2013/02/12

坦々麺の具

  最近は、ここで即席ラーメンを扱う事が増えた。それも、単なるイノベーションとして片づけられないほど即席麺が進化して美味しくなったからである。その環境の変化よって、少しづつ眠っていた「食魂」が目覚め、にわかに興奮状態が続いているのである。はるか昔、学生時代に食べていた即席ラーメンは、やはり遠い昔の想い出になってしまったが、時々「昔ながらの」という言葉に魅かれて食べたい気持ちになることもある。しかし、その「昔ながらの」という言葉を使うこと自体が「最新の製造技術に裏打ちされた」という意味が隠されていて、私の昔とは無縁である。むしろ「今の、若者が無性に食べたい味がある」と思う商品に仕上げられているに違いない。

  たぶん、同世代の人は同じだと思うが、学生時代は下宿生活をしていたので、ラーメンの上に載せる具のチョイスに苦慮し、調理も面倒だった。もちろん何を乗せても麺の食感は変化するはずも無い。当時は、どこのメーカーの麺は画一的で、違いはスープと調味油ぐらいしかなかったが、各社溢れるほど種類の商品をそろえていたのである。同じ物の食べすぎは、体に良くないと言われながらも、それでも、友が集まればラーメン、夜食にもラーメン、と食べるに食べて、いつしか「飽きてしまった」というのが実情なのである。そんなことを思い起こすと、当時は、学食も「切ないメニュー」のオンパレードだったような気がする。

   袋麺に対する40年前の当時の期待感を振り返ってみると、今のような麺の質の向上は全く考えられなかったし、諦めていたというのが本音である。まして「三層構造の麺を作って生麺に近づける」なんて夢にも思わなかった。一方、既にフリーズドライや、濃縮還元の技術が確立していたので、麺の上に載せる具やスープには、将来に対して漠然とした期待は寄せていた。「そういう、もう少し美味しくなる渇望感」は、どのような即席食材にも付きまとっていた時代なのである。勿論、ラーメンに入れる具材に関しても、それが、今も当時と変わらない「袋めんが売れるための条件」かと問われれば、もちろん、それ自体が主役にはならないことは承知しているが、製造者も消費者も共有する「悲願」ともいえる「即席ラーメンに関する1大課題」であったことは間違いない。

  今日は、そんな、袋めん業界の「後のせビジネス」の一役を担う「坦々麺の具」を取り上げてみた。この具には、肉そぼろ、青梗菜、しいたけ、ザーサイ、金ゴマ、唐辛子の6種類の乾燥食材が入っている。フリーズドライ状態なので、「お湯で戻して麺の上に乗せる」ことで美味しくいただける。この袋裏の表記には、控えめに※麺とスープは、「サッポロ一番 坦々麺をご使用いただきますと、一層美味しく召し上がれます」とある。でもそんな、売れ行きを制限する表記をするぐらいなら麺と同梱すべきで、そうではなく、むしろ逆で、各メーカー協調して「袋めん」の楽しさを広げるため、どんどん他社の袋めんを意識して使える「別売りの具」を競って商品化してもらいたい。ラーメンの種類に向けた用途だけではない、子供向け、若者向け、おやじ向け等と世代によってもニーズは違うはずだ。この即席麺用の具には、いつでも熱い視線が注がれていることを知ってもらいたいのである。
ではこちら
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