映画を観る楽しみの1つに、格好良い男が登場するとか、美女に会えるとか、そんなこともある。大昔の話(半世紀ほど前)だったが、かつて劇場へ3度続けて「風と共に去りぬ」を観に行った事がある。素直にビビアンリーに魅了されてしまったからだ。近年になって、デジタルリマスターで蘇った映像を観たが、何で3度も続けて観たか分からなかった。人には、そういう事に「敏感になるお年頃」と言うのがある。さて、今日の映画は美男美女が出るファンタジーあふれる2作品。いずれも、ストーリーは単純明快だが、映像はきめ細かく、完成度の高さを誇り、どこを切り取っても美しい。「敏感になるお年頃」を迎えた若い男女には是非にも劇場へ足を運んでほしい。
「ドラキュラZERO」は、大軍のオスマン帝国の侵略から、「最愛の妻と息子そして民衆」を守ろうとし、邪悪な悪魔に魂を預け、その代償で得た3日間の「巨大な悪の力」を駆使して、1人で大軍と戦う「ドラキュラ」の新たな伝説を描く。見どころは、パンフレットの写真の通り、やはりVFXを駆使して作り上げられている映像だが、どのシーンも神秘的な要素がふんだんに織り込まれているので、既成の認識とは全く異なる「新しいドラキュラの世界」へ引き込まれる。それでも馴染みやすいストーリーと家族愛を十分に満喫できる作りで、心も気持も納得感に満ち溢れる。何といってもウラド・ドラキュラ役のルーク・エヴァンスが格好いいのと、バックに流れる音楽もメロディックでここまで凝るかと思えるほど素敵なので、全体を通して品位の高いドラキュラ映画になっている。
「ドラキュラZERO」の公式ホームページはこちら http://dracula-zero.jp/
「美女と野獣」は、やはりアニメには無い、実写としての「主役の美女の美しさ」が余すところなく発揮され、ハイセンス、ハイレベルな創造映像が覆い尽くす。父親の代わりに古城に捕らわれの身になるベルが、鏡の向こう側の世界を垣間観ることで、野獣に変身させられた王子の過去の謎が解き明かされていき、少しづつ話の展開が観えてくる。しかし、鮮明になりすぎない程度に神秘的な要素が加わって観る者を次々と引き付ける。ベル役のレア・セドゥも美しいが、ドレスや装飾品も完璧で、隅々まで丹念に描かれた映像美もそれに引けをとらない。しかし、魔法から覚めた王子は、前と変わらず格好悪い(私のイメージから逸脱している)ままで、物足りなさを感じる。そこは、あくまでも「美女と野獣の関係」は、続くと言う意味かもしれないし、あるいは、夢から覚めても「愛は外見ではない」と説明しているかのようだ。うーむ残念。
「美女と野獣」の公式ホームページはこちら http://beauty-beast.gaga.ne.jp/
それにしても、これらのファンタジー映画 2作品は子供から大人、あるいは、もっと年配のおじさまやおばさままで、観る者を魅了して「おとぎの国」へ連れて行ってくれる。時折、都会の喧騒を忘れて「古城や森の中に迷い込んでみる」のもいいかもしれない。