この時期になると、師走の慌しさに隠れて、クリスマスの気配を感じる商品が何処からとも無く玄関に積まれてくる。クリスマス前に会う人に「子供さんへのおみやげにどうぞ」という程度の手軽さで手渡せば、貰った方もさして負担にならず、素直に喜べるという品の良い贈り物である。この積み上った中には恐らく予備が含まれていて、最後は私にも回ってくる。しかし、横目に見ながら遠慮をしすぎて、時間が経つと風味が落ちるかもしれないので、気になって仕方がない。そこで、写真撮りと称してそれらを開けてみることにした。特に興味を持ったのは、イタリアのクリスマスケーキである。パッケージにあるようにサンタクロースが何処と無くユーモラスで、美味しそうなケーキを覗くような顔つきである。
もう1つは、綺麗な模りのある缶に入った ドイツ ハシェのチョコレートの詰め合わせである。種類の違うチョコの5粒入り(1粒250円相当)で、アーモンド、ヘーゼルナッツ、リキュール、ブランデー、ワイン、アマレットなどを使って贅沢に仕上げてある。こちらは、渋い缶の色使いに目を奪われるが、中のチョコ1粒1粒には、天使の贈り物のような「優しい幸せへの拘り」がふんだんに封じ込められている。口に運んでみると1粒1粒が凝りに凝ったチョコレートであることが分かるし、口の中で一挙に贅沢感が広がる。そんな「1粒ごと、口にしては美味しい」と呟くような商品である。それこそが、夢のあるクリスマスならではの商品といえるかもしれない。
やはり贈り物は、見かけより夢があって価値のあるお品を選ばなければならない。たとえば、ビジネスマン風に表現すれば、名刺がわりに「キャリーオーバー発生中のロト7の申し込みカード」を手渡すようなもので、そこには、僅かな金額でも、夢を与えてくれる方が良いに決まっているのである。日本人は、贈り物が好きだが、高級なブランドが良いとか、高価なものが良いとか、やや田舎風の感覚を感じさせるケースが多い。貰った方は、負担になることはあっても嬉しくはない。そんな気持ちも知らず、見栄を張った贈り主は、それ自体で満足しているのである。そこは、贈られる人達の気持ちをどこまで慮る事ができるかが重要なのではないだろうか。そういう気持ちが伝わってこそのプレゼントなのである。
さて、話はイタリアのクリスマスケーキに戻るが、これが意外に美味しいので嬉しい気分になってしまった。価格は、上記ドイツ ハシェのチョコレートのたった2粒分(500円相当)でしかないが、以前に紹介したイタリアのクロワッサン風のパンに入っていたココアクリームと同じ味で、不思議とイタリアを彷彿とさせる甘さが堪能できてしまうのである。そうそう、エスプレッソのコーヒーに合いそうな感じである。私が幼い頃はこのくらいの甘さのものが多かったと思うが、今の子供さんには、少々難しいというか、お母さんから叱られそうな甘さで、この甘さに慣れてしまうと、「もう不二家のケーキは美味しくない」と拒否してしまうかもしれない。もちろん、甘さだけに留まらず、ココアのコクのある奥深さと、取り巻くホワイトチョコレートの風味が独特の魅力を醸し出している。
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