2008/06/05

朱蒙〔チュモン〕

 テレビ番組の紹介です。折角、プラズマのフルハイビジョンテレビ(液晶かプラズマか?2月ご参照)を導入したのに「楽しめる番組がない」と思っていたのですが、紹介された番組が意表を突く面白さに、ついにはまりました。BSフジのハイビジョンで放送している壮大な連続歴史風ドラマ「朱蒙」です。

 紀元前100年頃、漢の侵略により、朝鮮が崩壊し、その流民達を集め、漢に抵抗するタムル軍を率いる2代目英雄「朱蒙」のお話。古すぎて、映像による再現は難しいのではないか、日本では余り手をつけられていない時代ということもあって、最初はもちろん興味本位から始まりました。やや、批判的姿勢のままです。時代考証がどうの、身に着けているものが安っぽいとか、はたまたカメラワークがどうのこうの。いや、前回の格闘シーンと同じ場所で今回も撮影しているとか、挨拶の間の取り方が長いとか、わざとらしい演技の連続だとか、けちばかりつけていたのです。 でも、どういうわけか、回を重ねるうちに、そんなことはどうでも良い、文句なく「面白~い」。無条件で楽しくなっていったのです。

 「朱蒙」の成長を毎回リアルタイムで見ているように錯覚し、どんどん強く、逞しく、そして格好よくなっていく姿に、まさに「実寸大のリアリティー」がそこに映像化され、人はどうやって成長していけるのか、そこには綿密に計算された人間関係と「信念を貫く為の賢者の選択」が描かれているのです。製作者は従来の「歴史ドラマ」とは異なるライティングで、全く別次元のメッセージを伝えようとしているのです。 

  さらに、評価を大きく変えた理由は他にもあります。こんな非常識的な場所での空撮?すごいじゃないか。このバックのオーケストレーションのスケール感は圧巻、格闘シーンは理屈どおりの構図とすばやい動き、本物に見間違える程の刀さばきの連続、全く偽のない身のこなしなどは、某国営放送局の数十台にも及ぶカメラワークやみえみえ編集による創作画像とは一線を画し、鍛え抜かれた人達による格闘シーンは、よりストレートに迫力を増しているのです。 内容的にも、人間味あふれる展開には愛、嫉妬、親子、などの関係は想定外ともいえる展開に発展します。しかし、部下との結束をより強固にする信頼関係のあり方、そこには自分の成長過程で失いかけた、部下を思いやる優しい気持ちに満ちています。そして、その部下へ伝わった気持ちが再び、次の自分を支えてくれる力になるというロジックを、共感を呼ぶ豊かな映像で表現し、新しい国づくりの根幹こそ、ここにありというメッセージ性も組込んでいます。

 そして、運命に翻弄されながらも、強い信念を貫くため、若き「大将」としての課題を無謀ともいえる突破力で見事に解決するあたりは、生まれながらの「王」となるべき資質を表現し、痛快そのものです。こんな長編なのに自由奔放で、まさに、その荒削りな時代らしい物語として毎回提供してくれるのです。見るべき番組を渇望していたという背景もあるのでしょうが、半ば感動しています。というわけで、「24」や「プリズンブレイク」のない今こそ見るべき番組、毎週水曜日夜8時 BSフジのハイビジョンでその空白を埋めてください。[毎週水曜日はNO残業デーです。]
詳細はこちら、1度では面白さが分かりにくいと思います。3度続けてみてください。
http://www.bsfuji.tv/jumong/