2013/02/15

詰替えバリューパック

 メーカーとしては、出来るだけ単価の小さな商品を多品種用意して、月別の売上げを安定したものにしたいと考えている。そのために、「売り場」を「異なるコンセプトの自社商品」で埋め尽くしておきたい。それは、「どの商品を買っても、うちの売上げだ!客には、せいぜい悩んでもらいたい」と余裕をもって待ち受けられるからだ。勿論、顧客の価値観に合わせた商品コンセプトをブランド別に事業化し、激しい売上げ競争を社内で展開している。社内で競争し合うことでより強力な商品が生まれ、技術革新も進む。もはや他社は敵にあらずというレベルまで社内の競争意識を高めて、安定した商売を継続しようとしているのである。最近のCMで、メーカー名よりも商品ブランド名を強調しているのは、そのような理由によるものだ。

 一方、消費者の価値観は価格にも目が向く。それは、「同じものでも、たくさん買ってもらえばお安くします」よ、という売り手の基本商法を突くことである。消費者は、変質したり腐らないものであれば、ある程度は安くまとめ買いをしておきたいと考えている。近くにあるホームセンターでは、そんな「大容量の詰替え商品」を用意してその合理性を訴えている。自家用車で来店した時は、4回分、6回分、8回分と割安な詰替え商品を検討してみたらどうか?というものである。スーパーや小売店で扱われる2回分の詰替え商品とは、スケールの異なる戦略で顧客獲得に励んでいるのである。

 度々買って帰るのが面倒だという人ばかりではない。最近は、そのような商品を上手に活用して、いまだ底をつかない「デフレ時代を生き延びる手立てにしなければならない」と考えている人も少なくないようだ。だから今、人気が急上昇している。特に、奥様の気持ちをくすぐるような食器、台所、お風呂場、トイレ、床磨き用などの洗剤は、豊富に大容量詰替え商品が陳列されている。一方、洗濯用の洗剤等は、ある日突如「洗浄力や薫り」が改善されたものが発売されることもあるので、お徳用の詰替えパックは2回分と1種類のみ。また、自分自身を磨く奥様向けブランド商品は、やはり品質重視で、少々お高くても売れるせいか、シャンプーなどは、せいぜい10%増量程度の商品しか用意されていない。

 それにしても、節約の方法には、上手に使う、つまり1回の使用量を減らしても、それには限度があったり、そのため逆に手間がかかるとか、他に負担が増えるという側面もある。そこでは、最後に残された改善すべき点として「調達時のコストダウン」しかないのである。目の前に並べられた食器洗い洗剤を、詳細に4回分、6回分の内容量対コストで検討してみると、かなり大きな優位性を見出すことが出来る。今日買い求めてきた6回分+90mlの詰替えの特大パッケージは、恐らく1度買っておくだけで計算上は5~7ヶ月ぐらい使えそうである。価格は、598円前後のようで、それでも、お店によって価格は100円程度異なると言う現実もある。

 いつも同じ場所で同じ物を、同じ値段で買うというのは、社会の秩序を護っている事に繋がる。そんな安心感や信頼性を重視する反面、世の中のバリューな流行から置き去りにされる危険性が高い。メーカーとしては、生産を継続するために、あくまでも物作りの論理で、あの手この手で商品が掃ける工夫に余念が無い。これが製造者が目指す本質といっても過言ではない。つまり、「在庫を0にして、常に効率のよい一定のスピードで商品を作り続けていたい」のである。僅かでも在庫を残したくない為に、度々、理由をつけては在庫を減らす手立てを施みるのである。だから、その戦略に乗っかって、小安くなった商品を素直に買うのも賢い消費者といえるのである。そのために、いつも覗かない店にも、たまには寄ってみる必要はあるということである。
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