どんな洋食屋にも、ランチメニューや定番メニュー、あるいは、季節限定メニューというジャンルも選択肢として用意されている。もちろん単品のアラカルトもあって、縦て続けに何度か通っても飽きが来ないように、巧妙に準備され、意外な美味しさを再発見することもある。私のように、不見転でお店に入ることの無い者にとって、お昼の食事は、主要な駅での馴染みの店化を進めてきた。早い話、「冒険を嫌う情けないやつ」なのである。おおよそ、打ち合わせとかで待ち合わせる場合は、神田や小川町と言った街での老舗店がよいが、距離的には気軽に新宿、渋谷あたりでも開拓を進めてきた。そんな折、もう随分昔の話だが、新宿南口駅の2階にあった「つばめグリル」がどこかへ姿を消してしまっていた。そのために、わざわざ高島屋店の13階まで足を運んでいたのである。
つばめグリルは、一寸煩い時もあるが、気楽に入っても「昔ながらの美味しいお店」として、万人に好まれている。その姿を消した「つばめグリル」は、つい先日、ルミネ1の7階に移転していたのを知ったのである。さっそく探して訪れてみたが、南口2階にあった頃より店の雰囲気は落ち着いて、テーブルも大きくなって、いい感じであった。久々のオーダーは、珍しい品が追加されていたので「しょうが焼き」に挑戦してみた。メニューには、「宮崎県都城市産の豚を使用」という程度で、特別な能書きもない。最初にしては、ちょっと不安にも感じたが、結果的には、そこそこ品質も高く、ロースハムのような味わいで、それでいてボリュームのあるお肉に仕上がっている。さりげないメニューだが期待以上で、このあたりのメニュー作りの選択眼は、さすがに都会的な品のよさが伺える。
しばらくご無沙汰していた「つばめ風ハンバーグ」は、価格は僅かに値上がりしていた。しかし、品質やお味は、まったく変わらず、むしろハンバーグの上に乗っているデミグラソースやその上のビーフが少し大きくなったかもしれないほどで、大変満足できる。こういう慎重な値上げは、顧客からも支持されるに違いない。それにしても、テーブルに座って思い起こすことがあった。この「つばめ風ハンバーグ」を食べていた25年前の自分は、量的にも十分納得していて、少し腹に余裕を残す程度にペロッと食べたものだが、さすがに今時は、前菜のトマトサラダや、添えられたアンチョビバターの乗ったじゃがいも、あるいはフランスパン、これらの量が全体的に少々多すぎて、全て平らげることが出来なくなってしまった。どこか消化器系の病気でもあるのではないかと心配である。というのも、端向かいに座ったかなり年配の2人連れは、その「つばめ風ハンバーグ」を簡単に済ませ、すぐに、珈琲とかぼちゃのプリンを平らげていたからである。
そんな、昔ほどに食べる勢いがなくなったとか、たくさんは食べられなくなったとか、同じように夏場の胃腸の疲れが残る人には、サーモンのムニエルがお勧めである。珍しいほどの大振りのサーモンで、結構満足できる。もう一皿ぐらいいけそうだが、後のデザートも色々美味しいのがそろっているので、ここはとりあえず腹7分目で抑えるというのも手なのである。オーソドックスなメンチカツは、一般的に「ハンバーグの種に衣をつけて揚げたもの」と思われるが、お店によって少々作りが異なる。ここのメンチカツは、昔の洋食屋のそれに最も近く、玉葱の食感が少し残る感じに仕上げてある。それが嫌気するならば、最初からハンバーグをオーダーする方が無難になる。今日は、それら3種を並べてみた。
ではこちら
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