宿→調布は、今と同じ15分程度で走り抜けている。田舎育ちの私には、車窓を流れる風景の早さに都会の風を感じ、特急に乗る度にそのスピード感にワクワクしていた記憶がある。その記憶が時間と共に大脳に定着して、今もこの京王線に頼って生きているのである。さて、葉書を送ってくれている彼とは、この絵にあるような調布駅を丁度鬼太郎が歩きだそうとしているあたりで、夕方長い間立ち話をしたことがある。それを思い出して、これを送ってくれたのだろう。ここには描かれていないが、昔の調布駅にはあらゆるところに、懐かしさが潜んでいた。

  彼は、布田駅の近くに下宿していたので、遊びに行った帰りは、わざわざ調布駅まで送ってくれた。その2枚目の絵の二人の姿は、ちょっと不気味」だが、まさにこんな感じに見えたのかもしれない。当時私は、横浜のおじさんの家に下宿し、かつて父が勉強した机とか、他にも父が愛用していたものを使って勉強させられていた。それは、まるで青春時代の父と机を並べて勉強するような錯覚さえ覚えたのである。時折、帰りが遅くなると、おばさんは、食事の準備をしながら「彼女でも出来たの?お父様は、おもてになったわよ」と、よく誘い水を差された。そんなことを彼と話しながら、線路わきを足早に歩いたことを思い出す。明日また教室で逢うのに、何となく別れを惜しんでいた。

  布田駅から北へ三鷹通りを上がっていくと、深大寺へは最も近道である。深大寺の三門の前には、蕎麦屋がある。ま、深大寺の近くには、蕎麦屋はいたるところにあるのだが、この3番目の山門の絵は、深大寺の正面の象徴的なもので、まさにそこに立ち、右を向くと「門前そばのお店」である。門前そばのお品書きには「粗碾そば」というのがあって、めっぽう歯ごたえがある。お昼過ぎには、既に売り切れてしまうことも多く、早めに行って注文するに限るが、それは、松本清張の「砂の器」と深い関係があるので、能書きを読みながら1度は口にしてもらいたい蕎麦である。それにしても、やはり当時も、深大寺まで来ると、2人とも何か「買い食い」をせずにはいられなかった記憶がある。歳を重ねた今でもそうかもしれない。

  次の除夜の鐘の絵では、門前そばの幟が描かれているので、それを軸とすれば、初詣を終えて山門から東方面へぬける道並みが描かれていると思われる。丁度門前そばの幟の向こうでは蕎麦饅頭を蒸かした熱々が戴ける。本来ならば、いつも蒸し器から蒸気があがり、人だかりも多く「うまそう」な雰囲気が写し出されるはずだが、それを盛り込むと妖怪風の怖さが失われるのである。行列の続く情景は、その場の怖さを伴う側面をよく再現してあり、ここはいつも人であふれ返っている。だから、31日~3日までは、混みあうので初詣には行かないことにしている。

  そんな思い出深い、たわいもない昔話になってしまったが、時たま、彼は深大寺の鬼太郎茶屋にでも寄るのであろうか。この葉書はそこでも見かけた。このたった数枚の葉書からも気持ちがよく伝わり、当時を昨日のように素直に思い出すことが出来る。絵の下に、数行に渡り報告の様な、挨拶文が書かれていて、それを見るのはやっぱり嬉しい。そして、人の気持ちを慮れる奴はそれなりに出世して偉くなっていくのだと、感心するし、P.S.には、意気込みが書かれていた。「ええっ、まだ勉強するのかよ~」って、呆れてしまったが、親友として誇らしい気持ちにもなれるのである。   
ではこちら
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 補足1:鬼太郎茶屋(再掲)はこちら夜景
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=CFBF77DB9040165A&resid=CFBF77DB9040165A%21809&app=WordPdf

 補足2:門前そば(再掲)はこちら
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=0FF68288DD53524E&resid=FF68288DD53524E%21736&app=WordPdf

 補足3:除夜の鐘の絵の左側から覘くとこのような店が並ぶ。(再掲)
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2012/07/20

常温鰻丼


     「そんなんあるんけ?」と問いかけられそうな見出しになっているが、それはそれとして、「空腹こそ成長」である、とか「空腹によって人は健康になれる」とか、この時期もっともらしい理屈が蔓延している。それに近い話は以前から、聞いたことがあって、夕食を止めて1日2食にした知り合いが「すこぶる体調がよくなった」と言う話であった。うーむ、やっぱりそうだったのか、と、私も漠然とそんな気がしてきたのである。それは、食事の消化にかかる時間が長くなって、多くは食べられなくなった。とか、その関係で出来るだけ早く夕食は済ませたいと感じるようになったからだ。それにしても、1日2食を実現するのは難しいが、量を減らしていく必要はあると心得ている。

 さて、話は少々ずれるが、紫外線を受けると日焼けが進む。運動をしたり、体を動かすと乳酸がたまって疲れを感じる。仕事は、ストレスを受けて免疫力が低下する。また、免疫力が低下するによって疲労感が増す。やはり、外的要因で体はいくらかダメージを受けるわけである。実は食事を摂る行為も同じように考えることが出来る。食事の量が増えると、それを分解して、体に必要な栄養素として蓄えるのに「大きなエネルギー」を消費するのである。つまり疲れる。大して使いもしない栄養素を蓄えるためにエネルギーを使い、その使われなかった栄養素は形を変えて永久凍土のように体にまとわりついていくのである。

 人は昼間よく活躍すると早くから空腹を訴える。この時、その空腹感は活躍した量に比例すると考えがちである。実は、ここに大きな誤りがあるのではないかと考えるようになった。やはり、人はこれから消費するエネルギーを予測する必要があるのではないだろうか、つまり、これから使うエネルギーをあらかじめ摂るという考え方の方が健全ではないかと思うのである。さらに考え方を推し進めると、これから良い仕事をする為に美味しいものを食べる。他方で、今日一日頑張ったから、それ以上無駄なエネルギーを使わず、体を休めると考えられるようになるのである。

 結局、朝は元気の出る、好きな物を食べるのがよいと言う事に繋がていく。そこで考えたのが、朝、常温で食べる鰻丼である。やはり、夏は疲れやすく、元気が出にくい。だから少々高価でも鰻丼のような物、つまり好物がよい。この鰻は冷凍物である。この鰻丼の作り方は、冷蔵庫の冷たいご飯、冷凍の鰻を就寝する前に、お茶、肝吸いと共にラップを掛けてテーブルにセットして寝る。すると翌朝常温に戻っていると言うわけである。勿論、素早く食べられる。その楽しみの為に、夜のご飯を意識的に減らし、朝早く起きるモチベーションに繋げるのがよい。ま、楽しみの先送りである。そんなことが出来る日は、目覚めも非常に良いという結果が得られている。
 朝早く、一人静かに食べると元気が出るぞ!おっと、今日は昼も鰻だ。
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2012/07/17

大豆を栽培するキット2


    前回(6日)紹介した大豆栽培キット作戦の続き。さて、手順書に従って作業を進めると、予定より早く、既に4日目には芽が出て、「さすがにキットだけの事はある」と感心させられた。平日は、ついつい目を離してしまうが、その間にも、すくすくと伸びているので気持ちがよい。考えられる要素としては、大豆の種の品種が優れている、土壌の成分が研究しつくされているなど、前もって知識の持ち合わせない人も含めた、誰がこのキットを育てようと、「説明書以上の成長が期待できる」ように検討されていることが分かる。

   おまけに、説明書は記述も簡潔で丁寧にまとめられていて、多くの品種に携わってきた専門筋による商品化だと推察される。確かに、あらかじめどのように検討しつくしても、実際に現物を植えてみないと分からないし、1つでも不十分な要素があれば、良い結果には結びつかない。そういう中で、商品化するのは、かなりノウハウを積んでいると思われる。それを推し進めて考えると、日常的にこのような野菜を育て、形の良いものだけを出荷するなど、農業に携わる人たちの苦労が垣間見れるというものである。その様な事からしても、これは子供たちにとって優れた教材となっている。

   絶賛はこのくらいにして、前回、説明書にこんなことが書いてあると紹介した。「発芽後の1週間で葉が増えたら、1本は根元からハサミで切って間引きしておくのがよい」とあるのだが、これもリスク回避の1つと考えることはできるが、この鉢の中では3本とも元気に育っているので、最後まで躊躇し、結局、1本だけ鉢を分けて植え直すことにした。気持ちを込めて送り出している生産者の事を考えると、そうやすやすと切り取る訳にはいかないのである。これで気分は晴れ々として安心である。

  そうすると、培養土が不足するので、買い求めて追加する。キット付属の培養土は、いくつかの種類の土が混ぜてあり、最適化されている。勿論、そんなバランスの良い土は、そう簡単には入手できないが、通気性がよく、保湿性に優れた鹿沼土(かぬまつち)を別に買い求め、一般的な培養土と混合することにした。培養土は、袋から取り出した状態で新聞紙に広げ、1日太陽光に当てる事にしている。培養土が触れないぐらい高い温度になると、殺菌効果もあるし、幼虫の卵などが入っていても、死滅すると考えられるからである。そして、最後に鉢に投入する時点で、鹿沼土と混合することにする。

  ということで、今日は、現在の生育状態を見ていただく。植えたのは6日で、今日の写真は16日、つまり10日後の状態である。写真は下から上に経過を示す。
ではこちら
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2012/07/13

バームツリー

   こういうお菓子は、どのような分類にすると、納得がいくのであろうかと考えることがある。伝統的な製法技術を突き詰めて、さらに工夫に工夫を重ね、地域や時代にかなう製品に仕上げる。この時の分類は、伝統的な製法技術を分類の中心にするのか、あるいは評価された地域とか、時代を反映した時の社会性を加味した分類なのであろうか。例えば、フランス人が日本伝統の職人芸の和菓子の技術を学び、フランスに持ち帰ってフランスの食材を使って、独自の工夫で地元の人たちに好評を博するお菓子を作ったとしたら、既に和菓子ではない。かといって、バームクーヘンに抹茶を加えて焼きあげれば日本菓子かと言えば、全くそんなことも言えない。そんなに簡単に、日本菓子の牙城は崩せないのである。

  以前にねんりん家(Nenrinya)のバームクーヘンを紹介したことがある。これは、本場の物とは異なるかもしれないが、やはりドイツ菓子であった。しかし、今日紹介する、この「ちいさなバームツリー」は、いったいどのような分類になるのであろうか。ま、そんなことを真剣に考えるのは、全国菓子協会の会長にお任せしたいが、意見を求められたとしたら、「このバームツリーは、日本菓子の分類」に入れてよいと回答すると思うのである。それは、串に刺さり、何処となく日本菓子風の雰囲気を醸し出しているからではない。決定的なのは、「お1人様用1本」として作られているからである。

  実は、この「お1人様用」で1本または1個と言うのが、私の「日本菓子への分類要素の1つ」なのである。生クリームが入っていようがそうでなかろうが、現在では、分類要素に入れてはならない。基本的に1人1個で満足する範囲と言う事が大切なのである。こういう、案配を配慮した物作りの姿勢に日本菓子の伝統があると言う事になる。たとえば、歴史的な職人芸の和菓子を見ると、どのように綺麗に仕上げられていても、もったいないからといって2人で分けて食べることはない。もっとも「作法を逸脱する」例外があったとしても、日本伝統のお菓子は、元々「複数人で切り分けて食べるように考えられていない」のである。

  最中、饅頭、あんこ餅、そのほか、だんごを考えてみても、串に3個も付いているが1人で食べるものである。もちろん甘納豆も1人で食べる量が決まっている。しかし、他国から入ってきたお菓子は、作る側の論理が優先していて、定量で合理的と言うか、切り分ける物が多いのである。これは、参加者多数の場合は、1人分の量が減ることになる。我々の長い歴史を誇る日本文化の中で、こういう事態は許されていない筈だ。

 
  長い歴史を誇る長崎のカステラ、松山のタルトも良い例である。私に言わせれば、長崎という日本の地名をつけようが、抹茶を素材に混ぜようが、切れ目を入れようが、所詮カステラは舶来の菓子なのである。タルトも、柑橘系の餡子を使おうが六時屋が作ろうが一六が作ろうが、いずれも洋菓子なのである。と、まあ、話は長くなってしまったが、そんな分類方法から、ドイツの製法なのだが、この「ちいさなバームツリー」は日本菓子に分類して良いと思っているのである。また、舶来物でも、このように日本菓子の流儀にあったものは多い筈である。
ではこちら
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2012/07/10

オーディオマニア28



      1970年代の後半、スピーカは新たな計測方法によって、1つの転換期を迎えようとしていた。それが、今日紹介するデータの「インパルス応答による累積スペクトラム」である。スピーカ・ユニット、あるいは、スピーカ・システムの立上がりと立下りの状態を定量的に表わそうとした成果といえる。インパルス通過後の一定の反応時間から後部のデータを、高速フーリエ変換し、横軸に周波数を縦軸に時間経過を三次元表示したもので、立上がり、立下りを周波数別の均一性として把握することが出来る。ただ、当時は、この手法を使って業界の水準自体がより優れたスピーカの開発に向いていくには、ある程度時間がかかるという発言が多かった。

  このインパルスによる累積スペクトラム表示によって、そのスピーカ自体の発するピストン領域外の振動板の特有の共振状態や、前面に配置されたイコライザの鳴き、そのほか、ダンパー、エッジなどの微小な固有振動から、キャビネット内で起こる定在波、リード線の干渉など、様々な問題を解決するのに役立ってきた。実際の測定では、インパルスと言う言葉から来るイメージとは裏腹に50発程度のパルスを加え、平均的なレスポンス値を随時参照しながら高速フーリエ変換を行う。演算には時間もかかることから、当時としては最新鋭のHPのミニコン等が使われていた。もちろん、トゥイータなどの高い周波数領域での測定には、マイクロフォンはB&Kの1/4インチが使われている。

  実はこれに近いこととして、大昔からまことしやかにささやかれていたことがある。それは、「レコード盤からカートリッジが音をピックアップする時に、ついでに静電気などでパチパチというスクラッチノイズも発することがある。そのパチパチといった音が小さく聴こえる装置は、大変トランジェントに優れていて、ジャスなどの切れを要求する楽音に向くスピーカで、逆にスクラッチノイズが大きく聴こえるスピーカは、小さな部屋でも朗々と鳴り響くような性質があり、連続性のあるクラシックに向いている」と言うものであった。昔の人は、少ない情報からでも多くの性質を知ろうと努力していたのである。そうやって、スクラッチノイズの音を聴いて、過渡特性を推し計ろうとしたのかもしれない。時々、我々も部屋をノックして人がいるかどうか確認したり、あるいは、スイカを叩いてよく熟れているかどうか確認することがある。それも、これも1種のインパルス応答である。

  これらの測定方法の適用によって、振動板を始めとするエッジやダンパー、あるいはイコライザ等の構成部品の材料までも大きく進化させたといっても過言ではない。ただ、カートリッジやスピーカは、ある意味では趣味的で、さらにメディアに保存されている音を通して選ばれる傾向が強く、必ずしも理屈や測定結果で切り分けが出来るとは限らないことから、仮にも優れた評価方法だとしても、それがすぐに主流になるとは限らない。今日紹介している「インパルス応答による累積スペクトラム」は、その測定結果のほんの一部でしかないが、聴感との相関が採れる様になるまでには、ある程度経験的、あるいは実証的に活用するしかない。それでも、丹念に調べていくことで何か糸口が開けそうである。
・・・・とはいうものの、誤解のなきよう「これ自体は、あくまで1970年代後半の話」である。
 ではこちら
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2012/07/06

大豆を栽培するキット1


    今日、「ついに」というか、「やっぱり」というか、大塚製薬から「大豆栽培キット」を頂戴した。これは、例の3種の大豆製品 SOYJOY、SOYSH、ソイカラ、の宣伝活動の一端を担っている。この活動は、そこいらにある露骨な広告等とは違い、大豆を身近に感じながら食生活に取り入れて「みんなで一緒に大豆を食べよう」と将来を見据えた活動になっているように見えるが、一方で、このような「大豆栽培キット」を通して、手の込んだ「大豆ファン育成のための布教活動」ともいえる。このキットは、山形や東京地域の小学校の教材として採用されていて、子供たちを早くから大豆栽培の虜にしているのである。

   大豆の栽培では、途中紫色の花が咲いたり、「緑色の枝豆」の時期があったり、そこで、まず1回目の収穫を楽しむことが出来る。そして、そのまま枝豆を残すことで、2度目が「黄色い大豆」の収穫になる。このような2度も美味しい実体験を重ねることで、子供達は、朝顔よりも大豆の方が楽しみの多い栽培であることを知るのである。うーむ、なるほど。私は、現在朝顔を12鉢栽培している。去年収穫した種を使っているので、生育状態はまちまちだけれど、梅雨明けには、自然の日除けになるよう格子の骨組みまで準備している。私の様な歳になっても、子供の頃を思い出して朝顔を栽培しているくらいだから、今、この「大豆栽培キット」を楽しんだ子供たちは、大豆には将来も特別な思い入れを持ち続けるに違いない。

    さて、このキットの箱の中には、培養土、大豆の種、元肥用肥料、追肥用肥料、鉢とカレンダーがセットされている。カレンダーは、付属のシールを張り込むことで、大豆が育つ時期や成長過程を把握するために同封されているが、「大豆と健康」、「大豆の持つ栄養素」などの豆知識も載っていて、それらを何度も何度も、繰り返し眺めることで頭に叩き込まれるように配慮されている。それでは、キットを使って大豆を植えてみたい。まず、鉢の土壌を構成するには、1.青テープの培養土と赤テープの元肥用自領を撹拌し、その2/3を鉢に入れる。残り1/3は、保管して後日使う。2.土を平らにして穴をあけて3粒の種を入れて穴をふさぐ。優しく500mlの水をかけて日当たりや風通しの良いところに設置する。3粒を入れる穴の深さは2~3cmが目安。そこまで終わったら、後は発芽まで待つだけである。今日の作業はここまでとしたい。

   上手に土壌が撹拌されていれば10日程で発芽するので、土が乾いていたら水をやるとか、設置場所などでは、太陽光がそそぎ、風が良く通ることを確認しておきたい。そうでなければ、その様な場所へ移動する。発芽後の1週間で葉が増えたら、間引きをするよう指示されている。躊躇しながらも元気な2本を残し、1本は根元からハサミで切っておくのがよいと書いてある。ということで、今日の7月6日に植えてスタートしたので、また17日後あたりで栽培状況の続きを報告したい。では、キットの中身をご覧いただきたい。
ではこちら
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2012/07/03

このブログへ来るきっかけ3


   1年前から始めたレビューの第3弾である。半年ごとに過去1年を振り返って、編集後記のような反省をしながら、世の中の話題についていこうと思っているのである。それほど大袈裟に考えているわけではないが、個人的な趣味というか、身の回りの日常とか、買い求めたお菓子や食材などが、社会の人達と近い話なのか、遠いのか、少しばかり気になっているのである。少々マニアックな話もあるかもしれないが、写真がある分親しみやすいと思っている。おまけだけれど、写真を残すことで、より話に具体性が増すことになる。文章のみにすると、どういうわけか少々「大嘘つき」に思われたり、「ほんの冗談」も真面目に受け止められることも多いようだ。しかし、写真は嘘をつかないので、逆に写真を文章が少しだけ装飾する感じになり、そこそこ良いバランスになっていると納得している。

 今回も、期間を2011年7月1日~2012年6月30日に設定し、過去1年間の統計にした。原稿のリリースの日はまちまちだが、古い方が若干上位に位置づけられやすい程度。
20位→やけて焼けて、19位→グリコ栄養食品のうどん、18位→ディスカバリー5、17位→オーディオマニア24(スピーカ・システム38種)、16位→オーディオマニア17(ナカミチ700Ⅱ)、15位→マルちゃん正麺、14位→薄皮ミニパンシリーズ、  13位→素材の力で美味しい、 12位→オーディオマニア16(ナカミチCR-40)、 11位→オーディオマニア18(カセット・テストテープ)、10位→オーディオマニア22(YAMAHA B-3)、 9位→オーディオマニア15(ソニーTC-K88) 、8位→IBM-EXP-400、 7位→SUN StorEdge A1000/D1000、 6位→腰痛治療、  5位→不二屋のミルキーロール、 4位→黒ミルクとミルフルッツ、 3位→贅沢ヨーグルト、 2位→長崎ノスドールのお菓子、 1位→EF28-70mmF2.8Lの白濁現象、となっている。オーディオマニア・シリーズが6タイトルも占めていて、半年前の過去1年の結果(右上参照)と大きな違いが出ている。

  これらは、文章中に関連するワードがあるかないかで検索された「タイトル、もしくは、ラベル」を抽出してランキングされているもので、これら20位のランキングは、記事がよかったとして評価された順位ではない。あくまでも、その関連ワードによって検索している人が多いというだけである。つまり、「EF28mm-70mm F2.8Lの白濁現象」を知りたいから、ブラウザの検索から「EF28mm-70mm 」とか、「F2.8L白濁」とか、「EF 白濁現象」と叩いてみて、その中から Archivetec Report をクリックしただけの事である。ちなみに「腰痛治療」などは、古いタイトルだが、いつもアクセス数は多い。腰痛の人は増え続けているようだ。このようなワードの検索結果から推測されることは、読者は、腰痛を抱えたオーディオマニアで55歳~65歳を中心として上下になだらかな裾野が広がり、甘いもの好きな女性、サーバーコンピュータのディスクアレーに興味のあるデジタル・カメラのマニア、そして古いレンズが白濁して困っている方等が中心なのであろう。

  さて、このランキングは20位まで紹介したが、実際は152位まで続く。しかし、それには、定期的にこのブログを見ていただいている常連さんのアクセスは一切含まれていない。「ブラウザ等の検索」からたどり着いた一元さんのアクセスのランキングである。いつもの通り、このブログを始めてご覧になった方への推奨手順は、上記で紹介した20タイトルのうち、興味のあるものがみつかれば、そのワードをページの右側にある「ブログ内検索」へ投入して、それに関連いたページを開いてもらえば良い。一般論として、ランキングにあるものは、おおよそブログの書き手の趣味が反映していると思われるので、あながち捨てた内容でもないと思う。
 PDF写真のサムネイルはこちら
https://onedrive.live.com/?cid=CFBF77DB9040165A&id=CFBF77DB9040165A%211158&sc=documents&v=3

補足:期間を2011年7月1日~2012年6月30日までのアクセス統計結果だが、当然それより前の年のラベルやタイトルも含まれている。