柚子は柑橘系果実で、表面が黄色くややでこぼこしていて、ポンカンより小ぶりな姿をしている。今日のPDF写真には、母の実家で育った天然物の柚子を用意したが、スーパーなどで売られている商品は、もう少し綺麗な黄色をしている。柚子は他の柑橘類と同様に酸味は強く、皮に含まれる薫りが象徴的で、どの柑橘より芳しい。柚子が少量でも幅広く愛されてきた背景はそこにある。老舗蕎麦屋などでは、天ぷら蕎麦に柚子の小片が入っていて、爽やかさを演出してくれる。もちろん、和食の椀物の薫り付けに使われたり、かぶの漬物などに挟んで薫りを放つなど、ほんの僅かな小片を使うだけで、お料理の品位を高めることができる。また、昔は祖母が柚子の皮を布袋に詰めて、お風呂に浮かべていたのを思い出す。これがまたいい薫りが広がって体にまとわりついて、風呂上りには安息剤の役割を果たしよく眠れたのである。
一方、「柚子茶」というのが嗜まれていることは承知していたのだが、まさか、商品として砂糖や蜂蜜を多用して、食パンやヨーグルトにも使える程の「甘い柑橘の薫り」の液体に仕上げられているとは思ってもみなかった。まるで「薄めのマーマーレードそのもの」といっても差し支えない。ただ、自分の中での印象として、柚子茶と言うぐらいだから、きっと、柚子の皮を乾燥させて細かくし、それをお茶代わりに使うとか、紅茶か半発酵のお茶等の中に入れて薫りを茶葉に移して、お茶に仕上げるとか、そんな風に柚子の薫りを楽しむのだろうと、漠然と想像をしていたのである。だから、デパートの食品売り場で探しても置き場が違っていて、見付けられない商品だったのである。それに気がつけば、紅茶の中に柚子風味と言うのが見当らない理由がわかったと思る。
今日は、そんな大きな勘違いをしていた、マーマレード風で簡単に柚子の薫りが楽しめる瓶詰めの「柚子茶の素」を取り上げてみた。時には、生の柚子で本物を楽しむのもよいが、柚子の皮に甘味を加え、味を整えてある瓶詰めの「柚子茶の素」が重宝することもある。度々使うなら、価格面でも優位性が出てくる。その柚子茶だが、夏は冷やして、冬は暖めてと言った具合に、年中柚子の酸味と薫りを楽しむ事が出来る。通常は5倍ぐらい希釈して使うが、甘いのが苦手と言う人は10倍ぐらい希釈してから、さらに「本物の柚子やレモン、あるいはライム等」を加えることでクエン酸を強化してもいい感じになる。
空気が乾燥するこの季節には、通勤電車の人ごみで喉を痛めてしまうこともある。そんな時こそ、帰宅後はすぐに「柚子茶の素」をお湯に溶かして、ゆっくり柚子の薫りを楽しみたいものだ。また、眠れない夜には、温かいミルクにスプーン1杯程度「柚子茶の素」を加えて楽しむのも案外よいものだ。成分としては、ビタミンC、カルシウム、ミネラル、鉄分などで、製品によって若干成分構成などが異なるかも知れないが、その微小な成分による効能よりも、やはり「柚子の薫りで気分が変わる」と言うのが最大の効果と言える。特に、風邪をひきそうだなと思ったら時にこそ、ぜひ所望して貰いたい。
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