一般的に、パソコン等の液晶モニターを明るくすると、色成分は蛍光色気味になる。また、高精細ピッチになればなるほど顕著で、明るさを落とさなければならないし、全体的に色も薄くなる。この振る舞いは、CRTモニターも同じだが、デジタルカメラの画素ピッチも同様で、高精細になれば蛍光色というか、色が薄くなる。受光素子の数を増やすと、その境界にとられる面積も多く、全体で色分解する面積が減るためである。さらに、色フィルターも面積自体が小さくなるため、明るさの直線性に対して色の飽和が早まる。デジタルカメラは、1000万画素より1500万画素が良さそうに言われているが、少し明るい画面だと色味がどんどん減っていき、つまらない画像になる。もっとも、人の目は、遠くの小さな物体は白黒でしか認識できないため、風景などの撮影では、こんなもの!とつい納得してしまうが、画素数の少ないカメラ画像と比較してみるとよく分かる。
お散歩カメラは、この線上にある商品なので、このあたりが敏感で、気をつけて撮影しなければならない。明るい情景は、色がパステルになりがちだ。ノイズは、受光面積に比例して浮遊容量が増えるためCCDの面積に比例して増大するが、画素ピッチが大きくて飽和レベルが高い方がダイナミックレンジの点で有利である。したがって、彩度の高い被写体は、やはり露出をアンダー気味で撮影する必要がある。解像度を求めるにもその方が有利だ。
このような経験から、大きさや重さ、さらに形状でかさばるが、同じ1000万画素でも、フォーサーズやAPS-C等、大き目の受光面積のカメラを求める人は多い。ちなみに、ここで紹介しているカメラの仕様を見ると、CCDの大きさの比較では、Fujiは1/1.6inch Panasonicは1/2.33inch となっている。米粒を並べたぐらいの大きさで、比較すると4:3程度の違いがある。Fujiは、Gchを大小2個を使用しながら1200万としているため、実質のRGBは、さらに少なく3/4 相当(約900万画素)と見るべきが妥当である。Gchを大小2個としているのは、高照度を、小さく感度の低い受光部が担当し、暗部を、大きく感度の高い受光部に担当させているためである。Panasonic は米粒3個程度の受光素子にもかかわらず、それでも均等に1010万画素を詰め込んでいる。
これらの画素の大きさや、Gch 2個使いの仕掛けが最終的に画質の違いになっていることは確かなようだ。大型高精細の液晶モニター上で再生すると、明度の高いクロマ成分が蛍光色気味に表現されてしまうので、判断が付きにくいが、Full HDプラズマで見れば画質の差は明らかである。また、高精細といえども、Full HDは200万画素しかないため、1/4~1/5程度のダウンスキャンで見ることになる。このためには、ジャスト1/4または1/16と整数倍で見るのが妥当で、変則値でのダウンスキャンは画像がボケたり細部で崩れたり、無くなったり、偽信号が出たりで適切とはいえない。今日は、そのような明度の高いクロマ成分が多く含まれる画像を見ていただく。場所は、家の近所の深大寺である。時間のあるとき(年末年始)にでも寄ってほしい。そこで、来週ここの「蕎麦」を紹介したい。
このシリーズはこちら。 (初めての方は、続デジタルカメラ3の本文を参照のこと)
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