2012/09/25

カロリー美食亭80

  今日は、スーパーのレトルトカレー売り場で驚いた。な、なんと、「80kcal」という驚異的な数値を叩きだした商品「ハウス食品㈱のカロリー美食亭80」である。それらは、欧風カレー、ハヤシライスソース、5種類野菜のカレーの3種類で、全て新製品。今年の初めに「瞬間美食」と言う低カロリー(130kcal 前後)の「フリーズドライのカレー」を紹介したことがあるが、これよりもずっとずっと低い数値になる。普通売られているレトルトカレーは、おおよそ内容量 200g で 230kcal と相場が決まっている。一般的に、美味しさを感じるバロメータがエネルギー量であり、その単位がカロリー値である。つまり、同じ内容量でカロリー値が大きいほど「美味しい」と考えて差し支えない(そう作られている)。しかし、このカロリー値の高い食品の中には、動物性油脂が豊富に含まれていて、若いうちは、これも元気の素と考えがちだが、歳を重ねるにつれ「激しい運動は嫌い、食事制限もいやだ」と言う人にとって、これは体に蓄積する良くない成分と考えられている。

 戦後、日本人に最も多く食べられた食事の代表は、カレー、ラーメン、ハンバーグの3種と言われ、いずれも、安い割には元気のでる食事の代名詞で、これよるパワーが高度成長時代を躍進に導いたと言っても過言ではない。しかし、その食事が今の様なマイナス成長時代も変らないとすれば、国民総摂取エネルギー量は当時と大して変わらず、もちろん体の中で燃焼もせずに、余った油脂は形を変えて、最終的には医療費の負担に繋がっているのではないかと考えられる。つまり、カレー、ラーメン、ハンバーグの3種のエネルギー量をある程度減らすことが出来れば、先々の医療費を下げることも可能になるかもしれないのである。うーむ、ほんまかぁ?

 そんな目標意識の中で、極端に低い 80kcal 3種の商品に驚き、手に取ってみたというのが本音である。仮に、これら3種類を全て食べても、240kcal と普通のレトルトカレー1食分程度に収まるのである。ここで1つ例えだが、お腹の状態を数値として表してみて、最も空腹時を-100、最も満腹時を+100 と仮定すると、-30 ぐらいの空腹を+80にしたいと思う「満腹感を重視する人」には、従来の高カロリー商品が望ましく、無理をして食事や生き方まで変える必要はない。しかし、お腹が空いた状態を -80 まで我慢でき +30 ぐらいの、あくまで「空腹」を満たす程度の状態を基準に置くような人達には、この 80kcal の食品は重要な商品になりうるのである。これは健康維持にとても良い。逆にいえば、今までレトルトカレーは、高カロリーであるがゆえに苦手だったと言う人も多い筈で、この商品の市場導入がもたらす効果は大きい。

 早速、3種を食べ比べてみたが、1/3も低カロリーな割には、「確かに少し軽い感じは否めないが、それにしても、とても美味しい」と思う。高カロリーな油脂を使って食材を長時間煮込まないと生成されないようなコクや旨味があり、これは何か別の工夫がなされていると感じる。こういうところに、いわゆる食材のイノベーションを体感できるわけである。そして、消化も早く胃腸への負担も少ないが、腹持ちは良いので、特別病院食の様な扱いをする必要はない。普通のレトルト食品として、おじいちゃんやおばあちゃんにも美味しく戴けるはずだ。そもそも、180gで80kcal とは、グラムあたりに換算すると、チチヤスヨーグルト(赤ラベル)85gで79kcal の半分程度のカロリー値である。

 この超低カロリー80kcal の効能は、ダイエットを心がける女性や糖尿病予備軍の中高年はもとより、胃腸が弱くなってきた人達にも好都合だし、夜勉強に勤しむ受験生や、食事が夜遅くなる人など、有効性の範囲が広い。おまけに、これらの「超低カロリーで美味しい食品」作りのノウハウは、国内外を問わず、病院食、養老ホーム等の食事のバリエーション拡大にも有効と考えられる.。もうひとつ、レトルトであるがゆえに長期保存(1年)にも優れ、カロリーの低さで、防災時でも誰でも親しまれる非常食としても優れている。
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