今回で、20回を迎えるデジタルカメラシリーズだが、カメラの画質については、ある程度お分かりいただけたと思う。撮影対象に関しては人それぞれだし、結果における満足度も様々と思うが、使い勝手は、殆どの人が同じ意見を持つと思う。したがって、操作系についても少し補足しておこうと思う。 このクラスのカメラは、ホームページの制作等にも多用されるし、家族の誰が使うか分からない、それらを考慮しておこう。
デジタルカメラと言えども、全く新たな操作を要求しているわけではなく、フイルムカメラの歴史的背景を考慮して設計されている。受光部には光電変換素子が使われ、光を電気に変える。このときの電気はアナログである。その後、画像処理をするためにデジタル化される。我々が操作できるのは、光電変換の前の部分で、光電変換部に与える光の量を調整するだけに留まり、後の処理はお任せになる。ここは、色フィルターを通過したあと電気に変換されるため、色再現は色フィルターで決まる。したがって、どのカメラも本質的に色再現には大きな違いは無い。
主な操作は、ASA感度、絞り、シャッター速度を変化させて露光を調整する。これには、自動機構が働いているが、それでも、実物と比べてその対象が明るかったり、暗かったりするため、露出補正機能を使い自分で調整する必要がある。液晶モニターを見て、目的の被写体が暗ければ、露出補正を+1/3、+2/3、と増やし、明るすぎる場合は逆に-1/3、-2/3、と下げる。これによって、自分が重要と思われる部分の露光量を微調節することができる。これは、かなり実用的な機能となっている。絞りは、被写界深度(ピントの範囲)を決定し、シャッター速度は、動きの早さに対応する。どちらかを優先させる場合は、それに適したモードが用意されているので、それに切り替える。その判断は、説明書に記述されているが十分とは言えない。撮影時の状況で有効なモードがどれに該当するのか迷うこともある。デジタルカメラは、その場で再生できるため、モード切替をして実際の画像を確認しかない。
このように、露光の基本的な機能が、簡単に使えるかどうかが重要である。メーカーによって、操作に対する考え方の違いがあり、コメントしにくいが、 「撮影を容易」にするのか、「画質を改善」するのか、の2つの機能に集約される。これを混在して操作系に組込んでしまうと、設計者には理屈に合うものかもしれないが、撮影者は混乱する場合が多い。その流れからみると、独自の切替え機構をつけたF100fdは、常用する露出補正操作が階層でMENU→撮影メニューと2段下がり、そこでセットするため、操作が面倒である。FX500は、1段で変更が可能で使い易い。 シャッターを切ったときに、自動的にピントを合わせるオートフォーカス、手ブレを自動的に修正する「手ぶれ補正」が2機種とも搭載しているが、これは、明らかにFX500が優れている。F100fdは少々だらしなく時々ボケボケの画像を出すことがある。 ズームレンズは、いずれもワイド端で周辺の光量の落ち込みが顕著であり、これは、どのようなズームレンズでもワイド系になればなるほど起こり易いので仕方が無い。 後でトリミングしかない。
F100fdは、このカメラの性質を知った上で、難解な操作を克服してメーカー推奨画像(ダイナミックレンジ)と同じ撮影をしたいと心がける人を対象にしたカメラで、それを受入れれば、画質面での技術的工夫が威力を発揮する。ただ、それで必ずしも画質が優れているとは言い難いし、条件がクリティカルで、同時に限度もあるようだ。また、撮影後のデーター書込みスピードが遅いのが気になる。一方、シャッタータイミングに専念して撮影する写真には、FX500 が信頼できる。どこへ持っていっても、どのような被写体でも、100点とは言えないにしても、全て80点以上をたたき出す優等生的な製品である。ただ、FX500 の画質は、ややビデオ・カメラのような明るさ(全て明るめ)と色調で、面白みに欠ける。どちらかと言えば、操作の欠点がないことに重点が置かれている。撮影後のデーター書込みスピードは素早く軽快と言える。
総合的に観て、F100fd は、画質のランクとしては1つ上といえるが、操作系が一般的ではないため、改良した次期モデルに期待したい。FX500は、使いやすいカメラで、1家に1台あれば誰でも使える優れもの。できれば、もう少し画質(ダイナミックレンジ)の広い機種を選びたいところだ。いずれのモデルも、まだまだダイナミックレンジに不足があり改良の余地は残されている。 画質に関しては、じっくり使い込むことで色々明らかになるので、特徴に合わせて目的を固定して、数台のカメラを使い分けるのが良い。
今日は、温室が空いている朝から神代植物園へ来た。ここの温室は、午後から人の流れが多く、撮影に適した時間帯が短い。朝から、もうマクロ撮影している人もいる。温室の中から、年中変わらないベコニアを撮影してみた。ベコニアは様々な原色の花を咲かせるが、色の直線性が悪いカメラでは、露出量によっては品位のない軽薄な色になってしまいがちで、花びらを分解できないことすらあり、色再現が難しいので注意が必要だ。(初めての方は、続デジタルカメラ3の本文を参照のこと)このシリーズはこちら
https://onedrive.live.com/view.aspx?cid=0FF68288DD53524E&resid=FF68288DD53524E%21825&app=WordPdf