60歳を過ぎたおっさんにとって、カステラは永久不滅の「贅沢なおやつ」である。それは、幼い頃から存在し、大方「変わらない美味しさ」が保たれ、贅沢感とも言うべき風格のある存在だからである。長い間には、甘さなどは控え目に変化したにしても、本質的な美味しさは変わらない。しかし、カステラが好きな人の中には、どんなカステラでも好きという人より、昔ながらの「蜜が染み出しそうで、もちっとした食感と粗目が広がる甘み」が好きな人の方が多い。それが、高級カステラを代表する食感だからだ。
こういった伝統的で今も多くのファンを持つカステラは、味が変わらないことも重要だが、かといっていつまでも変わらないのは、作る側にも刺激が無いし、新たなトレンドに寄り添うことさえ出来なくなる可能性もある。だから、商品投入路線はいくつかに分岐して存在している。まず、伝統的な高級カステラは、目利きによる厳選素材、熟練による工程管理、歩留まりや品質に配慮した仕上げで、コストが掛かるため価値の高い商品になる。販売数は少なくても拘りの顧客のみならず、贈答品としても持て囃される。そのため、日々商品の品質の向上に勤めている。
他方で、そんな一切れに食べ応えの重たく感じる商品より、風味や食感に高級感を保ちながらも、比較的軽い印象で食べ易く、価格も抑えた商品に仕上げた方が、市場に広がりが期待できる。おまけに年配の顧客のために、紅茶や日本茶と一緒に戴くと、口の中ですぐに解けるよう作られている。おおむね、今の主流はこのクラスになる。このタイプの商品のポイントは、決して「無理をして食べることがあってはならない」。だから、あえて小型のパッケージに拘るのである。そこには、「また食べたいと思わせる」風味や印象に残る美味しさが必要なのである。つまり、その「手軽さが購買力、美味しさが継続性」ということになる。
そして、いつもお店に顔を出してくれるお客には、定番のみならず、季節要因を取り込んだ商品が用意されている。店頭で何か新たなものを発見することを期待してお店に寄るわけだから、季節限定とか言われると、今すぐにでも買っておきたい衝動に駆られる筈である。まして、お店で勧められると、それに耳を傾けながら、流れとしては素直に「じゃそれも」ということになる。新たな商品がたくさん揃っていてもジタバタしない、それが常連の優雅な買い方だからだ。元々、店頭に顔を出す顧客は、それが好きだし、興味もある。ただ、何か新たな言い訳とか、理由が必要なだけで、結局、何か買って帰りたいのである。だから、むしろ、背中を素直に押されることを望んでいる。
ということで、その主流といえる商品を並べてみた。小安いカステラの分類に入るが、揃えて購入してみると、決してお安くは無い。中身の写真はこちら。
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