過去にも、将来も、社会から期待されるのは「ペアのヤング」に決まっている。つまり「若者二人連れ」(=勿論、男同士ではない)である。彼らをぺヤングと言うらしい。これをブランドに使った会社が群馬県にある「まるか食品」である。言わずと知れた「即席のやきそば」で有名な会社である。拘りすぎではないかと思うぐらい「やきそば」の様々なバリエーションの商品を製造・販売している。中でもオリジナルのぺヤング「ソースやきそば」が有名で、その商品一本で世界をまたに掛けて商売を広げてきたのである。こういう好調な看板商品が存在すると、それに関連する姉妹商品は、そこそこ売上げを伸ばす事が出来る。しかし、新たな分野の次の商品の開発は、なかなか難しいようだ。特に即席めんを専業とするメーカーは、その設備投資に巨額が必要になるため、そう簡単に異なる即席めんの製造へは手を出しにくい。しかし、今後、好調が未来永劫続くわけではないので、色々と開発を進めておきたい筈である。
ぺヤングが次に開発を進めてきたのが「和風の焼き蕎麦」である。日本の「焼き蕎麦」って、本来はこういう形態の物をイメージしていたのだろうと、そのイメージをそのまま具体化した商品を作り出したのである。紺色のパッケージは、まさに蕎麦屋の暖簾をイメージしてある。うーむ、なんとなくそんな雰囲気になってきた。パッケージに写し込まれた写真に、若者はちょっと抵抗感を拭えないかもしれないが、そういう田舎造り風も、見方を変えると「古き良き日本」をイメージしていて、そういう気取らないコンセプトにも好感が持てる。いったい、誰が考えたのだろうか、そんな興味が湧いてくる。その興味は、じわっと商品の中身を想像し、食べ方や、風味、食感などへもイメージが様々に広がってくるのである。
早速、手にして作り始めてみた。紺色のパッケージを開けると、何と!かつてのぺヤング「ソース焼きそば」と同じ白い容器が出てきた。それに、容器一杯にお湯を投入し3分待ってお湯を切る。手馴れた作業である。40年近く経っても何も変わっていないこの作業に、むしろ懐かしさを感じる。
こういうユーザーが抵抗無く触れることも1つの「共通財産」である。お湯が切れたら、添付の調味液を加えて攪拌する。調味液は、出汁醤油が濃縮されたものである。これを蕎麦麺の周囲に絡み付けて味付けとしている。攪拌する間に出汁醤油はすべて蕎麦に絡みつく。最後に海老入り揚げ玉、ねぎなどのかやくを加えて出来上がりである。
それを別のお皿に移し変えることもなく、昔の「ソースやきそば」のようにそのまま容器に食らえつく。一口二口ほおばってみると、少し硬目だけど 「まあ、美味しいね」と言った感じである。うーむ、この「待つ時間の3分」は少々短かったと言う印象が残った。もう少し麺が柔らかくなった方が食べやすいように感じる。したがって、3分経ったら蓋を開き、お湯の中で麺を伸ばすようにして攪拌し、蓋を閉め追加で1分ぐらい待つのが良いと思う。
それこそ、蕎麦好きの宿命なのだろうか、好きそうな「冷やしたぬき蕎麦」風の食べ物になった。調味液がなかなか「いいお味を出している」といえそうだ。そうそう、ちょうど、海苔に巻いて食べたら、「神田の藪そばの蕎麦寿司」にも似たお味である。もともと一般的な品書きには無い「神田の藪そばの蕎麦寿司は、客人に珍しいものだから」と言って、紹介ついでに注文することはあったが、高価な割にはいまひとつで、誰でも一口ですぐに飽きる。むしろ、このぺヤングの焼き蕎麦を海苔で巻いたほうが、蕎麦自体に味がついているので美味しいと思う。藪そばも暫くは行くこともないので、このぺヤングでお茶を濁すことにしたい。
ではこちら
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