市場のニーズに応えたと言うか、待ちに待ったと言うべきか、サッポロ一番から「麺の力シリーズの坦々麺」が出た。この坦々麺の即席化としては、漠然と他の即席袋麺より、レベルの高い商品が要求されているような気がする。本当に今の「麺の力」シリーズの麺で、そのような人達を引き付ける事が出来るのであろうか。元々、坦々麺好きの人は、辛口、刺激、濃厚、といった、本格的な「四川風辛味汁そば」を愛する人達が多いからである。そこには、ひき肉を熟成豆板醤や甜麺醤を加えて炒めた肉味噌に加えて、ねりごまの風味、そして、細麺でもきっちり歯ごたえのある麺、さらに青梗菜といったところが渾然一体となって、坦々麺の美味しさを引き出している、これが坦々麺の人気の秘密なのである。
この本格的な「四川風辛味汁そば」を、即席袋麺ですり変える技術はやはり難度の高いことである。その中でも対応しにくいのが肉味噌と青梗菜がある。仮にも、この2つをあらかじめ別途用意すれば、それはそれとしてそこそこ美味しくいただけるかもしれないが、それには手間と時間が必要だし、具材が余りしばらくは、坦々麺の日々が続いてしまいそうだ。だから、思いつけばすぐ食べられる坦々麺というのは、ドラが鳴って中華のメロディーが流れてくるような、本格的な中華のお店にしかないのである。しかも、そういったお店の中でも、自分の好みに合った坦々麺を出してくれるお店は、経験上も数少ない。「メニューには無いけれど、注文があればお作りしますよ」という店もあったり、「坦々麺は止めたんですよ」という店もある。そうやって、微妙な汁そばメニューの逸品になっているのである。
つまり、坦々麺がお好きな方は、自分好みの坦々麺を提供してくれるお店を既に確保していて、時々その本格的な坦々麺を口にしているのである。一方で、麺好きだけれど、なんとなく醤油、味噌、塩、豚骨などの即席袋ラーメンには飽きた、という人達にとってはバリエーションを広げる商品となる。しかも、この「麺の力シリーズの坦々麺」なら興味深い商品といえる。パッケージを開けて、そこに収められてあるものだけで作る人もいれば、それでは物足りなく、やっぱり肉味噌ぐらい別途調理して用意したいと思う人もいる筈だ。はたまた、まったく本格的な坦々麺を意識せず、即席袋麺の新しい一品として、自由気ままに好きなトッピングとの組合せで戴きたいというニーズもあるに違いない。そう考えると、敷居は十分に低く、逆にパッケージの中にあるものに、何を加えると美味しく戴けるか、気分によって自由に選択するのだろう。
実際に坦々麺の袋を明けて作ってみるとわかるが、ゴマの香りが濃厚さを演出し、次に山椒の香りが押し寄せてくる。これ自体でもシンプルで食欲をそそるほど美味しそうな印象がある。いろいろなものをトッピングすると、味がボケる恐れがあるので、何か1つか2つぐらい、濃厚な具とさっぱりとした物が添えられると良い。今日は、「サッポロ一番の坦々麺の具」とブロッコリーを載せてみた。麺をすすりながら、感じることは、「スープの粘りが強すぎる」ように感じる。何かドロとした食感はあるものの、本来ならばそれが肉味噌の崩れ端の集まりであったり、ゴマの繊維であったりするのだが、その食感とはまるっきり異なり、あえて増粘を加えたような違和感を伴う。ここは、むしろ粘性を高めるような小細工をしないほうが、最後までさっぱりとして良いと思う。
ではこちら
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