炊き込みご飯は、おかずも一緒に炊き込むので、その炊き上がりに「楽しみ」が詰まっている。しかし、自然の素材から自分の手で作れるのは、残念ながら牡蠣飯ぐらいである。そんな簡単そうに見える「炊き込みご飯」こそ、意外にも、どこかに落とし穴があって、折角、新鮮で高価な食材を用意したとしても、失敗に終わってしまう可能性も「0」ではなさそうである。それは、今日のような「たこめしの素」を買って、裏に書かれた原材料を眺めることで、「あーっ、うーむ」そんな食材や調味液まで必要なのかと、考え込んでしまうからである。また、その調味力こそが、プロの技なのだ!と感心するわけである。しかし、いずれ自らの考えと自然の食材だけで、「創作的な炊き込みご飯」が作れるようになりたいものだ。
さて、今日の「たこめし」だが、私の知っているそれは、瀬戸内海で採れる「たこ」をお米や出汁と一緒に炊き込む郷土料理である。今でも広島、三原、尾道、福山、松山駅では、それを弁当に仕立てたものが販売されている。若い頃は「なぁんだ、たこか」と、舐めてかかったものだが、今頃の歳になると、その「たこめしと言う言葉の響きが、懐かしさを呼ぶ気持ち」に変わってしまっていることに気付くのである。だから、たこなら瀬戸内で有名な「赤穂のたこ」だと思い込んでいたのだが、どうも、この商品の製造は、名古屋という「全く方角違い」であることを知り、うろたえてしまった。得意分野だと高を括っていたのに、そうでないことを知ったのである。もっとも、「知っていること以外は知らないこと」なので、調べてみると、三河湾の日間賀島でも「たこ飯」は有名で、この商品はそこの味を継承していると思われる。
もっとも、一消費者としては、何処で製造されたとしても、美味しければよい。その「美味しい」と思える要素を考えると、やはり、この中にある「たこ」の切り身が話題の中心になるに違いない。たこから出てくる旨みや、歯ごたえ、これらがお米と渾然一体となって美味しさとして実感できるのである。もちろん、「たこ」の切り身は、たくさん入っていれば、それだけ楽しくなるのは言うまでもない。そして、たこ以外では、ベースになる美味しさを作る出汁も重要と言うことになる。これは、日本の炊き込みご飯の共通する要素でもあり、出汁の基本になる鰹節、昆布、しいたけ、醤油、日本酒などに左右される。たった、それだけの要素と思われるかもしれないが、実際には、味にずいぶん違いがある。
鰹節は鹿児島の枕崎港、静岡の焼津港で水揚げされた鰹が美味しいとか、昆布は北海道に限るとか、有名な産地は国内にたくさんあるが、個人では、そういう「産地もの」を使って出汁を作るのは出来ないこともないが、前もって準備が必要である。また、そこまで著名な食材を使わずともそこそこ美味しく仕上げることも可能である。今日の即席「たこめしの素」は、焼津産の鰹節、日高産昆布のあわせ一番だしで作られていると表記されている。美味しい物を知り尽くした奥様方は、このような宣伝文句に敏感に反応し、商品に手が伸びると言うことになる筈である。したがって、この「たこめしの素」で作った「たこめし」は、理論的にも美味しいということになる。
ではこちら
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=CFBF77DB9040165A&resid=CFBF77DB9040165A%211373&app=WordPdf
補足: レトルト・パックの中の「たこの切り身」は、調味液の中で小さくなってしまっている。酒の肴に使える「たこのぶつ切り」がセブンイレブンでも販売されているので、それを追加して炊き込むと「生々しさのある たこめし」になり、お勧めできる。