2013/06/28

多摩川 4

   雨が続くと、体が鈍るという年配の人は多い。今にもパラパラ降りそうなのに、勝手な解釈で大丈夫そうだと判断すると表に出てくる。何時行っても、歩く人、走る人は相変わらず多いな~あ、と愕然とする場所がある。それが多摩川の土手にある遊歩道である。ここは、ウォーキングする人だけではない、京王閣がある影響で、高速で走り去るプロライダーも多く、それを真似た人達による歩行者をまきぞいにした事故も多い。とはいうものの、一般道では、そこどけそこどけのママちゃりが横行するし、犬の散歩と同じコースは、足元が危険だし、木の陰が多いところは毛虫が落ちてくることもある。芝の長い陰には大量のダニが潜んでいる。ま、これからの時期はどこを歩いても、危険が付きまとうわけで、今頃のワンパターンなコースを気楽に歩くと言う態度は、決してお勧めできるものではない。


  そして、最も恐ろしい曲者は不意に現れる。全長2m程度の蛇なら可愛いものかもしれない。しかし、直径8~10cmもあろうかと思うような、見えている視界が僅か60cm程度(左右両方とも草の間)なのだが、何か光る光沢感の強いものが目の前を横切る(徐々に細くなっていく)姿を見て愕然としてしまったのである。「ひぇー」と心で叫びながら後ずさりをして、この歳になっても驚きを隠せなかった。すかさず、随分遠回りをして通り過ぎたが、次からその道を通れなくなってしまった。うーむ怖い。「自らの根性なし」に改めて情けなくなる。 子供の頃は、母の田舎でこのような状況に遭遇することも少なくなかったが、それに遭遇すると、いとこ同士で面白がって竹の先でつついていたような記憶もある。人の気配が少なく、草むらがあって、近くに綺麗な川がある、そんなところは蛇の水のみ場なので要注意である。


  護岸工事も終わり、再び静けさを取り戻した多摩川だが、休日前は、中ノ島へ渡ってテントを張ってキャンプをする人までいる。もちろん、もっと下流では本格的な小屋を建ててあって、毎日のように何時でも涼しい川の流れを感じていられる贅沢な仙人もいる。この時期、水嵩が増すと一大事になるリスクがなければ、それも幸せな時間の過ごし方の1つかもしれない。何時だったか、もうずいぶん昔の話になるが、中ノ島に置き去りになった人を助けるレスキュー隊の活躍が報道された番組があったが、それは、濁流に流されそうで非常に危険な手に汗握るドラマで、ヘリコプターも出てベトナム戦争の現場を思い起こさせるような迫力ある映像に、興奮したものだ。助けられた人は、このあたりのその仙人の一人であった。


  そんな多摩川でも、今年は上流で水不足である。水源確保のためか、二ヶ領上河原堰堤(にかりょうかみがわらぜき)より上流の貯水量が増えたような気がする。この二ヶ領上河原堰堤は、この写真のように奥に写っている水門があり、なんとなくその風景に溶け込む構造物を眺めながら、同じものが、よくダムの上流にある貯水池などで見受けられるが、それらが作られた時代を知らない我々でさえも、何故かノスタルジーに引き込まれてしまう。今日は、白黒の写真にして、手前の親子に自分の幼い頃を重ねてしまった。仮にも、50年前の写真と何も変っていないかもしれない。
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