2014/02/18

どん兵衛 2種うどん自慢

   少し前に、マルちゃん正麺の「うどんとカレーうどん」を紹介した。その時に「この麺の食感と出汁の味で、どん兵衛の市場に撲り込みを掛けるのは、少々難しい」と感じたものだが、ま、発売してみないとわからないし、「商品に対する市場の反応」を知りたいのもある。また、認知度を得るためには時間が掛かるなど、そういう大枠的な狙いからすれば、何が何でも早く発売してみるというのが業界の常道のようだ。それから、じっくり分析や改良が進められるわけである。したがって、最終的に市場に根付くには、最低10年は必要かもしれない。そのバロメータになるのが麺の食感で、かつては、即席麺と本物は別物として扱われてきたが、その固定された概念を崩すかのように、最近は、しきりに目指す方向として「生」という言葉が使われるようになった。しかし、それは、あくまで目指す方向を示しているだけで、いまだ顧客の反応ではない。

  さて、今日はその市場をほぼ独占している日清食品の「どん兵衛」のうどん2種を用意してみた。「カップ麺から袋麺化された どん兵衛の= 1.関西風だし うどん」と、「生めんのような食感を得たという 2.生うどん食感」という商品になる。前者の関西風だし うどんの方は、従来の麺と、出汁は揚げやねぎの入った関西仕立てで、カップ麺の時よりもたっぷりのお湯と、時間を掛けてゆっくりと茹でることができる分、もっちりとした仕上がりになる。このあたりが、カップ麺では得られなかった優しい食感がもたらす美味しさといえる。出汁は、関西風でとても美味しく、洗練されている。他方の、「生うどん食感」は、前者と違った乾燥麺で、袋を開けるとまるでフィットチーネのような平べったい麺が現れる。「そうだ、この手も美味しそうだ」と直感する雰囲気を持っている。しかし、出汁は昆布系で全国仕様となっている。
 
  どん兵衛が「関西風だし」 と、「生うどん食感」という地域性と食感の違いの2種類を併売するのは、いかに関西地域でのうどんの消費量が高く、加えて「即席うどん市場」でも、同社の販売実績が高いかがわかる。それ程、うどん文化が成熟しているのである。昔を思い起こすと、確かにお昼には、今日のPDF写真のように、うどんにかき揚とか海老の天ぷら、そして九条ねぎまたは、わけぎをたっぷり乗せて頂く事が多かった。もともと歴史的にも古くから「関西はうどん、関東は蕎麦」といわれ、うどんが日清食品のお家芸となる由縁になっているが、こういう市場を意識した商品をきめ細かく市場投入することが食品業界の王道なのである。それこそ、時間を掛けてじっくり市場と向き合って改良を続けてきた「どん兵衛」の実績ということになる。

  カップ麺を含めた即席うどんに対する評価は、人それぞれで、麺の食感を重視する人もいれば、出汁が一番という人もいる。もちろん、お揚げの大きさが重要だという人もいたり、袋麺ならネギやお揚げぐらいは欲しいなど、さまざまである。そこで、すべての要素で、ある基準をクリアしていると想定して、何が最も重視されるかといえば、やはり、うどんには「出汁」が一番重要なのである。しかし、「生うどん食感」の麺の喉越しも素晴らしいので、そこは、関西風の出汁に、「生うどん食感」を組み合わせた商品が欲しくなるが、商売上は2種類あった方が市場的に売り上げが安定することから、熟慮を重ねた販売戦略といえる。やはり、袋麺のうどんを1種類常備するとしたら、圧倒的に「関西風だし うどん」の方が多いと思われる。
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