ここんとこ麺業界も慌ただしい動きになってきた。次から次へと各社、麺の独自製法を誇る新製品の市場投入が続いている。マルちゃん正麺も、日清ラ王も、色々と凝ったCMを展開したが、それよりも何よりも、あの湾岸警察署の青島俊作巡査部長が画面にアップになって「美味しい」と言うのは、説得力がある。だから、黙って指をくわえて映画を見た後は、みんな「サッポロ一番 中華そば」を買って帰るのだろう。これが今、身近で起こった同時多発麺事件なのである。手掛かりは、製法の違いと、それによってもたらされる喉越しにありそうだ。
次こそは、是非「ラ王」と比較してみようと思っていた「まるちゃん正麺」派の人達も、1個飛ばして「ラ王」より先に、この「麺の力 中華そば」に心を動かされたに違いない。この絶妙なタイミングで、新製品を登場させたサンヨー食品こそ、まさに「王道」の技といってよい。これまで新たな製法で作られた麺の喉越しに驚いた人達も、どうやら、揃って油揚げ麺の「麺の力 中華そば」に注目しているようだ。さらに、三者三様の美味しさを自分たちの物差しで一刀両断に切り取ってしまう、そんな麺食いにとって、心躍り奮い立つような楽しい時期になったのである。
サッポロ一番というブランド名と、「味噌ラーメン」の美味しさから、サンヨー食品は、札幌にある会社だと誤解していた時期があった。いつしか、群馬の会社だと知ってからは、同社の独自性の高い商品企画に興味を魅かれる様になった。とても難しい麺類の即席麺化に挑戦しているからである。最近では、あの「坦々麺」を、そしてこの度は、もっと難しい「ちゃんぽん」を、袋めん市場に投入してきたのだ。どちらも、市場規模は小さい割には、即席麺のスープとしては個性的で、さらに、それに見合う麺作りをしなければならない。それを承知で、市場投入したのである。もちろん、ある程度のシェアを確保できれば「味噌ラーメン」に次ぐヒットに繋がるはずである。難しいのは、いずれも袋めんの持つ「少しだけ手を加えて美味しく戴く作法」を顧客が活用できるかという点にあると言えよう。
この「中華そば」は、醤油味のラーメンと競合するものではない。あくまで、中華そばなのである。このネーミングからは、懐かしい麺の喉越しやスープの風味が蘇ってくる。はるか昔、街角にあった「中華そば」と書いた暖簾をくぐった食堂にあり、現在50歳以上の人達にとって、共通するイメージと言えよう。すでに、そういう大切な記憶の中に刻まれているものなのである。鶏がらや豚骨の旨味に醤油、生姜、香味野菜を合わせて、手間を掛けた「懐かしい本物の味」が堪能できる筈である。我々が大切にして来た思い入れに、真っ向から、正々堂々と「中華そば」という大胆なネーミングで登場させたところにサンヨー食品の自信が現れている。
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