新しい商品は、入手に手こずることがある。有名人にCMで「美味しい、美味しい」と吹聴されても、すぐにスーパーに並ぶことはない。それは、倉庫に大量の旧製品があるからで、それが無くなるまでは、新商品が店頭に並ぶことはない。また、系列によっても営業方針は異なるが、大型量販店は、比較的利益の大きな商品を優先して扱う傾向があるため、新製品には対応が遅く、珍しい商品、あるいは高級品には興味がないとされる。一方、競争力を気にするスーパーでは、人気のある品とか、新製品に極めて敏感で、置き場がない時でも、特設コーナーや試食コーナーを設けて、あえて反応を見るという策を講じることがある。そんな新製品発売時期には、それぞれのスーパーの意気込みが表面化する。
そんな遠回しの言い訳をしながら、遅れ気味にラーメンの新製品を登場させたい。そこには背景がある。30年近く「あろう筈も無い」と断言ができるほど、諦めていた即席ラーメン市場に、つい数年前から次々と突然イノベーションが起こり、寝た子を起こされたように、「さあ、どうだどうだ食べて味噌?」と追い立てられ、意表を突く麺のコシの強さに驚きながら、浮足立った日々が続いているからだ。早く、一通り出揃って決着を見て落ち着きたい。細かな改良は、それからにしてほしい。このような切っ掛けを作ったのは、マルちゃん正麺だが、最後まで気になっていたのが、あの「サッポロ一番 味噌ラーメン」で一世を風びしたサンヨー食品である。同社は、この度「頂(いただき)」という業界最高峰を暗示するかのような商品を登場させた。
この「頂」シリーズには、味噌味、醤油味と塩味の3種が用意されている。いずれも「麺もスープもうまさの頂へ」がキャッチフレーズだ。血圧の高い人は当然「塩」は遠慮されるとは思うが、やっぱり、サッポロ一番とくれば「味噌!」と大声を発する世代も少なくないことから、味噌味に期待をしたい。この「頂」に秘められた味噌味の特徴は、ここでも「生」という言葉がダブルで強調されていて「生仕立て麺」と「生味噌仕立てのスープ」にあるらしい。わずかに小麦の香りが残る「中太ちぢれ麺」は、このような即席めんとしては、珍しい太さに驚いた。スープは、4種の生味噌のブレンドと云うだけあって、「コクのある豊かな味わい」が特徴のようだ。確かに、これには口にする前からすごい期待できる。
最近、どこの即席ラーメンも、「スープを麺を茹でたお湯で溶く」ことが、美味しい召し上がり方の手順に組み込まれている。ここまで全社揃って、そのように表記されるには、麺から出る何かに味を構成する成分が含まれていて、捨ててはいけないのではないかと不穏に感じてしまう。しかし、どのように試しても、やはり新たなお湯でスープを溶くべきという結論に達するのである。そこで、寸評としては、スープを180ml(スープの濃さも重要)のお湯で溶いた器に、3分(指定4分)ほど茹た麺のお湯切りをして投入してみる。麺に少し芯が残った感じだが、もちもち感がよく出ている(4分茹ると、こしがなくなって台無しになる)。スープは、こくがよく出ていて美味しいが、少々塩気が強い。この塩気を抑えるには、お好みの野菜を加えるなどしたい。一方で、「スープに麺を茹でたお湯で溶く」と丁度よい塩気に感じかもしれないが、折角の味噌味の風味が呆けてしまう。
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