2012/09/21

九州名物 白くま

  この夏は、九州名物と書いたこのアイスキャンディーにお世話になった。パッケージには、「エスキモーに出てくるような白クマ」が描かれていて、会社の名前は「丸永製菓」と印刷されている。何か少しだけ変なの?と思って、最初は敬遠するしかなかった。これは、後から考えると、実物の「美味しさ」よりはるかに遠い印象を与え、商品として少し損をしている。パッケージなどの多少の安っぽさは、親近感すらわいて好感が持てるが、若干「違和感」を感じると、人は手に取らなくなる。普通の人は、そんなことを考えることもないとは思うが、今から54年ぐらい前の話になるが、幼い時の記憶の中に、「類似のお菓子を販売する」会社が多かった。その記憶と一瞬交錯してしまったのかもしれない。

  僅かに、そんなことを感じていながらも、この会社の別の商品が、どこのスーパーの冷凍庫の中にも置いてあることを知ると、にわかに美味しそうな気がして、実物を手に取ってみたのである。これは、「九州名物」なのだと思いながら、小豆かと思ったら「甘納豆」が使われていたのである。これは、甘味センスのいいやつの仕業だ、その絶妙な甘味感覚がきっと美味いに違いないとの印象を受けたのである。今まで口にしなかったのが恥ずかしいぐらいで、正直素晴らしいアイデアのアイスキャンディーだと思える。とにかく「文句なく美味しい」のである。もちろん、1箱6本入り297円という価格の事も考えての事なのだが、この「九州名物」は全国展開できる商品である。

 角型バーアイスと言うのは、はっきりした主張があるのが普通である。例えば、パインとみかんの味とか、小豆入りの抹茶味とか、かき氷練乳味とか、はたまたクリームソーダ味とか子供たちに分かりやすい表記でなければ手に取ってもらえない。それは、子供にも「味が簡単にイメージ」できる必要があるからで、この九州名物アイスキャンディーの最も分かりにくいのは、大きな文字で「白くま」と書いてあるところにある。ひょっとしたら、「母さん!これ白くまが入ってるの?そうだよ~怖いね~」。白くまの着ている「ふわふわとした雪」が入っているかもね。おまけに 「パイン、黄桃、あずき」を一緒に楽しめるおいしいアイスとも書いてあり、うーむ、一体どんな味なんだろう・・・それが競合他社の表記に慣れた子供たちには難解に映ってしまい、手が出せなくて困るのである。

 そういう表記で大いに損をして、子供たちに怖がられているのではないかと、ひたすら心配しているのだが、一度口にしてみると「みんな美味しい」と思うに違いない。そして大好きになる筈である。だから、「嫌なら、子供達には無理をして食べて戴かなくても結構で、下手に人気が出て在庫不足になるより、大人の我々が代わりに戴きますから」と言いたくなりそうである。今時、アイスキャンディーは夏だけの食べ物ではない、これからも、一年を通してお世話になると思う。
ではこちら
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=CFBF77DB9040165A&resid=CFBF77DB9040165A%211198&app=WordPdf

補足:ブランドなのか、商品名なのか、キャッチフレーズなのか分からない表記には、製造者の思い込入れが出すぎたり、あるいは社内の散漫な考えがそのまま映し出されることは多い。世の中、パッケージや取説、はたまたホームページなどの表記にも笑えるものは多い。