市販の「カップ型即席の蕎麦」には、同梱されている「麺つゆ」に粉末タイプと液状タイプがある。また、麺自体も、縮んだタイプと直線タイプが用意され、それぞれは別商品として、販売ルートまで限定されている。あからさまに「どん兵衛 蕎麦」のことを指しているのだが、欲しいのは、液状タイプの麺つゆと麺自体が直線になっている組み合わせである。いわゆる「液状出汁にピン蕎麦」である。こういう即席物の蕎麦にまで拘りを持つことには、大いに好感されるべきものだが、商品の選択肢はかなり狭まれいる。また、「 どん兵衛 蕎麦」にも「天ぷらときつね」があって、「きつね」が美味しいことは良く知られているが、スーパーにはほとんど置かれていない。このような状況からおもんばかるに、我々消費者はメーカーの管理下で飼いならされているのである。
そういう、明らかに美味しい商品は丁寧に販売したいという希望もあって、コンビニで販売される。しかも、価格維持のためか、供給量をコントロールして品薄気味になっている。ま、そのくらいの企画力を持って、マーケティングから製品化まで丁寧なプロセスで慎重に商品の位置づけを考えているのであろう。しかし、一方で、そんなつまらない競合を避け、まったく別の方向への商品化を提案するメーカーもある。元々、麺好きの人達は、手軽に天ぷらを揚げたり、薬味のバリエーションを日常的に心がけているし、また、冷蔵庫にそれらを常備していたりするのである。そして、好みの麺つゆも和食には欠かせないので、色々用意されているはずだ。そんな事情を考慮して、商品に無駄なものは同梱しないという、虚飾を廃し洗練された日本の美意識を再現した商品が少しづつ売り場を占有しはじめているのである。しかも、この商品は、プラごみを大きく減らし、低価格を望む大人数の家族に向いた商品ともいえるのである。
今日紹介する、その「そばらーめん」は、実は、かつての昭和を髣髴とさせる、どこか懐かしいコンセプトを引きずっているような印象を受けたのである。昔々、このような干し麺(そうめんのように直線性が強い麺)を入れた袋麺商品はいくつかあった。かすかな記憶を辿ってみると中でも「福島ラーメン」という名称が思い出される。中身は、ラーメンの干し麺が2束入っていて、粉スープが麺の間に2パック同梱されていた。即席ラーメンと言うと、それが一番初期の商品だったと思う。今日のPDF写真を見て、[そうそう、大昔そんなんあったわ」と思うおっさんも多い筈だ。その流れを汲む今日の「そばらーめん」は、如何なる物なのだろうか。それは、紛れも無く、蕎麦の風味を残しながら、ラーメン以上に麺の腰が際立って、極めて喉越しの食い商品だったのである。そして、幾度と無く麺の腰を確認するように、つい口に運んでしまう癖がついてしまう程である。
内容量は、200gとしてあり、一人100gとするとちょうど良いが、天ぷらなどを用意するならば、80g程度でも満足できる。茹で時間は、4分半と記載されているが、やや消化に時間がかかる感じがあるので、5分半ぐらいでも良い。意外に伸びたりしない。麺つゆは、自分でしっかり調味混合できる技術を必要とするが、今回は、出汁を「創味のそうめんのつゆ」を使用した。そばの麺が細いから、ちょうど相性も良いが、あくまで蕎麦屋風に戴くとするならば、より一般的な「創味のつゆ」を「ほめられ香りだし」で2:1で割ってみると良い。こういう出汁の旨みを確認しながら、薬味と共に楽しむことは、既に飽きが来ようとしている、お仕着せの蕎麦よりも楽しいかもしれない。また、これによって自分の体調や室温などの環境条件で、色々異なる薬味の組み合わせを楽しめそうだ。そんな「麺食いの極意を持った日本人でよかった」と思うのである。今そんな、独創性を要求し、素材を活かす楽しみ方が蕎麦麺にも広がっている。
ではこちら
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補足:辛口お好きな方のために、天ぷらがない時には、花椒油を使って爽やかにいきたい。