2015/06/07

体温計を使いこなす

 何気なく新しい体温計を購入した。それ自体、おおっぴらに自慢して話すほどのことでもないが、その背景にあったのは、今使用の体温計の計測時間が長すぎるという不満だった。少々大袈裟だが、人は、「体温を測る体勢で、どのくらい静止していられるか」という素朴な疑問に、歳を重ねるに従って「我慢できる時間が短くなってきた」と感じたり、その状態を保つことが難しくなったという気持ちが浮かんだりする。今や、いいところ1~2分で、最大限度は3分ではないかと思うのである。もちろん、一方で計測時間が長ければ、現実的な計測回数も減る傾向にある。

 今まで使っていた5分計で体温を計測するには、口腔とした場合、舌の下に挟んで5分我慢しなければならない。あるいは、脇下中央に挟んで5分、その体制をいつでも対応しうるかといえば、その程度なら「出来る」と思っていたが、試しに10分おきに数回体温を計測(同じ体制)してみると、残念ながら結果は変動してしまう。これは、正しく計測できていない証とも言える。結局、体温の計測しやすさと言う点においては、短い時間の方が有利に働くことは容易に想像が出来る。


  だから何!それほど度々体温を測る訳でもないのに、熱がありそうだと感じれば、その時、1~2回計ってみれば良いではないかと思われるに違いない。確かに理屈はそうだ。しかし、自分で熱があると感じる場合は、何度か計測し、その体温変化で、安心したり、不安が募ったりする現実があることを忘れてはならない。つい昨年末、インフルエンザが流行していたことから、できるだけ、決められた時間で体温計測を怠らないように努めてきた。決められた時間とは、8時、14時、19時など1日に3回程度が望ましいとされる。これらの時間では、一般的に健康でも順に体温は上昇傾向になる(標準が36.89度夕方)。しかし、呼吸器系に何らかの疾患を抱えた場合は、夕方になるほど更に体温が上昇する傾向になるため、夕方の体温チェックは必須になる。


 さて、短い時間で計測できる体温計は、予測して結果を出す様に設計されている。その短い時間で予測するという考え方に不信感を持つ顧客も多いとされ、高齢化社会では、拘る年配の人が多いようだ。しかし、精度ばかりに拘わらず、今の年齢で適した体温計を模索することも必要ではないのか。例えば、取扱説明書の文字が小さくて見づらくなったと感じたり、年齢とともに瞬間激怒性が芽生えてきたと感じたら、自覚しそれを修正するように前頭葉に働きかけるとか、それなりに努力が必要である。体温計も自分に適したものに買い換えるぐらいの精神的な余裕が必要だ。

 さて、私は、この写真の体温計を好んだ。誤解をされると困るが、必ずしも「この品物が良い」と申し上げてるわけではない。一般的な体温計だと、どことなく「露骨に神経質な空気が漂う」が、この形状の体温計だと書棚のオブジェとして置いておける面白みがあり、童心に帰れて楽しい。外形デザインは、そういう意味で重要である。新幹線ドクターイエローの姿をしているだけで、身の安全を意識できて、人生の安全運転に心がけるに違いない。また、本体温計の特徴として先端が柔らかく作られているので少々の動きは吸収できそうだ。本機の計測ルーチンは、体温が「変化しない状態が1分経過したら電子音が鳴る」ので、おおむねその状態が最高体温を表示している。しかし、電子音の周波数が高すぎて、年配の人には聞きづらいかもしれない。