2014/11/28

果実混合飲料アサイー

  アサイーとは、ブラジルアマゾンの赤道直下の高温・高湿度の熱帯に生育するヤシ科の植物。厳しい環境の中で種を守り生存し続けるために、果実の中にはポリフェノールをはじめとする様々な栄養素が含まれているらしい。しかも、ヤシ科と言うこともあって、木の高い位置に果実を実らせるようだ、それを人が木に登って採取するため、一度に大量の採取が難しい。さらに、果実の可食部は僅か2%とも言われ、採取された果実は、24時間以内に搾汁しないと傷むようだ。なかなか難しい果実と言った印象を持つ。

  様々な商品が市場に並べられているが、果物を「そのままスムージー」にしたもの、缶詰や冷凍、紙パック詰めなど「殺菌をしたジュース」、そして「粉末になったジュースの素」では、明らかに栄養価が違う。アサイーは、果実自体に高い栄養価が含まれているため、そのまますぐにジュースにして戴くのが良い。含まれるビタミンC等は時間の経過によって消えてしまうからだ。しかし、アサイーは、ポリフェノール、食物繊維、ミネラルを豊富に含むパワーフルーツと言われており。他と比べて粉末でも効果は大きいようだ。

  今日の商品は、アサイーのピューレに加えて、濃縮ブドウ果汁、濃縮アロー二ャ果汁、濃縮レモン果汁、レモンパーム抽出物、レシチン(大豆由来)を加えた「紙パックのアサイージュース」。アサイーのピューレにはgrosso(グロッソ)と呼ばれる最高レベルの濃縮度のみが使用されている。アロー二ャとは、バラ科の植物でブルーベリーのような果実を持ち、古くから「 ポリフェノールやアントシアニンを豊富に含む果実 」としてジャムやジュースにして飲まれていて、現在ではヨーグルトなどにも混合して使用されている。

  実際に店頭で生のアサイー果実をスムージーにした物は、酸味が強く感じ爽やかだが、それらと比べると、こちらは「少し粘りを含み、どろっと」はしているものの、少々甘いジュースと言った感じになり、大変飲みやすく作られている。どこまで、パワーを感じて元気になれるか、効能は人それぞれだとは思うが、この口当たりなら、毎朝食事の友にすることはできる。内容量1,000gの紙パックで1,048円で売られている。
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2014/11/25

お米を食べ比べるセット

 おおよそメーカーと言うのは、専門分野というのがある。家庭で使う電気製品を専門にして製造する会社を、一般的に「家電メーカー」と呼ぶ。一方でメーカーと言うのは、別に○○マーケティング㈱と言う自社製品の「卸の会社」も持っている。昔流に言えば、○○販売株式会社と言った感じだ。作る立場と売る立場を別にすることで、より責任の明確化を図り、市場に対して優位性の高い製品を供給しようとするもの。その優位性とは、殆どが他社競合に向けられており、それぞれの製品が競争に勝てば、売り上げと利益が製品ごと確保できると言う概念になる。そのお陰もあって、国内市場では今まで世界最高水準の家電品が供給されてきた。

 でも、そういう風潮は我々顧客にとって、本当の幸せに繋がってきたのだろうか?と素直な気持ちに立ち返る人が増えている。できれば無駄な競争を回避し、人生が豊かになるための商品づくりや、もっと生活の快適性を追及するとか、生活全体で質の向上に寄与する商品とかを願う気持だ。電気釜だけではなく、美味しいお米も一緒に販売して欲しい、そんな感じである。そういう潜在的な不満を解消する「業態メーカー」というのがある。それが今日紹介したいアイリスオーヤマ㈱である。業態とは、営業形態から分類した区分で、いわゆる従来型メーカーが「専業の縦事業」と考えると、マーケットに対して「横軸に消費者の要求に適した営業」を行う形態のことだ。

 したがって、顧客の意見が直接自社製品に反映する。「ニーズがあるなら作る、さらに、生活用品として足りなければ用意する」という会社運営になる。つまり、LED照明を作っていながらペット用品もある、さらにヘルスケアもあるといった、あらゆる「人々が生活に必要な商品をくまなく用意して提供する」という会社である。それが、家電製品では既に有名な会社として、一目置かれているアイリスオーヤマである。大手家電メーカーをリストラされた人達を率先して雇用し、より磨き上げた商品作りに生かしてきた会社でもある。しかし、「業態メーカー」といっても、やはり従来のメーカー色の強い印象は払拭できない。それは、自社商品に対する拘りの源流が、社内の品質管理の考え方にあるからだ。これはとても良いことだ。

 今日は、同社が用意したお米を紹介したい。一等米100%という美味しさに拘り、産地種類別 「6品種」 のラインナップを用意している。そのために専門工場で低温保存、低温精米、低温包装に加えて子袋パックによる鮮度を保ち、安心を保証する。そして、放射線量、残留農薬、カドミウム含有など安全にかかわる検査、DNAによる品種判定、そして、美味しさに関わる検査等、隅々までに拘りを貫く、かつてない厳しい水準の社内規定に適合した商品群になっている。さらに、その6種類の中から人気の銘柄の「食べ比べセット」も4種類用意されている。もちろん、土鍋のような美味しさを追求した、同社のIH旨味炊飯鍋も魅力に映る。これらが業態メーカーならではの強みと言える。
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2014/11/21

チリペッパー味とアップルパイ味

 我々消費者はいつも新製品に敏感だ。「どれどれ、なになに」と興味を持って受け入れる姿勢は昔から変わらない。テレビのCMで刺激を受けて、デパート等での試食で評価を下す流れは自然と言える。中でも、大塚グループの商品は、年齢に関係なく、お孫さんから年配の方々まで幅広く、しかも、美味しいとか、美味しくないとかあまり文句を言われる事もない。そんなことより、むしろ「体にどのくらい良いのか」が興味の中心になっている。それは、病気で入院した時に「点滴が不味いから外してくれ」と言う患者がいないのと似ている。

 それは、原材料から徹底した基礎研究がなされ、商品化にもたっぷりとした時間、物、お金を掛けているからである。しかも、信頼される商品作りのために、新規の設備投資等による品質管理も徹底したものがある。そういう価値観の1つ1つに顧客の理解が進み、少々お高いけれども選ぶなら、とびきりの品質の「大塚」という流れが今加速している。最近は、食の安心安全とか厳しく言われるようになり、それまで培った同社の拘りが益々評価されるようになっている。その裏付けとして大塚の商品とよく比較され、逆に顧客から安い理由を聞かれたりするメーカーも多いようだ。

 今日の商品は、ソイカラの「チリペッパー味」とミルクのようなやさしいダイズは「アップルパイ味」で、いずれも本当に大豆商品か?と疑いたくなるほど奇抜なアイデアの商品だ。そのくらい、いずれもダイズを意識することが少なくなってきた。ソイカラは、以前、「のり納豆味」を発売して、評判はすこぶる良好だったようだ。「チリペッパー味」は、それに続く独自性が感じられる。これだけ辛味が活かされると、繋ぎに少し辛味をやわらげてくれる飲み物もあった方が良い。だから、ミルクのようなやさしいダイズの「アップルパイ味」という組み合わせになるわけで、辛味と甘味の対極の美味しさを実感できる。

 大塚グループが、これらのアイデアを商品化するとは、全く想定していなかったが、明らかに若い人の趣向が企画力に反映して、製薬会社としての裏打ちされた技術と、市場ニーズをうまく融合させた商品に仕上がったと思われる。辛味は旨みの1つとも言われ、誰にでも親しまれる歴史的背景を引きづっているが、中でもチリペッパーというのは、ずば抜けて馴染みやすい辛さで、大変美味しく作られている。特に、これから寒くなってくることから、生姜ブームに飽きたら、次にチリペッパー味も加えて体を温めたい。辛い物はお腹が一杯でも、次々と手が伸びる。口元が辛くなりすぎたら、ミルクのようなやさしいダイズの「アップルパイ味」がある。
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2014/11/18

頂き 広東風醤油拉麺

  つい先日、勇気を持って「頂」の「とんこつ味」を戴いたばかりだと言うのに、すぐに新製品が登場していた。それが、とろみ中華シリーズの「広東風醤油拉麺」と「四川風酸辣湯麺」である。どちらも、日本式ラーメンではなく、中華専門店で出される汁そばの種類になる。いずれも、上に乗せる具が大変凝っていて、それがそこそこ出来が悪いと麺とスープが台無しになるし、かといって、忠実に再現しようと思うと、具材を幅広く集める必要がある為、手軽に取り組むことは出来ない。これは消費者の偽らざる気持ちと言える。

 しかし、サンヨー食品としては、明星食品の中華三昧に対抗すべく、新境地を切り開く必要があったようだ。そこは難しい領域で、他社は少々怖くて手が出せなかった。特に、あの人気の高い「担々麺」ですら難しい結果になった経緯があるからで、当時、誰でも肉味噌はどうするんだと迷ったに違いない。後に別パックで乾燥肉味噌品を提供しているが、その価格も100円とは、やや中途半端だった。できれば、400~500円でもよいのでタルタルソース風のチューブで肉味噌を提供してほしかった。しかし、そういう大きく価格の制限を受ける市場状況を考えると、結局、冷凍食品で対応した方が無難である。

 話を戻すと、優れた麺の製造技術を確立したところが、製品の種類を広げるきっかけになっていることは間違いない。そこに、明星の中華三昧との大きな違いが見えてくる。中華三昧のスープは優れているが、今となっては、麺の太さやコシの固さは、サンヨー食品の頂シリーズがはるかに優れている。もちろん、スープだって負けてない。基本に忠実で、日本人好みの上品さが漂い、深みのある優しい味で手抜きなしの仕上げである。これで、上に乗せる具が、パッケージの写真の様な姿になれば、かなり本格的な「広東風醤油拉麺」になりそうだ。

 家族構成を5人と考えて、日曜日のお昼に、今日は「広東風醤油拉麺」よ~!とか言いながら、お母さんは、筍、豚肉、人参、木耳、海老、いか、青梗菜、椎茸、もやし等を用意する。5人分ぐらいまとめて作らないと、これらの具材は準備に無駄が出過ぎるし、また、全ての種類の具材を用意することは出来ないかもしれない。そこで、どこまで妥協できるか、あるいは、材料の転用なども考え合わせると、私の場合は写真のような形になった。材料は、椎茸、もやし、きゃべつ、冷凍むき海老、ベーコン、メンマ、ねぎ、玉子である。これらをスープに絡めて麺の上に乗せる。その分スープ成分は少なくなってしまったが、それでもかなり美味しい。一方の「四川風酸辣湯麺」は、椎茸、もやし、卵、豚肉等があればOKで、「広東風醤油拉麺」との違いは卵だけでもよいようだ。いずれも具材と合わせるとスープが美味しい。
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2014/11/14

カロリーメイトブロック プレーン

   あえて色付けをしない、ストレートに本来の素材を活かす、あるいは、あえて無味無臭にする、そういった意味合いが込められた「カロリーメイト プレーン」。シンプルでありながら、「アクセントのある歯ざわり」を実現していると宣伝されている。パッケージの表側は、相変わらず小さな横文字が並んでいて舶来品を連想させる。そこの文字列を追いかけた訳ではないが、一体何が書かれているのか、こういったところが古くから神秘的な印象を持ち、アポロ計画時代のNASA御用達をイメージしたままなのだろうか。

  口にしてみると、確かに、最初は今まで通り「ほっこりとした小麦粉を焼いた時の香りが」口の中に広がる。まるで、口の中の水分をすべて取られてしまいそうだ。好き嫌いは別として、・・・ といっても、私は、昔からこの香りで「咽が詰まりそうな印象を持つ」ので好きではない。チーズ味は、さらにその印象が強調されてしまう。しかし、その香りの難関部分さえ通り抜ければ、フルーツ味、チョコレート味、メープル味、ポテト味は、たいへん好感のもてる風味だったと思う。


    プレーンという表現は、「風味」ではないので、表記末に「味」は付かないが、僅かにリンゴの香りが漂い、その果肉を「乾燥して固めた粒」らしき物が混合されている。この手の粒は、従来も混合されていたが、これほど歯ごたえのある粉砕感ではなかった。リンゴ味以外は判別がつかないが、他の風味の固い粒々も混入しており、それらを砕くと甘さも広がる。これらの粒によって、今までにない食感を実現しており、確かに「美味しい」という印象が残る。

  プレーンという新製品にどのようなコンセプトを持ちこむか、難しい課題だったと思われる。若者にとっては「粒々を砕く美味しさ」があり、咽が詰まりそうな年配者には「粒々を溶かす美味しさ」が感じられる筈だ。正直申し上げて、チョコレートやメープルなどの風味の違いよりも、食感の違いが分かりやすく、明らかにインパクトがある。今までよりもストレートに美味しく思えるし、トータルで少し甘さが増して咽を通過しやすくなった。商品の進化の仕方として素晴らしく気持ちよく、誰でも受け入れ易い商品がラインナップに加わったと思える。



2014/11/10

飛騨牛と飛騨豚のハンバーグ

 素人考えの「美味しい食材と、美味しい食材を組み合わせ」ても、必ず「もっと美味しい物」に仕上げられるとは限らない。そう簡単ではないようだ。そういう意味で、素材としての美味しさ、熟成させたときの肉の旨味、食材を組み合わせたときの食感、これらのバランスを決めるのは、やはり経験を積んだシェフに任せた方が良いと思うこともある。もちろん、それを流通に乗せるためには、価格も含めて長く愛される商品に仕上げなければならないし、マーケットの広がりを期待するには、万人が納得する美味しさが秘められる必要がある。しかし、更に最近は多少お高くても、安心安全な商品を選ぶ傾向が強く、食品には厳しい視点が注がれている。

 その市場動向は、製造者と販売者のきめ細かい連携と試行錯誤による「製品の妥当性」が重視され、隅々まで「健全な商品」に育つと思えるのである。やはり通信販売は、その信頼感を高める努力が日々必要で、消費者の価値観を敏感に反映するなど、今や、テレビ通販と、インターネット上に乱立した仲介WEB販売サイトとの違いが明確になる時代に入ったと考えられる。元々通販に大切なのは、やはりユーザーから眺めた信頼感であり、それに対して、裏打ちされた責任感とも言うべきポリシーと思えるのである。テレビ通販側もそれをよく理解していて、中高年世代に信頼される背景には、テレビ通販会社ならではの徹底した品質保証に関する仕組みがあると思われる。したがって、少々お高くてもテレビ通販会社の方が、詳細な情報開示が行き届き、今や「納得感プラスお得感」に繋がっているのである。

 そんな視点でテレビを観ていると、地上波で一番面白いのは、様々に細部に至る工夫をしながらも、上手に購買に追い込むテレビショッピング番組かもしれない。それも、報道番組、ドラマ、バラエティー等は、区別がつかないほど幼稚になって、しかも最近「報道メディアにはきな臭い印象」が付きまとっている。それに引きかえ、テレビショッピングでは、限られた時間の中で正々堂々と勝負してくる心地よさがある。しかも、我々が気にするところをしっかりと押さえてある。そんなことから、原料原産地、加工地の表記がある特製ハンバーグに興味がひかれ、早速それを取り寄せてみた。これは、飛騨高山にある飛騨牛ステーキ専門店「キッチン飛騨」がショップチャンネル専用に用意したオリジナル商品の1つになる。

 以前、「佐賀牛のハンバーグ」を紹介したが、それとは大きく趣の異なる商品といえる。さすがにステーキ専門店の食品だけの事はあり、大変優雅に美味しいハンバーグである。おまけに、専用のデミグラソースもついているが、このデミグラソースを使わなくても美味しくまとめてあるところが品質の確かさと言えよう。また、そのデミグラソース自体も貴重感もあり、パスタソースやオムレツなど、他の用途に使ってもその美味しさを満喫できる。どこをとっても、納得感が詰まっていてお得感と満足感に曖昧さは無い。たった1つだけ、注文してから入荷するまで10日ほどかかるところが待ちどおしいぐらいだ。
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2014/11/07

グレース・オブ・モナコ / 誰よりも狙われた男

 この2作品こそ、自らの「幅広い知識と洞察力」によって、隅積みまで気を配りながら楽しむことが出来る。さらに、作品がより現実的に広がりを見せ、ストーリーのテンポの良さと相まって、脈々と鼓動のような躍動感が伝わってくる。しかし、あまり具体的に前知識が「詳しすぎる」と逆効果にもなる危険性をはらむという ・・・ 難しい 2作品。

  グレース・ケリーの話題は、何度か映画にもなり世間では広く知られている。また、宮殿から街に出る下り坂のカーブを自らの運転で曲がり切れずに亡くなった話は有名で、その彼女の結末を知るが故に、モナコの公妃になった苦悩が、見え隠れする映画なのだろうと思ってしまうのである。そんなわけで、少々寂しさを感じ、観ない方が良いかも?とも思っていた。


  安易に批判するつもりはないが、だから、「たとえ裕福な国でも、素晴らしい愛に導かれよう」とも、異文化の世界に飛び込むのは難しい。まして、モナコのような歴史ある国で、さらに保守的な国民から愛される公妃になるには時間もかかる。その大きな課題を克服しながらも、オスカー女優(アカデミー賞受賞)ならではの役柄を自らに課して、モナコをフランスから守り切るというストーリーになっているが、あくまでフィクション。でも、グレース・ケリーだからこそ「世界を動かす」そんなことが現実に出来たかもしれないと思わせるところが、この映画を素直に受け止めてしまうところだ。また、グレースの利発な性格を引き立てるため、モナコ大公レーニエ3世は少々保守的で気弱に描かれている。彼の名誉のためにも、そこもあくまでフィクションとして観ておきたい。それにしても、フランス大統領シャルル・ド・ゴール役は、いかにもといった顔つきに違和感を感じてしまう。

 「グレース・オブ・モナコ」の公式ホームページはこちら http://grace-of-monaco.gaga.ne.jp/
 

  「誰よりも狙われた男」は、諜報機関の裏の攻防戦を描いた話。あらかじめ映画のストーリーを知らず、全く白紙の状態の方が全体を楽しめるかもしれない。人を狙撃するとか、華麗なるスタント、スピードあふれるカーチェイス、あるいは拷問によって自白を促すとか、そういったずば抜けたテクニックを披露するスパイ映画を見過ぎている我々には、少々物足りないかもしれないが、それでも、そこに存在する緊迫に満ちた空気感は終始貫かれている。そして、テロ対策チームのリーダーのギュンター・バッハマンことフィリップ・シーモア・ホフマンの気迫がじわーっとスクリーンからも伝わってくる。情報源として利用し、後戻りさせない命がけの工作と、いつ何が起こるか分からない緊張感の中でストーリーが展開する。目を付けた密入国者イッサ(イスラム過激派という汚名を付けられている)に他の諜報機関からも関心を持たれ、接触してくる面倒くささに耐えながら、イッサを誘導して組織の大物を一網打尽にしたいと考えるバッハマン。それに対して、早々と片付けたい米国CIAも途中で幾度となく介入しながら、作戦半ばでそれまでの成果をかすめ取り、イッサまでも連行してしまう。平素は物静かなバッハマンが声を荒げて怒リ狂う。

  「誰よりも狙われた男」の公式ホームページはこちら http://www.nerawareta-otoko.jp/

2014/11/04

ドラキュラZERO / 美女と野獣

  映画を観る楽しみの1つに、格好良い男が登場するとか、美女に会えるとか、そんなこともある。大昔の話(半世紀ほど前)だったが、かつて劇場へ3度続けて「風と共に去りぬ」を観に行った事がある。素直にビビアンリーに魅了されてしまったからだ。近年になって、デジタルリマスターで蘇った映像を観たが、何で3度も続けて観たか分からなかった。人には、そういう事に「敏感になるお年頃」と言うのがある。さて、今日の映画は美男美女が出るファンタジーあふれる2作品。いずれも、ストーリーは単純明快だが、映像はきめ細かく、完成度の高さを誇り、どこを切り取っても美しい。「敏感になるお年頃」を迎えた若い男女には是非にも劇場へ足を運んでほしい。
 
  「ドラキュラZERO」は、大軍のオスマン帝国の侵略から「最愛の妻と息子そして民衆」を守ろうとし、邪悪な悪魔に魂を預け、その代償で得た3日間の「巨大な悪の力」を駆使して、1人で大軍と戦う「ドラキュラ」の新たな伝説を描く。見どころは、パンフレットの写真の通り、やはりVFXを駆使して作り上げられている映像だが、どのシーンも神秘的な要素がふんだんに織り込まれているので、既成の認識とは全く異なる「新しいドラキュラの世界」へ引き込まれる。それでも馴染みやすいストーリーと家族愛を十分に満喫できる作りで、心も気持も納得感に満ち溢れる。何といってもウラド・ドラキュラ役のルーク・エヴァンスが格好いいのと、バックに流れる音楽もメロディックでここまで凝るかと思えるほど素敵なので、全体を通して品位の高いドラキュラ映画になっている。


 「ドラキュラZERO」の公式ホームページはこちら http://dracula-zero.jp/

 
  「美女と野獣」は、やはりアニメには無い、実写としての「主役の美女の美しさ」が余すところなく発揮され、ハイセンス、ハイレベルな創造映像が覆い尽くす。父親の代わりに古城に捕らわれの身になるベルが、鏡の向こう側の世界を垣間観ることで、野獣に変身させられた王子の過去の謎が解き明かされていき、少しづつ話の展開が観えてくる。しかし、鮮明になりすぎない程度に神秘的な要素が加わって観る者を次々と引き付ける。ベル役のレア・セドゥも美しいが、ドレスや装飾品も完璧で、隅々まで丹念に描かれた映像美もそれに引けをとらない。しかし、魔法から覚めた王子は、前と変わらず格好悪い(私のイメージから逸脱している)ままで、物足りなさを感じる。そこは、あくまでも「美女と野獣の関係」は、続くと言う意味かもしれないし、あるいは、夢から覚めても「愛は外見ではない」と説明しているかのようだ。うーむ残念。
 

 「美女と野獣」の公式ホームページはこちら http://beauty-beast.gaga.ne.jp/

  それにしても、これらのファンタジー映画 2作品は子供から大人、あるいは、もっと年配のおじさまやおばさままで、観る者を魅了して「おとぎの国」へ連れて行ってくれる。時折、都会の喧騒を忘れて「古城や森の中に迷い込んでみる」のもいいかもしれない。