使われている食材とか、パッケージのデザインだとか、その商品に含まれる原産地であるとか、あるいは、目立つキャッチフレーズとか、そんな「美味しさ」を誘発する表現は、いったい何が効果を発揮するのだろうか。ちょっとしたことからも、購入意欲をそそられることがある。おおよそ、パッケージには、素材の姿や出来上がりの写真を載せる。それが、食欲をそそることもあれば、返って逆効果を生むこともある。しかし、イラストだと自らの勝手なイメージに作り変えて、都合の良い解釈をしてしまう。また、キャッチフレーズには原産地や特産品が挙げられ、「海老の旨みや薫りを存分に引き出す」というコピーは、味の想像力をかきたてている。
麺好きがこのパッケージを見付けると、手に取ってみないわけにはいかない。このデザインには、マルちゃんや日清製粉にはない独創性が漂う。その要因は、個性溢れる手書き筆文字にありそうだ。これが、意外に新しいコンセプトの商品のように見えるからだ。裏を返すと、調理方法が田舎風イラストで描かれているが、それも、なかなか洒落ている。そうだ、これは「札幌丸山動物園ラーメン」の説明と似ていると思ったら、製造者が同じであった。そして、麺、スープ、使用材料などの「美味しさの秘訣」という欄もあり、既に「美味しい」ということを自慢し、その根拠が書かれている。こういう表記を眺めると、美味しい?「それを決めるのは俺だ!」と叫びたくなるが、既に「美味しそうだ」と想像している人にとっては、ダメ押しの説得力になるのである。
それにしても、気になるのは「えび塩ラーメン」のえびのスープの味である。大量にえびが採れる北海道ならではの、えびの身を磨り潰したようなスープなのだろうか、とイメージしていると、おっと、その心配をよそに「残ったスープにご飯を入れて、えび雑炊としても美味しくいただけます」と書いてある。これもスープの味に自信のある証拠なのだろう。イメージがどんどん膨らんでしまうではないか。この商品の企画に携わった人たちは、実は、このラーメンの美味しさを知り尽くしているに違いない。この味を全国の人に知ってもらおうとする気持ちが、このパッケージにそこはかとなく滲み出たと感じられるのである。
早速、パッケージを開けると、少々懐かしい感じを受ける姿の麺とスープが入っている。麺は透明のプラで梱包してある。「生麺をじっくり時間を掛けて熟成乾燥!小麦本来の風味と強いコシを再現」と書かれているが、コシの強さは、今となってはさほどでもなさそうだが、とにかく風味は良い。それを大切にするには、たっぷりのお湯で麺がゆったりと動き回るような鍋を使う。スープは、どんぶりにあらかじめ溶いておく。その中身はえびのすり身の入った塩味で、頭部のみそも使ってあり、旨みが際立っている。トッピングは少々大きめの乾燥海老を入れておくとスープと相まって、香ばしさが増して美味しい。いつもと少しだけ違った珍しいものを口にしたという気分で、しばらくすると、また食べたくなる。
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